ロシアによるウクライナ侵攻や気候変動などを背景に食料安全保障を強化するため、政府は農政の憲法とされる「食料・農業・農村基本法」の改正案と関連する2つの法案を閣議決定した。このうち基本法の改正案では、法律の理念に「食料安全保障の確保」を新たに加えた上で、農産物や農業資材の安定的輸入を図る他、農業法人の経営基盤の強化やスマート技術を活用した生産性の向上に取り組んでいくとしている。また、食料不足への対応を盛り込んだ新たな法案では、政府が食料が逼迫する事態を未然に防ぐ必要があると判断した場合、内閣総理大臣をトップとする対策本部を設置し、米・小麦・大豆など重要品目や関連資材の確保数量を設定したり、生産者に生産の拡大を要請したりできるとしている。さらに事態の解消が困難な場合は、事業者に清算・出荷に関する計画の提出や変更を指示できるとし、計画を提出しない事業者には20万円以下の罰金を科すなどとしている。これらの法案について政府はいまの通常国会での成立を目指す方針。