「骨太の方針」の原案の詳細を見ていく。賃上げは、物価上昇を上回る賃金上昇を達成し、定着させるため、価格転嫁対策や学び直し、いわゆるリスキリングの強化などに取り組むとしている。社会保障については、全世代型社会保障の構築を目指し、改革を進める方針。医療介護については、高齢者の自己負担について3割負担とする対象範囲の見直しなどが検討される見通し。年金制度については、夏に公表される財政検証の結果も踏まえ、年末までに制度改正の道筋をつけるとしている。賃上げなど、経済政策は政権運営にとっても大きな意味を持つため要注目。今月のNHKの世論調査で岸田内閣の支持率は21%と内閣発足以降、最も低くなった。支持しない理由として、最も多かったのは「政策に期待が持てない」からで、岸田政権としては政策で結果を出したいところ。物価高の今、関心が高いのが賃上げ。世論調査では、今月始まった定額減税の評価も分かれていたので、政権としては賃上げを進めて景気回復の実感につなげたいねらいがある。「財政規律」に関しては「来年度の基礎的財政収支の黒字化を目指す」という今の目標は維持したうえで、来年度から6年間の新たな経済財政に関する計画の実行を通じて、経済再生と財政健全化の両立を前進させるとしている。経済再生と財政健全化、自民党の中でも優先順位を巡って意見が分かれている。先週、財政健全化を重視する自民党の議員達は首相官邸を訪れ、岸田総理に提言を手渡した。自民党「財政健全化推進本部」本部長・古川元法相は「金利のある世界が現実になろうとしている。財政にとってリスクが高まることを意味する。緊張感を持って財政運営に取り組んでいかなければならない」と語った。一方同じ日、積極財政派の議員らも官邸を訪れ、岸田総理に提言を手渡した。自民党「財政政策検討本部」本部長・西田昌司参院議員は「予算を減らして赤字国債を出さなければ、PB(基礎的財政収支)は黒字になる。黒字になったところで、必要な財政政策をしないから国民生活が破綻する。其れは断固反対」と述べた。「骨太の方針」の原案では、双方の意見に配慮した形となっている。