アメリカ中西部・オハイオ州のポーツマス市。かつて製造業で賑わったまちも今は“ラストベルト=錆びついた工業地帯”と呼ばれるほどになっている。市街地から約30km離れた「立入禁止」と看板が掲げられた場所は政府の敷地のため立ち入ることはできないが、この奥に世界最大級のガス発電所が建設されるものとみられる。広さは東京ドーム300個以上。敷地内には冷戦時代にも使われたウラン濃縮工場もあり、長年ほとんど利用されてこなかった土地だという。トランプ政権はここに世界最大級のガス火力発電所の建設を予定しているという。投資総額5兆2000億円あまり。そしてこの5兆円を超える投資を行うのは日本。緊迫化する中東情勢を受け原油市場は混乱し、日本経済にも暗い影を落とし始めている。そのような状況でも日本に求められているのが「対米投資」。去年7月、トランプ関税を引き下げてもらうのと引き換えに約束することになった80兆円を超える巨額の対米プロジェクトだ。この第1弾として決まった3つのプロジェクトの1つ「世界最大級のガス火力発電所」がオハイオ州に建設されるのだ。そこで私たちは詳細を探るためポーツマス市長を尋ねると、驚いたことに発電所建設は“寝耳に水”だったという。日本政府は日本のメーカーも発電所の建設や運営、機器の納入で売り上げが立ち、メリットが有ると強調するが、政府に名前を挙げられた企業からは未だ具体的な発表はない。さらに資金の出し手となるはずの民間金融機関の幹部は実態が見えない計画に焦りを感じると話している。専門家はトランプ大統領の政治的思惑にのせられることを懸念している。19日には2度目の日米首脳会談にのぞむ高市総理。中東への対応に関心が高まるなかで対米投資で日本が損失を出さないための交渉や説明が必要となる。
