年金制度の在り方を検討している厚生労働省の審議会では「106万円の壁」を巡り議論が交わされた。社会保障審議会・年金部会で厚生労働省が示したのが、パートなどで働く人が厚生年金に加入する要件を緩和する案。最低賃金の引き上げに伴い、月額8万8000円以上受け取っている人が増えているとして、賃金の要件を撤廃するかどうか、委員に意見を求めた。この中では、「最低賃金が上昇しているので、なくすべきだ」という意見が相次いだものの、「すべての都道府県で要件の水準を超える最低賃金になってから撤廃すべきだ」という慎重な意見も出て、引き続き検討することになった。また、厚生労働省は、働き方の多様化が進む中、短時間で働く人が将来受け取る年金も増やす必要があるなどとして、企業規模の要件を撤廃するほか、5人以上の従業員がいる個人事業所も、すべての業種で加入の対象とする案を示し、了承された。厚生労働省は、新におよそ200万人が加入対象になる見込みだとしている。厚生労働省は議論を重ね、来年の通常国会に必要な法案を提出したいとしている。