南米を訪問中の岸田総理はブラジル・ルラ大統領との首脳会談に臨んでいる。会談で、両首脳はエネルギー分野をはじめとした脱炭素社会の実現に向けた協力に合意する見通し。具体的にはブラジルが生産するサトウキビ由来のバイオエタノール燃料と日本のハイブリッド型エンジンの技術を連携させて技術開発での主導権確保を目指すほかアマゾンの熱帯雨林保護などでの協力を確認する。アマゾンの環境保護に力を注ぐルラ大統領の関心の強い脱炭素分野で協力を打ち出して関係強化を図り、バッテリーなどに必要なリチウムといったブラジルで豊富に生産される重要鉱物についてサプライチェーンの強じん化を図りたい狙い。中国は重要鉱物について、意に沿わない相手国に対し時に輸出制限をかけたりしてきたため、中国依存から脱却を検討する国が出てきている。また、重要鉱物の製錬などの加工の過程についても世界的に中国依存の現状があるが、日本の外務省幹部は「製錬はかなり二酸化炭素を排出するので中国でやっていたが、依存しすぎはまずい」と加工段階の見直しも必要との認識を示している。今回、50社近い日本企業が同行するなどブラジルへの熱視線が感じられる。岸田総理はまもなく日本企業関係者をルラ大統領に直接、紹介する予定。