病気の治療や手術に欠かせない抗菌薬の安定確保が急務となっている。現在抗菌薬の素となる原薬の多くは海外からの輸入に頼っていて、その供給が途絶えれば薬が生産できなくなる恐れがある。きょう製薬大手Meiji Seikaファルマが新たに建設する岐阜工場で生産するのは、ペニシリン系の抗菌薬。治療や手術時の感染予防など幅広く使われているペニシリン系抗菌薬。カビ菌が発酵によって作り出した世界で初めての抗生物質。医療現場で欠かせない薬の1つだが、その原薬はすべて輸入に依存している。中国では巨大な設備で抗菌薬の原薬を大量生産し、世界中に輸出している。日本の製薬メーカー各社も価格の安さからほぼ100%中国から輸入した原薬をもとに製造している。ところが2019年には、中国での工場停止などにより供給がストップ。日本の医療機関でも抗菌薬が不足し手術が延期されるなどの影響が出た。抗菌薬の安定供給が課題となるなか、MeijiSeikaファルマは、国内で原薬の生産から製薬までを一貫して手がけることを決めた。