“年金だけでは不安” 女性の老後リスク

2024年10月29日放送 19:31 - 19:42 NHK総合
クローズアップ現代 #4942 私の年金足りますか?女性の“老後リスク”にどう備える

年金について国は5年ごとに受給の見通しを発表している。これまでは世帯単位の発表だったが、今年7月に初めて個人単位、性別や世代ごとの見通しが示された。今年度50歳になる人が65歳になった時に受け取る年金額は平均で男性は14万1000円、女性は9万8000円。65歳以上で一人暮らしの人の1か月あたりの生活費が平均で約14万5000円とされているため、どちらも届いていない。40代後半の佐々木瞳さん(仮名)は実家で母親と二人暮らしをしている。現在、中国地方の企業で事務員として働いており、将来受け取る年金の見込み額を調べると、月11万円ほどだった。日本の公的年金制度は2階建てと言われ、1階部分は加入を義務付けられている国民年金。2階部分は会社員・公務員などが加入する厚生年金。厚生年金は収入や加入期間によって受け取る年金額が変わる仕組みで収入が低く、加入期間が短くなるほど受け取る年金が低くなる。佐々木瞳さんは短大を卒業後、すぐに就職して25年以上厚生年金に加入してきた。今の会社で正社員として働き、11年目になる。しかし、基本給は14万円台、入社してから1万円くらいしか上がっていない。職場では男性が次々と昇格する一方、女性にその機会はほとんどなかったという。佐々木瞳さんの年収は約240万円。その結果、厚生年金の見込み額は約4万3000円にとどまっている。年金を増やすためにも転職を希望しているが、要介護3の母親がいるため、難しいという。ウーマンライフパートナー・代表理事の中村真佐子さんは65歳を迎えて本当に困った時に相談しても中々解決には至らない。そういう人が増えると生活困窮の相談者が増える。危機感を感じていると話した。
番組に寄せられた年金への不安の声。中でも多かったのは非正規雇用で働いてきた女性たちの意見だった。神奈川県で暮らす茂木直子さん(51歳)。これまで約20年に渡って非正規の仕事を転々としてきた。65歳で受け取れる年金の見込み額は月10万円あまり。専門学校を卒業後、正社員として就職したが、会社は倒産。生活のために派遣社員として働き始めた。12年前、語学旅行を活かして勤め始めた外資系の銀行では契約社員までステップアップ。しかし、事業の縮小に伴って仕事を辞めざるを得なくなったという。その後も正社員の仕事は見つからず、非正規雇用の職場を渡り歩いている。非正規雇用が長い女性は厚生年金の加入期間が途切れることが多く、結果的に年金額が低くなる傾向にある。さらに離婚によって老後のリスクが一気に高まる女性も少なくない。ファイナンシャル・プランナーの加藤葉子さんは女性の老後の生活設計などについて、年間800人以上の相談を受けている。相談者の大半は結婚や出産をきっかけに仕事を辞めている。家事や育児を担って仕事を辞めてしまうことで厚生年金に入っていない期間が長くなり、年金額が低くなる。しかも多くの女性たちが老後の備えに手を回すことができていないという。2年前に離婚した50代のシングルマザーは離婚した夫から養育費を受け取っているが、子どもは高校生と大学生になり、教育費の負担が重くなっている。自分の老後に備える余裕はないという。老後を年金だけで暮らす場合、いくら不足するのかを試算すると、80歳で1600万円、90歳で2800万円不足するという結果になった。女性は70歳までは絶対に働かなければいけないと覚悟していると話した。


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