首都圏ネットワーク (ニュース)
去年、連続テレビ小説のモデルにもなった日本の植物学の父として知られる牧野富太郎が明治23年に発見したのが水草の「ムジナモ」。今では国内ではほとんど自生していないが埼玉県羽生市での長年の保護活動により自然の状態で繁殖していることが確認されたとして、野生絶滅としている県のレッドデータブックを改め絶滅危惧種とする方針であることが県への取材で分かった。「ムジナモ」は見た目がアナグマやタヌキなどのムジナの尾に似ているためこのように名付けられた。牧野富太郎は1890年、20代のときにムジナモを東京で発見。その後、環境の悪化や開発で各地の自生地が失われる中、埼玉県羽生市にある宝蔵寺沼は1966年にムジナモの自生地として全国で唯一、国の天然記念物に指定された。台風による増水で流れるなどして50年以上前に姿を消したが、埼玉県の羽生市や地元の保存会などが15年以上にわたって沼で育て天敵のウシガエルを駆除するなど環境を整えた結果、110万株を超えるほどに増え自然に繁殖していることが確認された。こうしたことから来年3月に改訂する埼玉県のレッドデータブックでムジナモの分類を現在の野生絶滅から1つ下の絶滅危惧IA類とする方針となったことが県への取材で分かった。野生絶滅の動植物が野生復帰となるのは埼玉県内では初めて。環境省によると、ほかにはトキの野生復帰で国のレッドデータブックを改訂した例があるという。