news every.サタデー サタスペ
世界各国で自国第一主義の広がりが懸念される中、ドイツでは極右政党の「AfD(ドイツのための選択肢)」が、急速に勢力を拡大している。一方で、その危険性を訴える活動も各地で広がっている。SNSで語りかける若い女性。たわいのない投稿の合間に時折、移民に出ていくよう促す発言が混ざる。実はこの女性、AIで生成されたもので、実在しない。こうした正体不明の投稿などを追い風に、ドイツで支持を広げているのが、極右政党の「AfD(ドイツのための選択肢)」。AfDは2013年に発足した政党で、移民排斥、自国第一主義などを訴えて、徐々に議席を伸ばし、ことし2月の総選挙では、国政で第2党に躍進した。その躍進の一因となっているのが、若者たちの心をつかむ、巧みなSNS戦略。物議を醸すショート動画をいくつも投稿していて、すごく注目されている。この議員の動画を作り上げたのが、戦略の仕掛け人で、インフルエンサーのエリック・アーレンス氏。狙うのは、若者の感情だ「この考え方はナチスにまでさかのぼる」とまで発言している。
ドイツの右傾化に強い懸念を抱き、立ち上がった人たちがいる。ミュンヘンで活動している女性たちの名称は、文字どおり「右翼に反対するおばあちゃん」。毎週、街頭に立ち、極右の危険性についてみずからのことばで訴えている。活動はドイツ全土に広がり、現在、会員は3万人を超えている。活動に参加するヘイエルマンさんには、特別な思いがある。「父の姉妹はベルリンに住んでいた。彼女らはナチスだった」と話していた。第2次世界大戦中、ナチスドイツはユダヤ人を排斥し、やがて絶滅政策、ホロコーストへの道を突き進んでいった。父親もナチスの学者だったと話すヘイエルマンさん。だからこそ、今、80年前の過ちを繰り返したくないと、行動を起こした。ヘイエルマンさんは「AfDはあのころと同じことを言っている。優先すべきはドイツ人の血を引く子ども。それ以外の子ではなくと。それこそがファシズムだ」と述べた。
歴史の教訓から学び、進んで
