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石川県七尾市の市立石崎小学校で教壇に立った市内で有名日本料理店を営む川嶋亨さん。「うま味」を教える出前授業だ。地震で全校児童の3分の1にあたる約50人が避難生活を送った。避難所ではインスタントの食事が続くことも多く、食育の大切さを感じたという。店は去年1月の能登半島地震で外壁の一部が崩れ、室内もゆがむなどの被害を受けた。「一本杉 川嶋」は2020年にオープン。翌年には世界的な美食ガイドブック「ミシュランガイド」の一つ星に掲載された。1年半先まで予約が埋まるほどの人気だった。築90年を超える店の建物は国の登録有形文化財で、修理には文化庁の許可が必要。川嶋さんが被災者のために炊き出しを始めたのは地震の2日後。去年3月、「ゴ・エ・ミヨ2024」に「革新的な料理の技術を持つ期待の若手」として川嶋さんが選ばれた。先月、炊き出しのメンバーがそれぞれの得意料理を振る舞い忘年会が開かれた。
川嶋さんは先月、中能登町の農家の畑を訪ねた。目当ては冬に旬を迎える白カブ。能登の野菜を持って向かったのは加賀市の山中温泉。老舗旅館「花紫」で一日料理長を務める。川嶋さんの旬の味尽くしを求めて全国から20人が集まった。白カブはお吸い物に。新たな年に向けて川嶋さんは商店街の仲間と街の復興へ動き始めている。店の向かいの古民家を購入。復活の第一歩は街の人が集まれるアンテナショップと川嶋さんがいつでも料理ができる拠点をつくること。能登を美食の都にしたい、食を通じて復活を目指す復興料理人。川嶋さんは仲間と歩みを進めている。