首都圏ネットワーク (ニュース)
文部科学省の調査によると不登校の状態にある小中学生はおよそ34万6000人で11年連続で増加して過去最多となった。あるNPOが不登校の子どもがいる保護者に行ったアンケート調査では不登校をきっかけに5人に1人が仕事を辞めたり休職したりしていた。こうした中、子どもだけではなく保護者も支援しようというフリースクールが出てきている。千葉県市原市にことし9月にオープンしたフリースクールでは子どもたちは好きな時間にやって来る。平日朝8時から夕方5時の間、勉強のほか絵を描いたりおもちゃで遊んだり、自由に過ごす。付き添いの母親が子どもから離れて向かったのは隣の部屋。実はここは母親の仕事場だ。母親がしているのは動画を編集する仕事。このフリースクールでは不登校の子どもがいても働くことができるように保護者に仕事を提供して育児と仕事の両立を支援している。フリースクールを運営する三村晋也さんが保護者の支援も始めた背景には自身の経験があった。2人の息子を育てる三村は弟の6歳の康介君には重度の身体障害などがありたんの吸引など24時間のケアが必要。三村さんは夫婦ともに教員として働いていたが妻は出産後に退職した。三村さんは仕事を続けながら家族を支えていたが、2年前、当時小学1年生だった兄の春人君が突然、学校に行き渋るようになった。下の子のケアをしながら登校の付き添いをするためには仕事を休まざるをえず、三村さんはことし3月、退職した。フリースクールをオープンして2か月、現在は小学生4人が利用し2人の保護者が仕事の支援を受けている。この日、見学に来た母親は不登校の子どもの進学を控え、正社員の仕事を辞めた。フリースクールの利用者は仕事を始める前に無料で研修を受けることができる。スキルに応じて仕事を受け報酬を得ていく仕組みだ。支援を受けている1人、町田希さんの10歳の娘は小学校に入学してすぐ学校に行けなくなった。親子でフリースクールに通いながら仕事の支援を受けられる環境に、町田さんは希望が持てたという。三村さんは今後、さらに提供する仕事の種類を増やすなどして不登校の子どもがいる家庭をサポートしていきたいと考えている。フリースクールを運営する三村さんの息子の春人君は現在は1人でも学校に通えているという。東京都は今年度の予算でフリースクールなどを利用した家庭に月に最大2万円助成する制度を設けた。また施設の安全対策などに充てる経費の補助金制度を設けている。ただこうした制度がある自治体は一部に限られているという。