NHKニュース おはよう日本 (ニュース)
経済部財界担当の猪俣英俊記者の解説。中小企業の賃上げにはさまざまな工夫が求められて、すでに努力もされていて簡単ではないという印象を受けた。中小企業では頭を悩ませている経営者も多い。おととしと去年の春闘では大手、中小企業とも賃上げが実現した。3年目となることし、賃上げの流れを確かなものにできるかが焦点。経営側、組合側ともに賃上げの必要性は認識していて、経団連も企業の社会的責務という強いことばで企業に賃上げを求めている。というのも大幅な賃上げを実現してきたものの物価の上昇には追いついていないという現状があるから。連合は生活水準が向上している人は少数にとどまると指摘しているし、こうした状況を変えるには賃上げが広く社会に波及し、定着する必要がある。賃上げの重要性というところでは経団連、連合とも一致しているということだが、一方でこれまで賃上げをしてきた中小企業の中にはさらに続けるのは苦しいという声も聞かれる。人手の確保が難しくなる中、業績の改善を伴わないまま無理をして賃上げしてきた中小企業も少なくない。今回、連合は格差の縮小に向けて中小企業の労働組合では6%以上の賃上げを求める目標を掲げているが、経営側からはこの水準は高すぎるという声も多く聞かれる。持続的な賃上げには収益を上げて、その原資を確保する必要がある。ことしの春闘では生産性の向上に加え、適正な価格転嫁や販売価格の引き上げをどのように進めていくか、労使間でより踏み込んだ議論が進むことが期待される。賃金の継続的な上昇を通じて個人消費が拡大する、こうした好循環を生み出すことができるのか、ことしも重要な局面が続く。