Mr.サンデー “絶対王者”コシヒカリの牙城崩す… “奇跡のコメ”「ゆうだい21」開発物語
ゆうだい21の生みの親である宇都宮大学の前田忠信名誉教授は本来、いかにコメの収穫量を増やすかを研究する栽培学の学者だった。田んぼでの土いじりが好きな農家肌で、前田は「私は風来坊」などと話した。前田が准教授だった1990年の秋、試験用の水田を見回っていると穂が25cm以上ある大きな稲と出会った。どの稲と稲が交配したのかはわからない、両親不明の珍しい品種だった。籾の数はコシヒカリの倍。8年後、食味試験ができるほど収穫が増えると、コシヒカリとのブラインドテストを行った。学生はコシヒカリよりおいしいと評価したが、前田はコシヒカリに挑戦する気はなかった。コシヒカリは長年のノウハウで農家にとっては育てやすく、問屋や小売店にとっては絶対的ブランドだったからだ。研究開始から20年、品種登録が認められると、稲の雄大な姿と宇都宮大学発祥の米が21世紀に輝いてほしいという願いを込めて、ゆうだい21と命名した。味や粘りはコシヒカリ以上。(朝日新聞より)