クローズアップ現代 富士山 初の登山規制 安全は守れるか
富士山であす、山梨側に続き静岡の3つのルートの登山口も山開きとなる。富士山では去年の夏約22万人以上が山頂を目指した。今年はじめて行われた登山規制の効果は?先週末、山梨側の登山道、今年はじめて5合目にゲートを設けた。午後4時~午前3時までは閉鎖し、1日の上限を4000人に制限。ゲートを通過する際に、1人2000円の通行料を徴収し、登山道の安全対策に充てる。規制を導入した背景には、長年問題視されてきた弾丸登山がある。日の出を目当てに山小屋に止まらずに夜通しで山頂を目指す人たちで登山道が大混雑していた。登山者の見回りや救助を行っている太田安彦さんは弾丸登山の危険を目の当たりにしてきた。太田さんが指摘する弾丸登山の最大のリスクは天候の急変。急激な天候の変化で低体温症になり救急搬送される人もいる。今年の山開き直前にも山頂火口で3人の登山者が遺体で発見された。うち1人は東京からきた50代の男性だった。男性は登山歴30年以上のベテラン。男性が山頂についたのは先月22日の午前中とみられる。その日は朝から穏やかな天気だったが、午後2時から突然強い風が吹きはじめた。日本山岳ガイド協会の福田さんは富士山では十分な経験がある登山者でも常に遭難と隣り合わせにあるという。天候の急変は救助活動も難しくする。今回の遭難事故で救助隊は捜索に向かったが悪天候により中断、男性の死亡を確認したのは捜索をはじめて3日後だった。
山梨側の規制がはじまり1週間余、規制で変化はみられたのか?指導員の太田さんは早朝の山頂付近には多くの登山者がいたが、が規制の効果はある程度感じられたという。一方、規制だけでは解決できない課題もある。危険だという意識がないまま、不十分な装備で富士山に登ろうとう人が後をたたない。ネット上には富士山は簡単に登れる山だという情報が出回っている。山梨県は指導員の数を増やし注意喚起をしている。ゲートが閉じる30分前にやってきた2人の男性は山小屋の予約もしておらず、登山靴もはいていなかった。指導員の注意を聞かずに登りはじめてしまった。太田さんは規制とともに登山者の意識を高める取り組みを進める必要があるという。