2024年7月9日放送 19:30 - 19:57 NHK総合

クローズアップ現代
“事故多発”富士山で今なにが? 夏山に潜む新たなリスク

出演者
桑子真帆 
(オープニング)
夏の富士山に“潜む危険” 史上初の規制 効果は?

夏山シーズンを迎える富士山に潜むリスクとは?山開き後の初の週末。今年からはじめて山梨側で入山時間や人数を制限する規制がはじまった。目的は登山者の安全の確保だが、課題がみえはじめている。あす山開きを控える静岡側は規制がなく、押し寄せる登山者にどう対応するのか不安を抱えている。

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オープニング

オープニング映像。

富士山 初の登山規制 安全は守れるか
夏の富士山に“潜む危険” 史上初の規制 効果は?

富士山であす、山梨側に続き静岡の3つのルートの登山口も山開きとなる。富士山では去年の夏約22万人以上が山頂を目指した。今年はじめて行われた登山規制の効果は?先週末、山梨側の登山道、今年はじめて5合目にゲートを設けた。午後4時~午前3時までは閉鎖し、1日の上限を4000人に制限。ゲートを通過する際に、1人2000円の通行料を徴収し、登山道の安全対策に充てる。規制を導入した背景には、長年問題視されてきた弾丸登山がある。日の出を目当てに山小屋に止まらずに夜通しで山頂を目指す人たちで登山道が大混雑していた。登山者の見回りや救助を行っている太田安彦さんは弾丸登山の危険を目の当たりにしてきた。太田さんが指摘する弾丸登山の最大のリスクは天候の急変。急激な天候の変化で低体温症になり救急搬送される人もいる。今年の山開き直前にも山頂火口で3人の登山者が遺体で発見された。うち1人は東京からきた50代の男性だった。男性は登山歴30年以上のベテラン。男性が山頂についたのは先月22日の午前中とみられる。その日は朝から穏やかな天気だったが、午後2時から突然強い風が吹きはじめた。日本山岳ガイド協会の福田さんは富士山では十分な経験がある登山者でも常に遭難と隣り合わせにあるという。天候の急変は救助活動も難しくする。今回の遭難事故で救助隊は捜索に向かったが悪天候により中断、男性の死亡を確認したのは捜索をはじめて3日後だった。

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山梨側の規制がはじまり1週間余、規制で変化はみられたのか?指導員の太田さんは早朝の山頂付近には多くの登山者がいたが、が規制の効果はある程度感じられたという。一方、規制だけでは解決できない課題もある。危険だという意識がないまま、不十分な装備で富士山に登ろうとう人が後をたたない。ネット上には富士山は簡単に登れる山だという情報が出回っている。山梨県は指導員の数を増やし注意喚起をしている。ゲートが閉じる30分前にやってきた2人の男性は山小屋の予約もしておらず、登山靴もはいていなかった。指導員の注意を聞かずに登りはじめてしまった。太田さんは規制とともに登山者の意識を高める取り組みを進める必要があるという。

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夏の富士山に“潜む危険” 史上初の規制 効果は?/夏の富士山に“潜む危険” 万全の装備とは?

日本山岳ガイド協会の武川さんは、富士山の山梨側の入山規制について一定の効果はあったと感じる、夜間の登山ができなくなったことで弾丸登山は激減したという。指導員の注意があっても、止められても登山をする人は多い、指導員には権限はないので忠告・アドバイスをすることにとどまる。夏の登山でも防寒具としてフリース、雨具も必要だとした。

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富士山の安全どう守る 山開き目前の静岡では

去年約5万人が登山に訪れた静岡側にある富士宮口。登山者受け入れの準備を進める職員の間には不安が広がっていた。去年の今頃はまだ空きがあった9合目の山小屋、今年はすでに満室となっていて宿泊客が急増している。静岡県では山梨のような規制はないため、登山者が例年以上に流れこむとみられている。なぜ静岡側では規制ができないのか?山梨側とちがい、多くの登山ルートが国有地を通っているため、規制には国と調整が必要となるから。静岡側には多くの脇道があり全てにゲートを設置するのは困難。静岡側の登山者は全体の約4割で費用対効果にも課題がある。規制がない中で登山者の安全をどう守るのか。今年、静岡県は新たな取り組みとして、日程・宿泊する山小屋を事前に登録するシステムを導入した。さらに、無計な登山のリスクを伝える動画を複数の言語で作成し、準備を呼びかけた。しかし、現場からは注意喚起だけでは限界があるとの声がある。静岡県では今シーズンの結果を検証して国とも対応策を議論していくとしている。

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夏山シーズン本格化 富士山の安全どう守る?/事前予約やガイドも…海外で進む登山規制

規制を実施していない静岡側に登山者が流入する懸念がある。日本山岳ガイド協会の武川さんは御前場口と須走口は他のルートと比べて長く、そこを好んで行くことは考えられないが、富士宮口は標高差が一番短いルートだが急で困難だが集中する可能性はあるという。

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海外の登山規制の事例を紹介。台湾にある玉山、登山者の数は1日200人程度に制限、登る人は1カ月前までに申請し、申請がない場合は罰金約1万4000円が科せられる。フランスとイタリアの国境にあるモンブラン、登山者には山小屋の予約が義務づけられているため、山小屋の収容人数が実質的に登山者の上限となる。さらに、山岳ガイドが装備などを事前にチェックして軽装の人を下山させたケースもある。マレーシアにあるキナバル山、山小屋の事前予約がないと登山許可証が発行されない、山岳ガイドの同行が義務づけられている。日本山岳ガイド協会の武川さんは山小屋に宿泊した人数で制限をかけることは日本でもやりやすい規制ではないかという。武川さんは富士山は日本一高い山だということを知っていないと痛い目にあう、天気が急変しやすいことも理解してほしいと話した。

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