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年収の壁について。今、見直しが検討されているのが103万円の壁だが実は年収の壁は他にもある。103万円を超えた分の収入については所得税がかかる他、扶養の子供の年収が103万円を超えると親の税制優遇が少なくなる。そして、106万円と130万円は社会保険料が発生する壁。106万円の壁を超えた時、従業員数が51人以上の企業などの場合、所得税に加えて社会保険料の支払い義務が発生する。130万円の壁だがこれを超えると全ての人に所得税と社会保険料の支払い義務が発生する。この社会保険料には国民年金も含まれている。150万円の壁は103万円の壁と同様に税金が発生するもの。配偶者控除などが適用されている場合、配偶者の収入が150万円の壁を超えるとその分の金額に応じて配偶者控除額が引き下げられていく。こうした年収の壁に悩まされる当事者を取材すると103万円以外の壁でも見直すべき課題が見えてきた。
働く全ての人に関わるのが年収の壁。最近よく耳にするようになったのは103万円の壁。レストランでアルバイトをする専門学校生の女性。学生の場合103万円の壁を超えると親の扶養を受けられなくなり親の税負担も上がってしまうため、多い時は週4日ペースで働いていたが今月はシフトにほぼ入れないという。一方、雇う側にとっても問題が。阿部花央理店長は、特に11月のスケジュールは毎年苦労しているなどと語った。この時期になると壁を超えないように働き控えをする人たちがいるという。従業員が51人以上の企業では106万円の壁を超えると社会保険料を払う義務が発生。そのため手取りにも影響が出てくる。すかいらーくホールディングス人財本部・下谷智則ディレクターは、個別に勉強会を実施させていただいて正しい理解を深めるような取り組みをしてきたという。すかいらーくでは年収の壁について学ぶ勉強会を開催。その他、バイト一人ひとりの給与をデータ化することで壁を超えずにギリギリまで働けるシフト管理を進めているという。更に106万の先にも壁が。年収130万円以上になると誰でも社会保険料を払うことになる。それにより手取りにも影響が。そして、その先には150万円の壁も存在。年収150万円を超えると配偶者の控除が段階的に引き下げられていく。
103万円の壁の見直しを公約で掲げていた国民民主党。午前11時ごろ、自民党と国民民主党の政調会長が会談し見直しなどに向けた政策協議がスタートした。その中で自民党に国民民主党が求めたのが年収の非課税枠を103万円から178万円に引き上げるという案。現在、最低賃金はおよそ30年前から1.7倍となっているので壁もその倍率に合わせた額178万円に引き上げるというもの。国民民主党の試算によると引き上げた場合には年収200万円の人は8万6000円の減税、年収800万円の人は22万8000円の減税に。自民党も103万円の壁の見直し自体は受け入れる方向で来週月曜日に石破首相と玉木代表が会談するなど今後、具体的な引き上げ幅や制度設計について協議していく考え。ただ、103万円の壁の見直しに伴って出てきた課題も。1つは税収減。政府の試算によると178万円に引き上げた場合には国と地方の合計で年間およそ7兆6000億円の税収減になる。更に、働く人たちにとっての課題も。立ちはだかるのは社会保険料の壁。税負担が発生する103万円の壁を178万円まで引き上げても106万円や130万円という社会保険料に関する壁にぶつかるという声。このうちの1つ、106万円の壁についても今、撤廃の議論が。厚生労働省は106万円の壁を撤廃し週20時間以上働く場合は年収や企業規模に関係なくその企業の厚生年金に入るという案を検討している。これは今の手取りを増やすという観点では保険料を納めるために手取りが減る人もいるが、保険料の半分は企業が納め年金額は増えるため将来の安定につながるという。