ワールドビジネスサテライト THE 追跡
来年4月に開幕する大阪関西万博。今週奈良で参加するおよそ160の国と地域から総勢600人が集まって万博の運営方法などを話し合う国際会議が開かれた。財政問題などを理由に参加を辞退する国が続出。さらに、各国のパビリオンの自前建設を断念する国も。インド、イランも断念した。各国が独自に設計建設するパビリオンの「タイプA」はおよそ60か国が当初希望していたが、複数の国でシェアする「タイプC」や日本側が建設を代行するプレハブ式の「タイプX」へ移る国が続出している。「タイプA」を断念したパキスタン万博担当者は「物流面、時間面、財政面など様々な問題があった」とコメント。会場では建設のタイプ別に説明会を開催。パビリオンの建設が遅れたり、小規模化していけば万博の運営に影響が出るだけでなく日本側の負担増も招きかねない。さらなる支援を引き出したい参加国側とこれ以上の撤退や負担増を防ぎたい日本側。アフリカ南部の国アンゴラは「タイプA」の自前建設を諦め日本が負担する「タイプX」に移ることを決めている。博覧会協会は数十か国と個別会談を実施。建材費や工事費の高騰といった財政問題など運営にかかる、さまざまな課題についてヒアリングし開催を目指している。ただ、自前建設の断念が続く状況で日本側の負担は増え続けている。そもそも、なぜ日本側は建設を代行してでも財政難の参加国をつなぎ止めたいのか。参加国の中にはグローバルサウスと呼ばれるアフリカやアジア、中南米の国々が多数ある。それらの中には日本が必要とする鉱物やエネルギーを豊富に持つ資源大国が数多く含まれている。日本がパビリオン建設を支援する「タイプX」に移ったアンゴラもアフリカ有数の資源国。代表者も元石油大臣。西アフリカのセネガルは万博後をにらんでの参加。開催国と参加国がそれぞれの思惑を抱え経済外交を繰り広げる今回の万博。