ワールドビジネスサテライト (ニュース)
石破総理大臣の突然の辞任表明を受け自民党は総裁選挙を来月4日に行う方向で調整に入った。石破総理の辞任表明で、今朝の日経平均株価は取引開始直後から大きく上昇し、ほぼ全面高の展開に。上げ幅は一時800円を超え、終値での史上最高値を上回る場面もあった。参院選大敗から1か月半、党内外で強まる退陣要求に対し自らけじめをつける形となった。日米の関税交渉で、一定の成果が出たことがこのタイミングでの辞任表明の理由だと説明した。ただ、道半ばで終わった政策課題も多い。就任以来、コメ価格など物価高対策に取り組んできたが、物価上昇は止まらず1年前より3%以上高い水準が続いている。また、物価変動を考慮した1人当たりの実質賃金は政権発足以来ほとんどマイナス圏で推移。賃金の伸びが物価高に追いついていない。経団連の筒井義信会長は「安定した政治政策本位の体制を確立して欲しい」と述べた。野党からも経済政策が停滞する状況に非難の声があがっている。立憲民主党の野田代表は「補正予算をきちっと審議する環境を急いで作ってほしい」と述べた。国民民主党の玉木代表は「国民から見たら政治空白だ。」と批判した。
自民党内では早くもポスト石破を巡り茂木前幹事長がいの一番に総裁選に出馬すると表明した。さらに小泉農林水産大臣は自身の出馬について明言は避けたものの、総裁選は党員も投票に参加するフルスペック方式で実施することが当然と強調した。また、石破政権や岸田政権で総理の右腕を務めた林官房長官が出馬の意向を固め周囲に伝えたことがわかった。今夜、旧岸田派の議員が都内で会食し意見を交わすなど正式表明への準備を進める。他に小林元経済安全保障担当大臣も総裁選への出馬を視野に、自身を支援する議員らと対応を協議している。マーケットにも、ポスト石破に関連し、三菱重工をはじめ防衛産業に買いの注文が多く集まった。去年の総裁選で石破総理に決選投票で敗れた高市前経済安全保障担当大臣が次の総理ポストに近いとみられ高市氏が重視する安保関連株が上昇した。
海外メディアも次のリーダーに関心を寄せている。トランプ大統領は「とても驚いた」と石破氏辞任のニュースについて語った。ニューヨークタイムズは次の総理候補はインフレや外国人政策そして不確実性の高いトランプ政権に対処する必要があると指摘するなどアメリカメディアは、日米関係の観点で分析している。ウォールストリートジャーナルは高市氏について「政治的姿勢はトランプ氏に近い。トランプ氏の友人である安倍元総理の盟友」と紹介した。経済や金融政策にも注目されていてブルームバーグ通信は金融緩和財政拡張派であり、市場に動揺が生まれる可能性があると指摘している。一方、ウォールストリートジャーナルは小泉農水大臣や林官房長官の場合は石破政権の路線を引き継ぎ市場への影響は限定的という識者の分析を伝えている。中国共産党系の環球時報は今日の一面で石破総理の辞任表明について大きく報じた。石破政権では日中関係が安定していたことがあり市民からは対中強硬派の総理が誕生することへの懸念の声も聞かれた。中国政府は石破総理の日中関係改善へ の姿勢を評価していたため次の総理について非常に気にしているものとみられる。さらに先月、首脳会談を実施した韓国でも、これまで穏健派と評されてきた石破氏の退陣を受け選ばれる人によっては日韓関係に変化が生じるだろうと報じられている。
