託される被爆資料 今とのつながり感じて

2024年9月19日放送 7:24 - 7:31 NHK総合
NHKニュース おはよう日本 (特集)

昨年度、開館以来、最も多い198万人余りが訪れた広島市の原爆資料館。先週金曜日からは新たに寄贈された被爆資料の展示が始まった。被爆から79年がたった今も全国から年間数百点に上る遺品や資料が寄せられている。今回、展示を担当したのは24歳の新人学芸員。これから先、どのようにヒロシマの記憶を若い世代につないでいくのか。大きな使命感をもって臨んでいた。広島市出身の山下真拓さん。去年12年ぶりに入った新卒の学芸員。任されることになった新着資料展は1年間に全国各地から寄贈された資料の展示のしかたを決めていく大仕事。山下さんは今とのつながりを感じてもらう展示にしたいと心に決めていた。大学時代に広島を離れた山下さん。同世代が被爆について関心がないことを痛感した。山下さん自身も被爆者だった祖父にその体験を詳しく聞けなかったことを後悔している。被爆者から直接体験を聞くことができなくなっていく中、学芸員として自分たちの世代が関わりを感じられるような展示を作りたいと考えた。
展示に向けて注目したのは手紙の資料。姉妹2人が被爆前に家族に宛てて書いたもの。何気ない日常が次第に失われていく怖さは今の時代でも想像できるはずだと考えた。清水麗子さん、喜美子さん姉妹。広島県北部の村出身で2人は原爆ドーム近くの郵便局で働いていた。穏やかな日々の様子がつづられていたが、次第に不安な気持ちが表れるようになる。8月6日、2人は郵便局で被爆した。遺骨は今も見つかっていない。この資料にどのような説明を添えるか。山下さんは客観的な情報だけでなく、今とのつながりをより感じられる工夫ができないか考えていた。ヒントをくれたのはこの資料の受け取りを担当した上司だった。残された家族の思いも知ってもらうことで今も変わらない悲しみが伝わるのではないかという。山下さんは説明文の最後にエピソードを付け加えた。新着資料展の初日。展示スペースには寄贈された955点のうち山下さんが選んだ134点が並んだ。姉妹の手紙。力を入れた説明文が添えられている。「戦後、母親が近くの山で大きな声で2人の名前を叫んでいた」。展示の前に多くの人が足を止めていた。大役を果たした山下さん。学芸員として原爆の記憶をつないでいく責任を新たにかみしめていた。学芸員の山下さんは今後寄せられる被爆資料を受け取る際は家族がなぜ今寄贈することを決断したのか、詳しく聞きたいと話していた。その中に伝えていくべき思いを読み取っていきたいということ。令和4年度の寄贈分を展示した新着資料展は来年2月25日までの開催。


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広島平和記念資料館原子爆弾山下真拓清水麗子清水喜美子

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