モーサテ プロの眼
SBIグローバルアセットマネジメント・朝倉智也の解説。従来の資産運用は株式と債券の組み合わせでポートフォリオを構築していた。これは株と債権の逆相関が前提だった。ITバブル崩壊やリーマンショックの際は株が下がったが債券価格は上昇した。この前提が崩れつつある。4月にトランプ大統領が相互関税を発表後、S&P500が下がりアメリカ10年債金利は上昇し債券価格が下落した。これまでは株のリスクヘッジとして債権を使われてきたが機能不全に陥っている。リーマンショックからコロナショックまでの間に世界の政府は相当な金融緩和や量的緩和したため政府の債務が拡大した。アメリカの政府債務は37兆ドル(戦後最高水準)。トランプ大統領の「大きくて美しい法案」により更に財政が悪化すると言われている。2055年12月には政府債務は54兆ドル、対GDP比156%と予想されている(アメリカ財務省の試算)。年初からアメリカのドルが下がっており、50年ぶりの半年の安値となっている。ムーディーズがアメリカの債権の格付けを下げた。アメリカドルの信任が低下するというリスクがある。債権が安全資産として機能しなくなる可能性がある。
朝倉の注目する資産運用のパラダイムシフトは「金」「ビットコイン」。金は供給量の制約があり価値を保つ資産。中国、ロシアを中心に世界の中央銀行が金を勝っている。世界の中央銀行により近保有残高グラフによると、この10年で3倍に増加している。世界の外貨準備高の構成比は1位・ドル、2位・ユーロ、3位・金だったが、金がユーロを超え、米ドルへの依存を減らしている。ビットコインも上限が決まっているため金よりも希少価値があると言われている。暗号資産の市場規模は約500兆円、米国暗号資産ETFの運用残高も20兆円規模に育っている。日本の暗号資産の市場規模も広がってきている。日本政府も暗号資産を国民の資産形成に資する金融消費と位置づけた。今後、税制改正やETF解禁が検討されるだろう。年初来の価格推移(金、ビットコイン、S&P500、TOPIX)、過去5年間の運用パフォーマンスの比較について解説。