防衛予算増額で注目

2024年7月3日放送 6:42 - 6:51 テレビ東京
モーサテ 深読みリサーチ

山和証券・元トレーダー志田憲太郎の解説。重工業大手3社は三菱重工業、川崎重工業、IHI。各社防衛関連や航空機関連だけでなく発電所やプラントなどのインフラ関連、産業用機械など多岐にわたる事業内容。売り上げは三菱重工業がおよそ5兆円。経常利益は3社が参加している航空機向けの国際共同開発エンジンに異物混入があった問題で検査や整備のために約1兆円の損失が発生した。出資比率に応じて各社は損失を一括計上している。IHIはおよそ1600億円、川崎重工業が580億円、三菱重工業は約200億円。IHIは赤字転落した一方で三菱重工業の影響は相対的に軽微であった。増益率は三菱重工は4.7%、川崎重工業は3.4倍、IHIは黒字転換のV字回復。2023年3月期と今期の会社予想の増益率を比較すると三菱重工業が73%、川崎重工業が56%、IHIが34%。直近2年間の株価では三菱重工業が約2.4倍、川崎重工業が約61%上昇、IHIは約5%の上昇。今期の会社予想は市場は織り込んでいる。今後の話題となっていることは防衛予算の増額。防衛予算増額による業績影響が最初に意識されたのは23年8月に発表された三菱重工の第1四半期決算の決算説明資料。航空、防衛、宇宙事業の受注額が6871億円で前期の通期分に匹敵する額を最初の3カ月で達成した。全事業でみても前年同期比で75%増。11月の第2四半期決算発表時には航空防衛宇宙事業の通期受注見通しを1兆円から1.8兆円に引き上げた。前年同期比で約2.5倍となる水準。防衛省の産業強化の方針が報道された。
新たな防衛産業政策では利益率を8%程度から最大で10%まで引き上げて半導体など価格上昇コストの調整代金も考慮するとされ最大15%の利益率との報道。企業側は利益目標を10%としている。コスト調整は補填部分。三菱重工業は従来の利益率とされている約8%は防衛省の期待値。実質利益率は5%程度。10%程度となると予算、利益率は倍となる。受注も明確に表れてきたので防衛関連への物色が活発化してきた。三菱重工業だけでなく他の2社の受注も増加見通しとなった。川崎重工業は第2四半期時点では三菱重工業ほどの増加とはならなかったが通期で約2倍、利益率も27年度まで10%以上を目指す方針。IHIも前期が過去最高の受注額で今期はそれを更新する見込み。民間の航空受注も含まれているために防衛予算だけではない。今期予想のセグメント別利益比率参照。三菱重工業はエナジーが主力。エナジーは火力発電に強みがあり原発、再生エネルギーとバランスよく展開。CO2回収でも高いシェアがある。物流ではフォークリフトの業績貢献が期待される。AI需要を背景とした電力需要の高まりはインフラへの投資継続が期待されて防衛関連としてだけでなくインフラ関連としても本命。川崎重工業は他の事業が落ち込んでいたこともあり今期まではバイクと四輪バギーのパワースポーツ&エンジンが稼ぎ頭。航空に加えて船舶などのマリン、精密機械ロボットが本格回復となれば総合的な爆発力がある。水素関連事業へも注力しており、将来の成長ドライバーになる。IHIは航空機のエンジン関連では技術力の高さに定評がある。今期から民間向けの需要が本格回復することに加えて防衛予算の増額。航空、防衛という視点で見ると比率が一番高いIHIが最も注目される。
3社の株価を紹介。三菱重工業は受注額急増以来人気。上場来高値を更新中。業績はこれから追いつく形で株価を正当化していく段階。川崎重工業は長いレンジをうわ抜けるか。IHIはエンジン問題の影響で最も出遅れているが航空防衛関連として本来なら最初に物色されても良い。防衛、航空銘柄の注意点について志田さんは「ボーイング社の動向。品質問題から生産ペースを落としている。株価も低迷。需要はあるが作れないとなると民間航空機需要の回復を見込んでいる各社の決算に狂いが出る可能性がある」などと話した。今日の番組終了後、午前7時8分ごろ〜モーサテプレミアムでモーサテ朝活Onlineをライブ配信する。引き続き、志田さんから重工3社の今後についてより詳しい話を聞く。


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川崎重工業防衛省ボーイングIHI三菱重工業山和証券モーサテプレミアムプラン

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