- 出演者
- 岩渕梢
きょうのテーマ「春闘 大幅賃上げ広がるの?」。解説委員:今井純子。今年の春闘は大企業を中心に今のところ大幅な賃上げの回答が相次いでいる。賃上げの内訳=定期昇給(年齢や働いている期間などに応じて上がる仕組みになっている分)+ベースアップ(ベア/基本給の底上げにあたる分)。これまでに妥結した大企業の結果をいくつか見ると、日立製作所やトヨタ自動車など組合の要求通りの満額の回答が相次いだ。中には外食大手「ゼンショーホールディングス」など要求を上回る11%超えの賃上回答をしたところもある。またイオンの子会社でスーパーの運営を手がける「イオンリテール」などパート社員の時給について賃上げ率で正社員を上回る回答をした企業もある。連合・第1回集計(今月14日):全体の賃上げ率5.46%(33年ぶりの大幅な賃上げとなった去年の同じ時期を0.18ポイント上回る)。パートなど非正規の社員の時給:75円余りの引き上げ(去年より上回る)。賃上げ率で見ると6.5%で、正社員の賃上げ率も 上回っている。過去と比べると大幅な賃上げになる。背景には大きく2点「生活を直撃している物価高」「圧倒的な人手不足」がある。深刻な物価高について、今年1月の消費者物価指数を見ると生鮮食品を含めた総合で1年前と比べて4%の上昇と2年ぶりの高い水準となった。特に米は1.7倍、生鮮野菜は1.4倍で、こうした物価の上昇に賃金の伸びが追いつかない状態が続いている。交渉で組合から去年以上に賃上げを求める切実な声も上がった。人手不足について。運転手不足でバスや電車を運休減便せざるを得ないなどの影響、専門人材(AIやデジタル分野など)は世界的に獲得競争が繰り広げられている。経営側から見ると、優秀な人材を採用して繋ぎ止めるには組合の要求に耳を傾けて魅力的な賃金をアピールすることが欠かせないという判断がある。春闘で決まった賃上げは4月以降、順次実施されていくので、経済の専門家の間からは「今年の夏以降、若干、賃上げの恩恵が物価を上回るのではないか」という見方も出てきている。ただ、これを実現するには働く人の70%が勤めている中小企業に大幅な賃上げが波及するのか、この点が今後の大きな課題となる。
きょうのテーマ「春闘 大幅賃上げ広がるの?」。解説委員:今井純子。中小企業の賃金上昇見通しについて。中小企業を取り巻く環境は大企業よりも厳しい状況。連合・第1回集計(今月14日):300人未満の中小企業の賃上げ率は5.09%(5%を超えるのは33年ぶり/去年の同じ時期を0.67ポイント上回る水準)。厳しい状況なのに賃上げが進んでいる理由について。人手不足が深刻ということもあるが、もう1つ背景として考えられるのが価格転嫁率(賃上げで人件費が増えた分のうち、どれだけ販売する商品やサービスの価格に転嫁できたのかを示すもの)。政府の厳しい要請もあって中小企業を対象にした去年9月の調査では44.7%と1年前の調査よりも8ポイント改善している。十分とは言えないが、賃上げの後押しにはなる。ただ中小企業の労使交渉はこれから本格化していく。連合の集計で今の時点で回答が出ているのはごく一部。しかも対象は労働組合がある比較的大きな中小企業に限られている。より小さな企業も含め賃上げの裾野を広げることが大事になってくるが、中小企業庁の調査を見ると大企業と直接取り引きする1次取引先から2次、3次とより零細な取引先にいくにつれ転嫁に応じてもらえないという結果も出ている。このままでは中小企業の間でも賃上げができる企業と、できない企業と 二極化が進むのではないかという懸念も経済の専門家の間からは上がっている。これからの交渉で賃上げの動きを中小企業全体に広げるには、やはり大企業が責任を持って直接の取引先のさらに先にいる多くの中小、零細企業にも価格転嫁が広がるよう取り組むことが欠かせない。実際、取り組む動きも出てきている。トヨタ自動車は来年度、2次、3次と続く約6万社に賃上げが広がることを念頭に直接取り引きする1次の取引先と話し合いをして取引価格に反映させる方針を明らかにしている。取引先を含む全体で優秀な人材を確保できなければ競争力を強化できないという危機感があるから。その上でもう1つ、で直接、消費者に商品やサービスを提供している小規模な飲食店や地域のスーパーなどの賃上げにつなげるには、適正な価格の転嫁(=値上げ)も必要になる。一定の値上げを受け入れられる社会にするためにも 賃上げの恩恵が十分には行き渡りにくい零細、非正規、フリーランス、年金暮らしなど弱い立場の人たちを含め全体の収入をどう底上げしていくのかを考えることが益々重要になる。
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