- 出演者
- 松嶋菜々子
今回は韓国のナッツリターン事件を特集。ジョン・F・ケネディ国際空港で大韓航空のチョ・ヒョナ副社長が離陸前の飛行機を、ナッツの機内サービスが原因で引き返させたという事件だ。
オープニング映像。
今回の運命の分岐点は2014年12月5日。この飛行機が搭乗ゲートに引き返した瞬間だ。最初の視点は当時チーフ・パーサーで機内から降ろされたパク・チャンジンだ。
パク・チャンジンは現在は大韓航空を退社して労働者の人権を守る講演活動を行なっているという。パク・チャンジンが大韓航空に入社したのは1996年。大韓航空は財閥のハンジングループの系列会社で、パク・チャンジンはそこで頭角を現すようになった。ただオーナー一家は常に人を見下したような態度で、オーナー一家の怒りを買うと降格や懲戒処分を受けることがあったという。そうした状況でパク・チャンジンはチョ・ヒョナ副社長が搭乗する飛行機を担当することになり、そこでナッツのことで副社長が激怒してパク・チャンジンを飛行機から降ろしたという。
この出来事が発覚するとメディアで大きく報じられることになり多くの批判が集まった。しかし大韓航空は暴力と暴言があったことを否定し、パク・チャンジンに事実と違うことを言うように指示したという。こうしたことにさらに批判は高まり、父のチョ・ヤンホ会長がカメラの前で謝罪する事態になったという。そしてパク・チャンジンはテレビ番組に出演して真実を訴えた。その後、チョ・ヒョナ副社長は辞任し、飛行機を戻したことから航空保安法違反で起訴された。最終的には懲役10か月執行猶予2年ということになった。パク・チャンジンは復職して不遇に耐えながら働き続けたと伝えた。
ナッツリターン事件をきっかけに立場の上の人が立場の下の人に横暴に振る舞うという「カプチル」の問題が映画やドラマの題材に取り上げられるようになったという。そこで次の視点はカプチルの問題に正面から向き合った映画監督のチ・ソンウォン。映画「接戦:甲乙戦争」についてチ・ソンウォンはドキュメンタリーに近い映画で、セリフは実際に言葉や録音データを元にしていると語った。専門家はカプチルが起こる背景には階級の固定があると見解を語っている。
次の視点では社会活動家のパク・ジョムギュ。パク・ジョムギュは相談窓口のホットラインを開設し被害者の声に耳を傾けてカプチルに立ち向かっていった。ナッツリターン事件以降からカプチルは韓国を象徴する言葉になったので、カプチルを気軽に相談できる場が必要だと思ったという。パク・ジョムギュはカプチルをメディアに訴えることで、社会を変えることができたと語った。2018年には職場ハラスメント禁止法が可決した。こうしたことから職場でのカプチルは減ってきたが、日常生活でのカプチルは現在も存在している。そのため意識を変えていくことは今後も必要だと伝えた。
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ナッツリターン事件を起こした大韓航空は4年後に、チョ・ヒョナの妹のチョ・ヒョンミンが取引先に会議中に水をかけるというカプチルをした。何も変わってないオーナー一家に従業員たちの怒りが爆発し、パク・チャンジンは先頭に立ってカプチルに立ち向かったという。パク・チャンジンは「当時は絶望感があったが、今にして思うとあれは韓国社会が変わる分岐点になった」と思いを語った。
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