2023年10月12日放送 23:06 - 23:55 テレビ東京

カンブリア宮殿
【過疎から世界へ羽ばたく サツマイモ輸出のトップランナー】

出演者
村上龍 小池栄子 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像。

カンブリア宮殿
アジアで爆売れ&国内でも人気!定番焼き芋に絶品いもスイーツ

焼き芋は日本はアジアでも大人気で今年香港で開催された食の展示会でも世界のメーカーがグルメを持ち寄ったがひときわ客を集めていたのがさつまいものブース。争奪戦になるほどの人気だったがここは日本の会社のブースで、国産のさつまいもの輸出量は、この10年で急増し現在は年間5700トン。そのうちの1000トンの2割近くのシェアをもつのが今回の主役のアオイファーム。国内外に向けて様々な品種のさつまいもを生産している。中でも看板商品は人気の高い品種のべにはるかの独自ブランドの葵はるか。焼けばとろとろ食感になり、極上の甘さが口いっぱいに広がる。また宮崎紅という独自ブランドのべにほっくりも推している。これは昔ながらのホクホク食感。こうしたさつまいもが都内の名店で使用され客を呼び込んでいる。世田谷・豪徳寺で評判の和菓子屋は大量のさつまいもの皮を剥いて練り込んだ芋ようかんははちみつのような甘さをもつ。これが世代をこえて大人気だという。また、芋にこだわるスイーツ店のイチオシは焼き菓子。葵はるかで作ったスイートポテトバウムは焼き芋のスイートポテトをバームクーヘンに流し込んだ一品。さつまいもブームを影で支えるのはアオイファームだという。

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Food Expo PRO Hong Kongくしまアオイファ-ムさつまいもべにほっくりまほろ堂 蒼月スイートポテトバウムベジラボ柳橋十条(東京)浅草橋(東京)芋ようかん芋王葵はるか要町(東京)豪徳寺(東京)香港
国内最大急のサツマイモ会社 一農家から世界へ打って出る!

宮崎県串間市の最南端にアオイファ-ムがある。43ヘクタールの広大なサツマイモ畑があり自社農場。全国のさつまいも農家とも契約し、年間取り扱い量は1万トンを超え国内トップクラス。その畑に現れた男性はくしまアオイファ-ムの池田誠会長。従業員数は113人で、茨城や沖縄にも拠点をもつさつまいも会社。池田は10年前までは家族四人でさつまいもを作る一農家に過ぎなかった。しかし2013年にそれまでのやり方と決別し起業した。妻の反対を押し切って農場から脱退し、くしまアオイファームという会社で6次ビジネスに乗り出した。すると、この10年で売上は40倍になり22億円まで伸びた。アオイファームのさつまいもは全国の販売店から引く手あまたで、首都圏のスーパーからも注文が耐えない。地元宮崎のスーパーでは専用ブースをつくり客にアピール。焼き芋のあまさにも秘密があり、串間市のアオイファームの本社へ。サツマイモの実をイメージしたクリーム色のモダンな社屋で、隣には皮をイメージした紫色の建物が並ぶ。この紫の方に甘さの秘密が。

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くしまアオイファ-ムスーパーとむら油津店串間市(宮崎)日南市(宮崎)

そこはアオイファーム定温貯蔵庫で、温度は13度から15度に保ち、湿度は95%に。この限定条件での貯蔵が甘さの秘密で、サツマイモはデンプンが多く、そのデンプンが貯蔵することで糖化するという。貯蔵庫に入れる前のものと三ヶ月貯蔵したものと比べるとその糖度の違いでは貯蔵庫にいれる前のものは30%ほど。貯蔵庫に三ヶ月保存したものでは50%を超え元々甘かった品種をさらに甘くしている。そんなサツマイモを使った名物メニューを紹介。

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P-cafeくしまアオイファ-ム串間市(宮崎)日南学園高等学校

サツマイモのアジアへの輸出は元々苦肉の策だったという。サツマイモの流通は東京なら茨城県や千葉県からで、大阪なら徳島県からが主流。串間市からは遠すぎることが問題だった。そこで池田は博多港から出ている船便に目をつけ、香港やシンガポールでテスト販売を行い現地のニーズを聞いた。アジアで好まれていたのは小芋で、アオイファームでは破棄するようなサイズだったという。そこで池田は苗の間隔を狭くして小さな芋を育て栽培する方法を開発。さらに近くの農家が捨てていた小さな芋も割高で買い取った。こうした独自戦略でアオイファームは国内屈指の輸出量となった。高齢化が進む地域にあるアオイファームだがその社員の平均年齢は33歳。外から集めた人材ばかりで、彼らが躍進の鍵を握るという。元商社マンの堀内は5年前にアオイファームへ。転職当時給料は3分の1になったがやりがいを感じているという。海外展開での貢献は絶大。こうした人材が脇を硬め、経営者としては素人だった池田を支えた。池田も講演で農業の大切さを訴え、若者立ちを仲間に引き込んだ。宮崎の過疎地域で農業改革を実践するアオイファーム。池田が掲げた理念は「強い農業はこえていく」。

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くしまアオイファ-ム串間市(宮崎)日南学園高等学校

スタジオに葵はるかの焼き芋が登場。味の感想に村上は柔らかいと答えた。小池も甘いと答え、野菜本来の甘さなのがすごいと答えた。アジアでのサツマイモ人気に池田は東南アジアにもサツマイモはあるが、日本のさつまいものような品種のおいしさはないという。また10年前までは農家だったという池田。すごく小さい農家で、ライバルのいない海外でスピード感をもって大量に流通させるのか創業初期の戦略だったという。また海外の情報集めについては日本の農産物を輸出している商社に電話をし、うちで取引しないかと打診したが30社電話して1社しか対応してくれなかったという。また社員の平均年齢が33歳ということに池田は日本でも有数の若さで、中途採用が多いというがその中には外資系の商社出身や、公務員、消防官、刑務官などがいるという。自分は農業しか知らず、その中で若い社員があつまり、まるで自分の家庭教師のようになったと答えた。

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くしまアオイファ-ム葵はるか農林水産省
「なんで俺に農業をさせた?」父の大病を機に農業を継ぐが…

池田は5年前に社長を退き会長になった。次の社長は社長総選挙を開いて決まった。会社では自分の長男も働いていたが、クリーンな形で次のリーダーを決めたいという思いがあった。その選挙では池田の長男と、商社から転職してきた社員が名乗りを上げた。またパート従業員や海外からの技能実習生まで投票し社長にふさわしいと思う人を選んだ。その結果社長になったのは奈良迫洋介。これまでにない会社を作った池田。しかし歩んできた道は日本の農業そのものだった。農家を営む両親のもとで1970年に生まれた池田は、父は農業だけで家族を養うことができずに大工仕事で日銭を稼いでいた。池田は子供心に恥ずかしいと言う思いがあったという。同級生の父親が会社員だったりするときれいな家に住んでいたが自分の家は貧乏だと感じていた。そんな暮らしに嫌気がさした池田は、高校を卒業すると串間を飛び出した。大阪の精肉店などで働いたが、夢も希望もなく惰性で毎日を過ごしたという。転機は23歳のとき。父親が末期がんに倒れ後を託された。池田は仕方なく農家を継ぐことになったが、農業は素人同然で畑で毎日害虫に悩まされ続け挙げ句の果てに作物が台風で全滅するなどした。

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くしまアオイファ-ム
農協から脱退し業績アップ 家族4人で売り上げ5000万円

父が病に倒れ仕方なく家業のサツマイモ農家を継ぐことになった池田。しかし台風や害虫でうまくいかなかった。池田は母に思わずなんで自分に農業をさせたのかと聞き、両親が自分の農業をさせたのが悪いと思っていたという。そんな時自分の子どもたちをみて自分のことを誇らしく思ってくれるか?などと思ったが全く思わないだろうと気づいたという。それでは駄目だと思い、サツマイモ作りに賭け、品質と規模の向上に突き進む。しかし新たな葛藤には、いくら高品質のサツマイモを栽培して卸しても他の農家の芋と混ざりあい消費者の顔も見えてこない。やりがいを見出すべく41歳で農協を脱退した。家族4人で個人経営を始めた。しかしその時妻は反対したという。家族で作った良質なサツマイモを携え、他県のスーパーに営業をかけ評価を高めたという。売上は年間5000万円にまで達したという。しかし池田は法人化した理由には家族4人で5000万円を売り上げたのはすごいことだが実際年間10日も休んでいなかったという。そうなると時給500円を切るほどで朝から夜まで必死になって働き、家族を自分の欲を満たすために怒って仕事をさせていたという。それが幸せなのかと考えた時に家族がつらそうに仕事をしている姿があったと答えた。

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くしまアオイファ-ム農業協同組合
農水省幹部の視察が転機に 農業の支援&輸出を拡大

その後、池田は2013年にくしまアオイファームを創業し会社で成長する道を選んだ。その時の周囲の反応は会社は続かないと思われていたという。周囲から懐疑的な目を向けられながらも池田は若い社員とともに強い農業を目指し、走り続けた。そんな時に1人の来訪者が状況を変化させた。突然農林水産省の幹部が視察にやってきて池田に「サツマイモは海外でもっと売れる」と言い出し苦しい農家ももっと潤うはずだと言ってきた。池田は目指す農業を幹部に訴えた。すると、応援してくれると言ってくれたという。国の後ろ盾を得たアオイファームは輸出事業を拡大させそれに伴い取扱量をもっと増やそうと全国の契約農家が仕事をし易いように動いていく。ネパール人のラマさんも力を借りた1人。去年からサツマイモを育て始めたが、土作りの手順なども教わったという。また農機具をレンタルできるようにした。アオイファームは2017年に農林水産大臣賞を受賞。輸出に取り組む優良事業者としてお墨付きをもらった。農協とも協力関係を結び、今では全国から参考にしたいという見学者が後を絶たない。

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くしまアオイファ-ム唐津市(佐賀)農林水産大臣賞農林水産省農業協同組合

農協を抜ける決断をした際について池田は親戚一同からも反対され母親には泣かれたという。しかしどうしても組織の所属していると言い訳をしてしまうと答え、なにかのせいにしないように自分が全部責任をとろうと全てやめたという。しかし自信は全く無かったが退路を断ってしまったので自分で売り切るしか道がないと思い全力で営業をかけたという。また個人創業した際にはデザインするお金がなかったが、商品のキャラクターを作ったのが当時小学生だった娘に頼んだ似顔絵を使っているという。

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くしまアオイファ-ム農業協同組合
全国の農家に被害が拡大 感染力大…サツマイモ基腐病

ブームの真っ只中にあるサツマイモだが、その一方で芋農家を怯えさせる伝染病が流行している。サツマイモ基腐病はカビの一種が芋を腐らせてしまう病気で極めて感染力が高い。農家はこのことで収入が半減してしまうというがここ数年で被害は33都道府県にまで広がっている。この問題にアオイファームは宮崎大学とタッグを組んで研究。ある対策を見出した。

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くしまアオイファ-ム宮崎大学志布志市(鹿児島)

サツマイモ基腐病は芋農家を悩ます感染病。宮崎大学を研究を進めてきたアオイファームはその対策の糸口を見出していた。それはポリフェノール。ポリフェノールの低い品種は腐らずに育つことがわかり、今年この病気への対抗力の強い新品種の開発に成功し今後全国の農家に広く販売していくという。池田はサツマイモ基腐病について感染力があり、生産管理をしても隣のサツマイモ畑で発生すれば感染し、地域全体が駄目になってしまうという。また独占しない理由にはこれは地域の問題であり、研究室の部分もオープンにフリーで拡散しているという。また「強い農業はこえていく」というのがアオイファームの理念だが強くするとはどういうことか?と尋ねられた池田は以前の自分は弱かったという。

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くしまアオイファ-ム宮崎大学田野62号
(エンディング)
エンディングトーク

「強い農業はこえていく」というのがアオイファームの理念だが強くするとはどういうことか?と尋ねられた池田は以前の自分は弱かったという。地域や先輩、農協の愚痴を言っていた自分を強くしたいという思いがあり、プライドをもって誇り高く生きたいというのが強いという意味だという。また「こえていく」がひらがななのはアオイファームは海を超える、土壌や畑が肥える、世の中の常識を超えるなどの意味で使っているという。

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くしまアオイファ-ム
編集後記

村上龍は今日の総括に串間で、誰も挑戦したことがない農業モデルを作る、それが自分の使命だと思った。稼げる農業モデルに変えられるのかを考え続けた。2011年、JAへの出荷を止めた。退路を断って、自分の責任で生産から販売までやろうと。母親は親族からは猛反対されたが、スーパーなどに1軒1軒訪ねて直接営業をした。シンガポールへの輸出をはじめる。ほくほくしておいしいとすぐに評判になった。池田さんが作るサツマイモが、極上のデザートのようだ。「赤ほや」と呼ばれる火山灰が積もった土壌が生んだ、味なのだ。とした。

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次回予告

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