2023年12月14日放送 23:16 - 0:05 テレビ東京

カンブリア宮殿
【1円でも稼ぐ!地獄を味わったANAの新戦略】

出演者
村上龍 小池栄子 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像。

カンブリア宮殿
客室乗務員の涙…4年ぶりの新卒採用

10月1日に行なわれたANAの内定式。来年4月に入社予定の600人が集結し四年ぶりに客室乗務員420人が採用された。悪夢が襲ったのは2020年。新型コロナウイルスがまん延し、他府県をまたぐ移動や海外渡航が制限されフライトはストップ。空港から人は消えて旅客数は激減した。コロナ前にグループ全体で2兆円あった売上も7300億円にまで急落し、ボーナスはなくなり社員の年収は3割削減された。しかし今年に空港に活気が戻ってきた。国内線は9割戻り、国際線も7割が回復している。ANAホールディングスの社長は芝田浩二。ANAのグループ社員は4万5000人ほどで、コロナ禍が始まった頃に常務取締役だった芝田は社員の雇用を守るために奔走した。苦渋の決断で推し進めたのは、社員たちに出稼ぎに行ってもらうことだった。320もの企業や自治体に協力を依頼し、2300人が出向した。当時の思いに芝田は、最初は出口が見えない苦しさがあったという。2022年4月に社長に就任。少しでも収入を増やそうと様々な手を打ってきた。

キーワード
ANAホールディングスSARSコロナウイルス2ワールドビジネスサテライト全日本空輸羽田空港第2ターミナル

その方法には機内食。都内のスーパーには人だかりがあったが、目当ては冷凍食品があったがこれはANAでエコノミークラスで販売されている機内食が味わえる。今回はパエリアが用意されていたが他にもハンバーグドリアデミグラスソースや鶏もも肉のハーブ風味赤ワインソースなど人気の機内食を販売している。スーパーなどで販売すると大ヒットし200万食以上が売れた。コロナ禍でフライトがなくなると機内食をつくる工場も大打撃に。そこで工場サイドが提案したのは冷凍食品としての販売。次にANAがコロナ禍で行っていたのは備品販売。ANAのシートカバーは傷がつくと以前は廃棄していたが今はリサクルされルームシューズに。これもコロナ禍で売り出したもの。また作業員の作業服でバックをつくる事を生み出した。これらは売り出す度に人気商品で完売になるという。

キーワード
ANA特製ルームシューズハンバーグドリアデミグラスソースパエリア全日本空輸明治屋広尾ストアー渋谷区(東京)目黒区(東京)鶏もも肉のハーブ風味赤ワインソース

またANAでは飛行機の窓やファーストクラスの座席などをオークションで出品し、数百万円で落札されたものも。次に見学ツアー。羽田空港の近くにあるANA Blue BaseというANAの施設では小学生の校外学習が行なわれた。向かったのはビジネスクラスの座席。

キーワード
ANA Blue Base全日本空輸大田区(東京)港区(東京)
社員たちを”出稼ぎ“に…「生き延びるんだ」苦渋の決断

飛行機や航空会社の仕事を身近に感じてもらおうと始めたツアーは客室乗務員の訓練も見学できるという。他にも整備士の訓練もあり21年の12月からスタートし去年は1万人が参加するなど、予約がとれず人気のツアーになっている。ANAホールディングスは2023年上半期は過去最高の営業利益に。グループの年間売上は2兆円で、その5分の1の規模にまで航空以外のビジネスを拡大するという。芝田はコロナ発生当時についてはここまで長引くとは思っていなかったという。国内の空港に乗客がいないことに愕然としたという。またその間に社員は出向したが、送り出す側としては苦渋の決断だったか?という質問に芝田は仕事がなくコロナが収まるまで活躍してほしいとそういう気持ちで送り出してはいるが、出向期間中は自分たちが実家なので実家が最大限のサポートをし、困ったらいつでも連絡してほしいと言ったという。また機内食を冷凍食品にして販売するというアイディアについて芝田は工場側からのアイディアで、1円でも稼ごうというメッセージに応えていろいろな現場がアイディアを出したという。

キーワード
ANA Blue BaseANAホールディングス全日本空輸大田区(東京)
「今は貧しくても将来は有望」全日空と共に歩んだ人生

ANAホールディングスの社長室には「現在窮乏将来有望」という言葉が掲げられていたが、これはANAのチャレンジ精神を表しており代々受け継がれてきた言葉だという。ANAのスタートは1952年に遡る。前身会社の日本ヘリコプター輸送が誕生したが当時は資材の輸送や農薬の散布を行う小さな会社で従業員は30人。ヘリコプター2機をもつ会社だった。1958年に極東航空と合併し全日本空輸が誕生した。しかし当時は国際線を飛べるのは日本航空だけで、全日空は国内線のみだった。ちょうどその頃に鹿児島県の離島の加計呂麻島という小さな島で、芝田は生まれた。小学5年生の時に教師をしていた父親の転勤で奄美大島に移り住んだ。そこで初めて飛行機を目にしたという。全日空の飛行機が芝田の心に強く残ったという。その後東京外国語大学中国語学科に進学。学業と空手に打ち込んでいた三年の時に大学の掲示板であるポスターを目にする。それは北京の日本大使館職員の募集だった。芝田は大学を休学し北京で働くことに。ある日、北京の空港で以外なものを目にする。

キーワード
ANAホールディングス加計呂麻島奄美大島日本ヘリコプター輸送日本航空東京外国語大学極東航空

大学を休学し北京の大使館で働いていたANAの芝田は、ある日北京の空港でANAの飛行機を見かけた。国際線ではなかったが、チャーター便の運航が始まっていたという。全日空に運命的なものを感じた芝田は国際線の就航に役に立ちたいと思うように。帰国した芝田は1982年に大学を卒業し、全日空に入社した。国際部配属され国際線の就航に奔走した。1986年には、初の国際線の東京ーグアム路線が就航。同じ年の7月には、ロサンゼルス路線などが就航した。その後も中国路線を拡大するなど、コロナ前には21の国と地域、65路線に伸ばし、日本航空を抜いて国内最大の航空会社へ。芝田は加計呂麻島出身だが飛行機とは無縁だが奄美本島にいくと空港があり、そこには全日空の機影が見えたという。また休学してまで北京に向かった理由には大学の先生に東京外語代の中国学科を出たというと周囲が勝手に中国語が話せると思うという話に君は大丈夫か?と聞かれ、これはまずいと思ったという。その時に2年間給料ももらえ北京で仕事ができるということで飛びついたと答えた。そして北京の空港で全日空の飛行機をみて驚いたというが、当時の国際線は日本航空であり、日常で見る光景だったという。しかしそこに鹿児島でみた全日空がいるのは衝撃的だったと答えた。またコロナ禍で社長に抜栓されたという芝田。その思いについては戸惑いがあったという。その起用理由は国際線に携わってきたことが一番大きい理由ではないかと答えた。

キーワード
日本航空極東航空片野坂真哉
「ロボット」&「空飛ぶタクシー」航空会社が一体なぜ?

大分県別府市にある別府市立東山小学校では生徒は社会科見学のはずだがこの日は教室にいた。見ていた画面にはJAXA種子島宇宙センター宇宙科学技術館をガイドが案内していた。これを映しているのはモニターがついたロボットnewme。ガイドが動くとnewmeもその後をついていく。newmeを操作しているのは教室の子どもでパソコンの十字キーで前後左右へ。これはANAグループから生まれた初めてのスタートアップが開発。コロナ禍で自宅にいながら旅の気分を味わってもらおうと観光施設に設置し人気に。ANAがロボットの開発に乗りだりたのは身体の移動ではなく意識や存在感、技能を移動させるサービスに進化させたという。newmeは様々な企業にも使用され住宅設備メーカーではスタッフを客に見立ててテスト運用が行なわれていた。各地にあるショールームに多くのスタッフを配置しなくて済むというメリットがある。10月の東京ビッグサイトではジャパンモビリティショー2023が開催。国内外の自動車メーカーが再審の車を展示するイベントが開催。芝田の姿もあったが、手軽に空を移動できる空飛ぶクルマがあり、今世界で開発が行なわれている。ANAはアメリカのメーカーと組みビルの屋上で乗り降りして乗客を運ぶ空飛ぶタクシーの運行を目指す。芝田は空飛ぶクルマについては5人乗りで新幹線並みの速度で飛べ、それでいて静かなのでタクシーをして使用したり、空港から島まで空飛ぶタクシーで移動するのも良いと答えた。またANAがロボット事業に関わる理由には、社内公募からだったという。単にロボットだけでなく大量のデータを瞬間に遠くまで飛ばせるのがコアになっていて、ロボットが人手不足を手助けする時期が来ると答えた。

キーワード
JAPAN MOBILITY SHOW 2023newmeアバターイン全日本空輸別府市立東山小学校大分県新屋島水族館東京国際展示場神奈川県種子島宇宙センター箱根ガラスの森美術館香川県
埼玉から”翔んで“鳥取 客室乗務員が驚きの仕事

ANAの客室乗務員の金井塚はこの日鳥取県庁へ。客室乗務員と兼業で県庁で働いているという。埼玉から鳥取に移住したというがSNSを活用して鳥取の魅力をPRするのが仕事。ANAでは21年に10月に社員の雇用を守るために兼業や地方への移住を認める制度を開始。現在25人が活用している。この日金井塚は畑へ。鳥取名産のあるものが栽培されているがそれは長芋の新品種のねばりっこ。収穫の様子は同僚が撮影し、SNSにアップした。また観光施設や飲食店に向けたおもてなし研修会の講師も行っているという。またフライトの日には鳥取空港から羽田空港から出社するという。

キーワード
ねばりっこ全日本空輸東京国際空港鳥取県庁鳥取空港
(エンディング)
編集後記

村上龍は今日の総括に、芝田さんは、加計呂麻島で生まれた。鹿児島県と沖縄県の間に位置する奄美群島に属し、青色の海と白い砂浜に囲まれた島には、小さな商店があるだけの素朴な風景が。「島から東京外大に行く人は?」「いません」という返事だった。小学生のとき、奄美大島でプロペラ機・YS- 11 を見た。1982年全日空に入社すると、アジア戦略部長などを歴任し「アジア・中国の芝田」の名が。出向した職員も同僚だと大事にしている。約4万人いる「家族」なのだ。そのトップに加計呂麻島の出身者が。素敵なことだと思う。とした。

キーワード
YS-11全日本空輸加計呂麻島奄美大島東京外国語大学芝田浩二
次回予告

カンブリア宮殿の番組宣伝。

テレ東BIZ、U-NEXT、TVer

テレ東BIZ、U-NEXTで配信のお知らせ。TVerでは傑作選も配信中。

キーワード
TVerU-NEXTテレ東BIZ

© 2009-2024 WireAction, Inc. All Rights Reserved.