2023年11月16日放送 23:06 - 23:55 テレビ東京

カンブリア宮殿
【激変する時代が生んだ通信制高校 教育革命の全貌】

出演者
村上龍 小池栄子 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像。

カンブリア宮殿
世界で活躍する選手たち 実は…高校が共通点

上野愛咲美5段はこの秋に中国で開催されたアジア大会では銅メダルを獲得した。またフィギュアスケートの紀平梨花選手やテニスの望月慎太郎選手なども同じ高校出身だという。そのN高等学校は2016年にKADOKAWAとドワンゴが共同で設立した高校で、新入生はVRのゴーグルでみていたのは沖縄・伊計島にある本校の様子。ここは通信制の高校で、ネットを使って全国で学ぶ生徒たち。その数は2万6000人にのぼる。進学面の実績も高く東大や京大を含む国公立を含む113人。早稲田や慶應などの難関私立大学にも多数の合格者を出した。さらに世界大学ランキングで東大の上の海外の難解大学も突破。3年の須藤さんはシステムエンジニアの父の影響でプログラミングに熱中してきたという。中学時代はひきこもりのような状態だったという。自分の好きなように時間を使えるのはN高の魅力。この日初めて机に向かったのは夕方の5時近く。高卒認定の必修科目は5分から10分ほどの動画を使ったもので、その後、テスト形式のリポートを提出し一日1~2時間程度学習すれば卒業に必要な単位が取れるという。また動画だけでなくVRゴーグルをつけて実際に英会話の授業もできる。

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須藤さんは中学時代とは人が変わったように外に出るようになったという。この日、スタートアップ企業にやってきたが須藤さん。プログラミングの腕をかわれ、高校生ながらインターンとして働いているという。研究しているのはゴーグル型のデバイス。つけると目の前に指示が出されその手順で行えば素人でも薬が作れるという。N高には大きく分かれて2つの学び方がある。一つはネットを使って受講するネットコース。学費は年間6万3000円から。もう一つは通学コースがあり週に何日登校するか決めて通う。全国43箇所に拠点があり都合の良い場所に登校できるという。制服はあるが私服でもOK。年間56万円ほどの学費に。須藤さんは通学コースに所属し、週に3日通っている。到着早々始めたのは趣味のゲーム作り。隣の生徒は受験勉強と様々。皆好きなことをしているがそれでも通う意味は大きいという。N高では不思議な光景にこの日生徒の前に現れたのは菅義偉前総理。これは政治部という部活動の様子で歴代総理を始めとする現職議員と生徒が直接意見交換している。他にも投資部では物言う株主の村上世彰が講師でやってくる。

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ネットコースの秋藤さんの1日では朝九時の取引にあわせて株価のチェックを行う。投資部は実際にお金を買って株式投資を学んでいる。元手は村上財団で部員1人につき20万円を支給する。一年で出た儲けは自分のものになり失敗しても返さなくてよいという。さらにN高では課外授業もある。

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好きなことを好きなだけ 個性を伸ばす異色の教育

長崎の五島市で課外授業にでかけた生徒たち。魚醤は五島列島の名産品だが、いくつかを混ぜ合わて新製品を作る。これは職業体験の授業だという。調理師を目指している西川原さんは初めての魚醤に興味津々に。こんな体験が一段落するとお昼に。メニューは五島列島産のそば粉を使用したごSOBA。そこにやってきたのは校長の奥平博一。職業体験は五島列島以外でも行っていて担い手の減った仕事の現場にも赴いた。奥平は実際に現地に来て地元の人の課題や話を聞くことに価値があると話した。ネットコースに通う加藤さんは難解大学を目指す。今年度の必須科目は4月に一ヶ月で終わらせた。現在は授業動画を見返し一日10時間猛勉強。加藤さんのような大学授業を目指す生徒にはライブの授業も。講師がスタジオから生配信する。また生徒たちの解答をリアルタイムで添削するなどし、コメントで質問でわからないことはその場で解消できる。以前は全日制の学校に通っていたという加藤さん。自律神経の不調で通うのが難しくなり2年前に通信制に。N高等学校 をすすめたのは母だったという。転校に踏み切ったのは前の学校に感じていた不信感。またN高には授業を請け負う講師の他にあらゆる相談を親身にのってくれるメンターというスタッフも。大学を目指す生徒にはハイレベルな学習環境を整えるN高。一人一人の得意を伸ばす事が大事だというがこうしてN高の生徒数は四年後には日本一に。翌年にはN高と同じシステムのS高も開校し2万6千人の生徒を抱えている。

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奥平はN高を選ぶ生徒については目的をもって来る生徒もいればそれはないが色々なことをしてみたいという人もいると答え、そのような生徒には様々なコンテンツから選んで時にやめても良いと答えた。その教育コンテンツは音楽制作やヘアメイク術、文芸小説創作、お菓子作りなど様々。用意した授業の動画は1万3000本に及ぶ。また入学試験もなく中学を出ていれば入学が可能。奥平はその理由に社会派多様な人の集まりであり、学力が一定水準以上の集まりではないので、社会そのものを高校で経験させたいと答えた。またN高のモットーは自分が好きなことをやってみたいことを徹底してやるというのはモットーだと答え通常の学校ではできないことだと答えた。また難関大学を目指す生徒については、大学進学も就職するのも1人の生徒の進路は同じだと答え。夢を実現するために学校側は最大限の努力をしたいと答えた。また通信制の高校のイメージでは通っているというだけでマイナスなイメージがつくがそれを変えていきたいと答えた。

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通信制のイメージを変える 友達のできる“ネットの高校”

10月下旬にN高の本校に大型バスが到着した。200人のN高生が降りてきたが通学コースやネットコースにかかわらず3年の間にここで授業をうける。生徒は5日間はじめましての状態から生活をともにする。

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沖縄県の本校に集められた生徒たちはスクーリングという、5日間沖縄本校で行う対面式授業にのぞむ。全員はじめましてだがその生徒の中にはすでに同好会のメンバーでネットでやりとりしているなどしていた。誘い合ってメンバーがやってきたがこうした同好会が220以上ありオンラインで盛んに交流している。初めて会ってもこうした繋がりがあるという。また同好会に入っていない生徒にも友達が出来る方法があり、この日沖縄の伝統ボードを初対面のメンバーで一緒に漕ぐ。こうしたことであっという間に仲良くなるという。これも奥平の求めるもので、教職員に配られた行動指針の中の一番上に、ネットで友達を作れる学校づくりを大切にするとある。

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通信制のイメージを変える 生徒に教わった可能性とは?

奥平は1958年に教師の父のもとに生まれ自然と教職に興味を持つようになった。小学校の教員や、塾講師などを経て39歳で通信制高校の生徒になった。そんな学校で1人の生徒と出会った。中学のときは学校に通えていなかった吉川さんは細くてひ弱な印象だったというが、彼が夢を語ったという。自衛官になりたいと語ったが、奥平はその時夢を叶えるのは難しいと考えたという。しかし3年後に彼は海上自衛隊に入隊。現在吉川さんは海上自衛隊で船の舵を握っている。夢を諦めることなく走り込みをしていたという吉川さんは通信制だからこそ変われたと話す。その挑戦を見届け、奥平は自分のやりたいことを見つけたらそれに向かって出来ると通信制の可能性を感じたという。奥平はその後生徒にすすめられニコニコ動画をみていた。動画にコメントが流れていく様子が授業風景のように見えたという。配信者と視聴者が双方楽しんでいる様子に通信制の高校につながるのではと思いついた。そこで2014年にニコニコ動画の運営ドワンゴに学校を作らないかと直談判。ドワンゴは当時、KADOKAWAとの提携をすすめる勢いにのったIT企業。門前払いも覚悟の上だったが、この話をドワンゴの創業者が面白がった。

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奥平はその後教職員をやめドワンゴに入社し、沖縄へ学校づくりのために移住。まずはその校舎を探した。家族を東京に残しマンスリーが自宅兼事務所に。そんな中で四年前に廃校になった学校の校舎をみつけたが地元民は東京から来たIT企業と警戒していた。地域にとっていい話なのかと半信半疑で生徒を受け入れることになったが今ではにぎやかになったという。奥平は学校を買い取ったことについて地元民に反応はよくなく、地域の人に取っては通った思い出の学校であり、東京から金儲けに来たと思われていたという。しかし校舎からは綺麗な海が見えてここに生徒を呼びたいと思ったという。また実際に学校を作る時に学校の職員ではないドワンゴのスタッフと話はあったか?について奥平はあわなかったがそれが逆に良かったという。

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個性を伸ばす異色の教育 N高メソッドでつくる新大学

6月に通信制大学の創設が発表された。ZEN大学は2025年に開口を目指す通信制大学。この大学の構想はN高生からの要望から始まった。準備は着々と進行中でこの日は新たに迎え入れる教授たちへオンラインの説明会が行なわれていた。新たな仲間として加わるのは日本にAI研究を牽引する東京大学の松尾豊教授。東大に続く最先端の研究室をZEN大学に創設予定。

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激変する現代社会… “教育の目的”とは?

奥平は教育の目的に世の中に生徒を送り出し自立させることだと答え、そのためにスキルをいかに与えてあげるかだという。

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(エンディング)
編集後記

村上龍は今日の総括に小さいころ「お前はリーマンにはなれない」と大人たちから言われて育った。両親、小学校の教師、近所の人などだ。周囲との適応力がない、らしかった。昭和30年代、サラリーマンを除外して職業を考えるのはむずかしかった。わたしは、ありとあらゆる職業を考え、しょうがないので作家になった。N高等学校の生徒たちは、当時のわたしと同じような位置にいる。社会に出て行っても戦える武器を与える。生きるためのスキルを教える。彼らが幸福だというわけではない。ごく普通の立場にいるということだ。とした。

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次回予告

カンブリア宮殿の番組宣伝。

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