2024年6月20日放送 23:06 - 23:55 テレビ東京

カンブリア宮殿
【変幻自在の“200年企業”時代を先取る地方の巨人 その全貌】

出演者
村上龍 小池栄子 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像。

知られざる静岡の200年企業「鈴与」
空から富士山の旋回も! 予約殺到の“絶景ツアー”

SLで有名な静岡県の大井川鐵道は人気で4月上旬に静岡県の名所を巡る日帰りツアーに同行した。この時期ならではの光景には桜のトンネル。車窓からの一風変わったお花見に大興奮。お昼は、とある人気投票で日本一になったホテルのビュッフェが。ツアーを企画したのはフジドリームエアラインズという航空会社。このツアーの目玉にスペシャルなフライトを用意。離陸して10分で富士山が楽しめる。高度5000mで富士山の上空を何度も旋回。フジドリームエアラインズは静岡を拠点にローカル路線に特化した航空会社。鈴与はこの航空会社を傘下に持つ企業グループ。

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陸海空を制す「静岡の巨人」トップは変化を恐れない“82歳“

静岡県清水区には鈴与という名前をよく見かけるが鈴与グループは物流、商社、食品、航空、建設など全139社の総売上高は4920億円。

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清水の町外れにある富士川滑空場では航空スポーツの練習場になっている。この日集まったのは、大学生から80代までの20人。ライセンスがなくてもベテランパイロットが遊覧飛行に連れて行ってくれるという。その鈴与グループの代表は鈴木与平。4月上旬に鈴木率いる鈴与グループのイベントが行われた。今年グループ企業に入社した新入社員の合同歓迎会が行われ、与平も汗を拭いながら一人一人に声をかけて回った。鈴与は1801年に廻船問屋とした創業した。創業者の名前が播磨屋与平。鈴与では頭首の名前が受け継がれていく。今の与平は8代目。明治時代に入ると鈴与は石炭の販売を行う。鉄道の開通にいち早くあわせたことで国内屈指の石炭商に。昭和初期には日本初のツナ缶を発売。世界恐慌にあえぐアメリカに輸出し大ヒットに。また魚由来のインスリンを開発し日本初のチューブ入りのマヨネーズを発売した。時代にあわせた商売でこの変化こそが鈴与の本質。

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「今やロフトの生命線」物流の常識を変える

常に時代を先取る鈴与だが売上の3分の1を支えるのは物流。物流を担う中核会社鈴与株式会社はここ数年の売上は右肩上がり。その理由が東京の銀座のロフトに。毎朝6時に商品を運び入れている。店舗裏の荷下ろしスペースはすぐにいっぱいに。他の運送会社ならこれで終わりだが、鈴与の場合では売り場のあるフロアにまで運び入れ、文房具やマスクなどをあらかじめ仕分けしている。売り場では並べるだけなのでスタッフの手間が省ける。ロフトでは5年前まで複数の物流会社を使っていたが7割近くを鈴与に置き換えている。静岡県にある富士山フロント物流センターはサプリメントを扱う物流拠点。扉の先にはエアシャワーがありその奥はクリーンルームになっている。ここで鈴与がメーカーにかわってサプリメントの瓶詰め作業を行っている。

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食糧危機を予測!?鈴与流の農業改革

2013年に鈴与はこれまでに一度も手掛けたことのない農業に進出した。作っているのはトマトで、グループ傘下の食品会社が作るミネストローネの材料にも使用される。ハウスではロボットがカビなどの病原菌を抑制させ、収穫後にはトマトの選別はAIを活用し品質を識別。また売り物にならないトマトやグループの食品会社から出るトマトを利用してメタンガスを発生させ、これを発電機の燃料にし200世帯1日分の電力を毎日発電している。

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変幻自在「静岡の巨人」航空業界・農業にも参入

鈴木は鈴与が廻船問屋だったという話に山梨県には富士川という皮があり船で清水に荷物を運んでいたという。そこから江戸へ大きな船で運びそれが鈴与の創業時の仕事だったという。また以前は薬の会社やっていたと語り、自身が社長をしていたが、その品物を卸すロフトなどで大事なのは接客であり梱包や品物を受けとる部分は鈴与が肩代わりし役に立てないかと考えたという。

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航空業界に新風のFDA 地方と地方を直接結ぶ

フジドリームエアラインズは2008年に静岡空港の開港に向けて設立された。航空会社の設立は学生時代グライダー部に所属した鈴木の夢だったという静岡空港の隣にあるFDAの訓練施設は立ち上げ当時周囲が反対する中で与平が導入したマシンがフライトシミュレーター。FDあのパイロットが訓練で使用するシミュレーターは操縦にあわせ機体の揺れなどを忠実に再現。その費用は40億円。自社でパイロットの育成ができることでパイロット不足に対応できているという。地方と地方をつなぐをコンセプトに羽田とではなく地方航空同士を直接結ぶ路線を拡大しているFDA。このコンセプトは鈴木がこれからの地方の可能性を信じてうちたてたもの。東京と名古屋に挟まれる静岡はFDAに飛ぶ前は一旦大都市に出る必要があったが地方同士が交流することで新たなビジネスを生み出していた。

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変幻自在「静岡の巨人」 歴史を背負う八代目の覚悟

鈴木が清水に生まれたのは1941年。生まれたときから鈴与の跡継ぎを決定づけられていたがそれに抵抗を感じていたという。大学を卒業後には日本郵船に出向した。後継ぎの重圧から逃れるように海外駐在員を希望しヨーロッパでの生活を始めた。そんなある日、パリのオフィスにいた鈴木のもとに一通のテレックスが。その内容は父からで大至急帰国してほしいとの内容だった。帰国した鈴木は鈴与が最大の危機に陥っていることを知った。

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赤字転落「大企業の甘え」八代目の決断とは…

海外駐在員だった鈴木。父の命令で1974年に帰国した。その頃鈴与はオイルショックを発端に創業初の赤字に。このピンチに鈴木は覚悟を決める。帰国から3年後に36歳で社長に就任し、一大決意で取り組んだのは分社化。当時稼ぎ頭だったのはエネルギーなどを扱う販売部門。全体の80%を占めていた。その裏で物流部門は伸び悩んでいた。分社化に反対する声もあったが10年もの歳月を経て販売部門を鈴与商事として分社化。稼ぎ頭を失った本社の物流部門もそこから奮起して改革を断行。物流の枠を越えたサービスを生み出し売上をのばした。

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赤字転落「大企業の甘え」 復活のカギは“個の自立”

鈴木は鈴与が創業以来の赤字になったことについては高度経済成長に会社を大きくしてしまったためにオイルショックでそれが爆発し歪みが生まれていたという。また稼ぎ頭のエネルギーなどの分社化については片方で物流をやっているがもう片方では商社の仕事もしている。全くミッションも違えば社員の考え方も違ったという。その中でわけるのは大変だったと答えた。分社化によって一体感が薄れることを恐れた鈴木。その中で生み出した言葉は「共生」。ともいきと読むがそう名付けた理由には共生と似た考え方だと語り前提が個の自立で、それがあってこそ助け合いが出来ると答えそうして初めてお客と対等に仕事が出来ると語った。

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物流の2024年問題 「危機はビジネスチャンス」

今も問題になっているのは物流2024年問題。これまで実質上限のなかったトラックドライバーの時間外労働が年間960時間に制限された。残業代が減ってドライバーの離職が増えると予想される。鈴与は早くからこの問題に取り組んできたがむしろビジネスチャンスだという。

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テレ東BIZ、U-NEXT

テレ東BIZ、U-NEXTで配信のお知らせ。

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物流の2024年問題 「危機はビジネスチャンス」

今も問題になっているのは物流2024年問題。鈴与は早くからこの問題に取り組んできたという。甲賀市にあるTOTO滋賀第2工場に巨大な車がやってきた。この車は鈴与特注のトレーラーで大型トラックに比べ2倍近く積めるトレーラー。鈴与は積極的にトーレーラーを導入し今では保有する7割がトレーラー。積み込みを終え千葉のトラックへ。滋賀県から千葉県の倉庫まで470キロで7時間の道のり。3時間かけて静岡に入ったが高速を降りて鈴与の駐車場へ。荷台を切り離し帰ってしまったが翌朝に別の車がやっていてそれを運搬。運転手も違い千葉にまで運ぶ。これはドライバーの働く時間を減らすためにトレーラーの頭だけをかえて運搬する中継輸送という方法。この中継輸送はRORO船という輸送船にのるが船内部分には荷台だけがあり別の車が荷台を引き取って運搬する。またドライバーの給料はむしろ上がっていて、こうした取り組みで鈴与のドライバーの離職率は全国平均の半分以下。また一連の改革が評価され仕事も増えている。鈴木は鈴与の本社は日本の一番真ん中にあり、長距離の輸送には問題意識を持っていたという。またドライバーの賃金はもっとあげていく必要があり、お客にそれを理解してもらう必要があると答えた。

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清水港で挑む「新たな挑戦」未来につなぐ街づくりとは

鈴木は今力を入れていることに新しい街作り。

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鈴木は今力を入れていることに新しい街作り。清水港を開かれた空間にしようと観光地化を進めている。鈴木が目につけたのは石造りの倉庫。こうしたものをいかした清水ならではの観光資源を作り出す。 

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(エンディング) 
編集後記

村上は今日の総括にフジドリームエアラインズという名称、富士山静岡空港に間に合わせるために物流大手の鈴与が立ち上がったという風に描かれる。実際は少し違う。鈴木与平氏の夢のために、できたエアラインなのだ。与平氏は、学生時代はグライダーに乗り、大空への夢を育んできた。だから、日本で唯一のリージョナル航空会社を作った。航空会社は「物流の華」だ。だがリアルな部分は創業地からライトシミュレーターを持つことに象徴される。初代、船で江戸などに込めを運んだ廻船問屋としての伝統は、しっかりと守られている。とした。

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次回予告

カンブリア宮殿の次回予告。

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