- 出演者
- 長谷川博己
オープニング映像。
7月に行われた投資信託をテーマにしたイベントでは記入関連企業26社が集まった。来場者が予想する日系平均株価の未来。ほとんどの人は株価は上がると予測した。高まる投資熱。その背景にあるのが、史上初めて7万円を突破した日系平均。最安値を記録した2009年 10倍の水準に。中でも注目を集めているのは株式のプロが運用する投資信託。ファンドは運用方針により2つに分けられるが、一つはインデックスファンド、もう一つはアクティブファンド。特色の違いは個人投資家が注目する2つの投資ファンドを追った。
渋沢栄一が夢見た豊かさという映像が流れた。
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東京・青山にある2007年設立のコモンズ投信。その代名詞とも言える商品が、コモンズ30ファンド。1000億円を運用し、NISAの積立投資枠でも購入できる。投資先を吟味し選定することで市場全体の値動きを上回る運用益を狙う。指数をベンチマークとせずに積極的に運用するアクティブファンドの一つ。運用開始から17年で運用益は年率12%にのぼり、数々の表彰をうけている。社長の井伊哲朗さんは大手証券会社を皮切りに40年以上株式の相場を見続けてきた。会長は渋沢健さんは渋沢栄一の玄孫で、2人が貫いてきた理念があるが、託された資金を企業に長期投資すること。看板商品のコモンズ30など国内で厳選した30社に対し30年という長期目線で投資している。この日は株価が大きく動いていたが、半導体関連が軒並み下落し、一方で化粧品やゲームが値上がりしていた。ファンドマネージャーでもある井伊さんは即断即決。30の銘柄のうち、変動の大きいものを売買していく。行ったのはあくまでバランスの調整。基本的に投資すると決めた企業の株は持ち続けるのが運用方針。
この日井伊さんは山形県へ。頼るのは自分の足と目。向かった先は電子部品大手のTDKの工場。井伊さんは今年3月にコモンズ30にTDKを新たに組み入れていた。担当のアナリストはいるが、自分も足繁く現場に通う。現場を見ると自動化、効率化が進んでいた。磁気の力で電流を整える部品はAI需要で今急増しているデータセンター。そのシステムに欠かせない部品。全工程を洗い出し、500の改善点をリストアップこれもまたやる気の現れ。TDKが世に生み出してきた数々の製品。その歩みを展示する歴史館にも足を伸ばした。そこには磁気を軸に成長してきた企業の歴史が。昭和30年来のラジオの部品や、昭和の終わりを彩ったカセットテープ、ハードディスクなどTDKは時代にあわせてその技術力を発揮してきた。
7月上旬、井伊さんは本社でアナリストを集めてコモンズ30の新たな投資先を検討。議題に上がったのは総合素材メーカーの東レ。ヒット商品のエアリズムの製品を始め世界トップシェアの水処理膜や炭素製品を手がけ高い技術力に定評がある。繊維事業などは好調だが、一方で課題もある。コモンズ30に東レを組み入れるか、議論は2時間に及んだ。東レをはかつてはコモンズ30の組入れ銘柄だったが、4年前に全ての株を売却する決断をくだした。調査と対話に3年もの時間を対やした結果、改善が期待できないと判断。しかし現在は社長がかわり、改革に乗り出しているために、もう一度候補に入れるか議論している。企業の将来性を見極める目利きのプロ。東レの組み入れについては山場が待っていた。
東京・汐留にある三菱UFJアセットマネジメント。運用資産は会社全体でおよそ62兆円に達する。取り扱う570本の投資信託の中で圧倒的な人気を集めているのは、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)。愛称はオルカン。運用総額は13兆円を超える。日本を含む世界中の株に分散投資をするオルカンは、比較的低い手数料で全体の経済成長を取り込もうとする商品。保有者数は右肩上がり。700万人に迫る勢だという。その舞台裏に密着。村松裕介さんは証券会社からの転職を経て10年前に社内公募でファンドマネージャーに。村松さんはオルカンを始め内外のインデックス・ファンドの運用を統括。日々のニュースで目にする、ダウやナスダック、S&P500、日系平均。これらは代表的な株価指数。インデックス・ファンドは市場全体やある銘柄群などの値動きや指数連動に狙って運用する。MSCI ACWIじゃ世界47の国や地域の2400の銘柄で構成する指数。オルカンも2400銘柄を保有し、この指数を目指している。村松さんの仕事は売り買いによってオルカンの基準価額を指数にできるだけ重ねること。アクティブファンドが積極的な運用で上がる時には大きく上がるのに対し、オルカンのようなインデックス・ファンドは外しにいかない事が重要。朝8時に出社して行うのは為替の取引。外国株を購入するために13の国や地域の通貨を調達。その総額は1351億円。
遠きをはるか昔は富むという映像が流れた。
三菱UFJアセットマネジメントのオルカンの運営に密着。午前10時、株の売買が始まった。オルカンの運営はチーム制で、海外株は3人で取引する。この日買った総額は1380億円。時差があるために市場が開く順にアジア、オセアニア、ヨーロッパ、アメリカと取引が実行される。指数が上昇し、投資資金の流入が増える局面では指数にあわせるべく速やかに株を購入。指数が下落する局面でも速やかに株を売却することで、指数をおいな柄ファンドの構成もリバランスする。そのために重要となるのが先物取引。将来いくらで売買するか事前に約束する先物取引も駆使して指数に対する遅れを最小限にとどめる。プロの運用担当者として気をつけているのは他にも。いかに取引回数を減らすか。それも腕の見せ所。
投資のリスクをどう考えるか?世界株の指数を提供するアメリカの金融情報会社のMSCIが現状の課題を口にした。インデックス投資の最新動向を議論するイベントにゲストで呼ばれた村松さんの前でMSCIの担当責任者はAI関連銘柄に投資資金が集中し、新規上場したスペースXの株が抽選購入になるなど、市場の需給バランスに歪みが出ていると話す。買いたいタイミングで買えない株が増え、インデックスファンドの運用にとってもリスクになっていると、村松さんは明かす。
コモンズ投信は一度買った株は長期保有する。井伊さんは父親の会社がオイルショックで破綻し、会社も家もなくなったことがあるという。大学には奨学金で進んだ。そして、社会に出てからも、山一證券に入社したが13年目にして再び会社を失った。山一證券はバブルの崩壊で発生した巨額の損失を隠すために不正取引を続けていた。その不正が行き詰まった結果1997年に自主廃業へ。あれから29年が経過した。この日、足を運んだのは旧本社のほど近くの行きつけだったレストラン。山一の廃業後に大手証券会社に転職した後輩たちは井伊さんの独立ファンドに注目していた。投資を通じて経営を支え、社会に役立つ企業を遺したい。今それが新年だという。
7月下旬にかつて全ての株を手放した東レの組み入れ復活の動きがあった。この日、東レ本社で大矢光雄社長との面談が叶った。投資判断においては経営者と直接対話することをなにより大切にしている。井伊さんは兼ねてから東レの課題は稼ぐ力が足りないことだと感じていた。3年前に社長に就任して以来、構造改革を推進してきた大矢社長。頻繁に現場に足を運び、社内の健全化をはかってきた。一時間ほどで終了したが、社内の投資委員会で東レへの投資をするべきか決断をすることに。
その一方で井伊さんは追うのは企業業績だけではない。個人投資家と企業の架け橋になればとコモンズの顧客を招くイベントも手がける。300人が集まったイベントでは、コモンズ30の一角の味の素の社長の中村茂雄社長がゲスト。入場無料で手間ひまかけてここまでするのには、投資には社会を変える力があると信じているため。その理念は少しずつ広がっていている。
8月に東レへの投資をするかの最終判断をする会議が行われていた。井伊さんは大矢社長との面談で改革が進む手応えを強めていた。しかし、まだ実態が見えないため時期尚早ではないかという意見も。井伊さんの言葉でコモンズ30ファンドに東レを組み込む事に決定した。
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静岡県の浜松市のトヨコーにきていた井伊さん。トヨコーはインフラメンテナス事業を行っていて、構造物が錆びるとサビをとって塗装を塗り替える工事があるという。グラインダーでサビを取っていたが時間がかかる上に火花や粉塵で作業員や環境に負荷がかかっていた。そこで、開発した錆取り装置はレーザーを高速回転させて極めて短時間でサビが取れる世界初の独自技術。先端部分のホースでサビをとる。トヨコーはこの技術を普及させるために東証グロース市場に上場した。井伊さんはその価値を素早く見抜き、2億円を投資した。今年2月には新工場が稼働し海外からの受注も始まっている。
「ガイアの夜明け」の次回予告。
「ワールドビジネスサテライト」の番組宣伝。熊本地震から1ヶ月。
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