- 出演者
- -
オープニング映像。
栃木県鹿沼市にある地元の百貨店の福田屋。一階の食品売り場の一角に最近誕生したのは食パンやベーグルなどパン50種類以上を取り揃える。この店の特徴には全国各地のパン屋から売れ筋を取り揃えていた。日持ちしないパンを全国から集められるのか?店を運営するパンフォーユーの矢野健太さんはその理由に、各地のベーカリーから冷凍で配送されていた。秘密は解凍しても味の劣化が少ない特殊な袋にある。必要な分だけ冷蔵庫でゆっくり解凍し、常温にして店頭に並べている。番組では5年前に矢野さんに密着していた。コロナ禍で苦しむ地方のベーカリー。パンを冷凍して消費者にサブスクで届けるサービスで救おうとしていた。ここは矢野さんが初めて作った実店舗。そこにはまた別の課題があった。今全国のベーカリーなどの78%は人手不足に悩んでいるという。作り置きのできる冷凍パンはその解決策の一つ。今回は激務の救世主を食で支える。
東京・中央区京橋。パンフォーユーはシェアオフィスに事務所を構えている。2017年に設立した従業員30人のベンチャー企業だという。地方のパンを都会の食卓に届けている。広告会社で勤務していた時に地方創生に興味をもった矢野さん。地方のパンを全国に流通させたいと特殊なビニール袋を開発。袋の内側にある、ガスバリア層と呼ばれる特殊な層がパンの水分や香りを逃さず焼き立てをキープしてくれる。高いほど美味しいとされるでんぷんの糊化度や、水分量。常温で保存するよりこの袋で冷凍した方が高くなることがわかった。パンフォーユーが厳選した30の地方の名店のパンはあのビニール袋にいれて冷凍し首都圏の家庭に届けるパンスクというサービスを始めた。加盟店の一つが群馬県・高崎市にあるブーランジェリー Sai。地元で愛される小さなお店で自慢はもちもちふわふわのベーグル。店主の齊藤貴規さんは20年5月パンスクに登録。8種のパンを焼き上げ、あのビニール袋にいれて密封、冷凍して客に送る。今では売り上げの5割がパンスクに支えられている。サービスを利用しているのは都内を中心に6000人。送料込みで一回3990円で、一箱に6個から10個ほど。
時はコロナ禍。サブスクに入りたい店が後を絶たない。この日も岡山県のベーカリーから試作品が届いていた。お客のニーズを満たすために味や品質を厳しくチェックして採用するかを決める。その店にしかない特徴も重視するポイント。
あれから5年、東京・中野区のキリンホールディングス。そこには矢野さんの姿があったが四年前からパンフォーユーはキリンと業務提携している。キリンの飲料と矢野さんのパンをセットで飲食店に売り込むための試食会を行った。提携するベーカリーは5年前の30店から200店に拡大。売り上げも2倍以上になり大企業も注目する存在になっていた。台東区のパンフォーユーのオフィスには、矢野さんはベーカリーが抱える新たな課題に立ち向かおうとしていた。そのパン屋の悩みは需要予測が難しく食品ロスが出てしまうこと。この日打ち合わせをしていたのはアメリカのシステムエンジニアで、AIを使った需要予測アプリを開発した。アプリに売れ残ったパンや日々の売り上げを記録。そのデータにAIが天気など、様々な要素を加え。一日の需要を個数単位で予測してくれるというもの。アプリの完成を待ちわびていたのは川崎市にある、パントレプレナー。午後11時に店主の新井さんがパン作りを行っていた。5年前に脱サラした開業したが1人で店を切り盛りしている。平日は30種400個のパンを作る。フランスパンの生地をベースにした創作パンが売りで、モチモチで具材もたっぷり。朝6時すぎには、作った400個のうちおよそ6割にあたる250個を横浜高島屋やパンフォーユーなどに出荷。その他の150個を店頭で販売する。しかし思うように売れていないという。
朝7時に開店し、パンが並んだが、客の多くは近隣に住む人達。しかしこの日神奈川では最高気温35度を記録。普段より人通りがなく、新井さんはパンの売れ行きが気になるという。パントレプレナーが閉店する午後3時前にはまだ多くのパンが売れ残っていた。原材料価格が高騰する今、売れ残りは経営の大きな重荷になっていた。そこにパンフォーユーの矢野さんの姿が。AI需要予測アプリが完成したという。新井さんは言われた通り商品の写真を撮り始め、簡単な操作なのも忙しいベーカリーの労力を考えてのこと。実際の営業で試してみることに。8月12日の深夜に新井さんは初めてアプリを使った。この日はAIは普段よりも少ない予測を出したが、翌日は雨予報。客の需要は全く読めないがアプリの指示通りに作っていく。朝7時になり雨が降っていた。
神奈川県川崎市のパントレプレナー。パンフォーユーの矢野さんが開発した需要予測アプリを使って店主の新井さんが初めてのパンづくりをしていた。この日店頭に並んだのは123個。閉店を迎えたが、この日の売れ残りはいつもより大幅に少ない8個だった。
穂兵庫県西宮市にある阪神甲子園球場。7月24日は伝統の阪神×巨人戦が開かれる。そんな球場の玄関口が阪神電車・甲子園駅。午後5時には4万3000席が完売した席めがけてファンが詰めかけた。臨時改札が開かれて駅員も増員された。これからさらに混雑する現場。上客の安全を守る駅員にも緊張が走る。試合後の甲子園駅には帰路につく客で大混雑。そのピークに備えて15分ほどの休憩。白築幹夫さんが向かったのは設置型の社食でイシイの佰にぎりというひとつ100円のおにぎりを選んだ。このおにぎりはタンパク質が多く摂取できる他に常温で100日間保存できるのが特徴。作っているのは千葉県船橋市に本部を構える石井食品。一階販売スペースには子どもたちに大人気のミートボール。その傍らにはあの佰にぎりも。開発したのは社外取締役をつとめる中村朱美さん。飲食店の経営者でもある中村さんは5年前に石井食品に佰にぎりの開発を持ちかけた。 味を落とさずに常温で長期間保存できるおにぎりを一年かけて共同開発。ステーキ丼味など5種類が250円から。阪神電鉄の他に救急病院や工場など700社の社食に置かれている。累計販売数46万食の大ヒット商品に。
2020年3月の京都市。行列のできる店の佰食屋の看板メニューはステーキ丼。昼の12時前にここからが書き入れ時という時に完売のプレート。この店は100食売れたら営業終了。午後は翌日の準備や雑務にあてる。長時間労働になりがちな飲食業界だが残業はゼロ。そんな働き方を広めようとしているのはオーナーの中村朱美さん。中村さんは注目の女性起業家としてウーマン・オブ・ザ・イヤー2019を受賞するなど数々を受賞した。時代の長壽として大きな注目を集めていた。レストランに勤務する両親のもとに生まれた中村さんは、父はいつも残業続きだったという。大学を卒業後に一般企業に就職し、夫と結婚したがお互いに残業続き。もっと家族の時間がほしいと2012年に佰食屋をオープン。また中村さんには右半身に障害のある長男がいる。中村さんが目指すのは家庭を大切にできる働き方。
そのビジネスモデルはムダを徹底的に省いたもの。使う肉は国産牛で塊で仕入れて店でカットすることでコストを削減。さらにステーキに使えない部分はひき肉にしてハンバーグに。100食限定にすれば、ロスが無くなり利益が上がる。この取り組みを広げようと考えた中村さん。2015年には佰食屋 すき焼き専科をオープン。2017年にはに肉寿司専門店をオープンさせた。2018年には4店舗目に佰食屋 1/2というカレー屋をオープンし、さらなる幸せな働き方をオープンさせた。一食1000円にし、50食限定にすると売り上げは一ヶ月125万円。家賃と材料費を75万円で運営できれば月収は50万円に。夫婦二人で営むと年収600万円になるという算段。いずれはこの店をフランチャイズ展開したいと考えていた。しかしその1年後には、コロナが日本を襲った。佰食屋4店舗の売り上げは通常の半分以下になり存亡の危機に陥っていた。その数日後に中村さんが従業員を集めた。
2020年4月に中村さんは佰食屋の従業員を店に集めた。店の経営状況の悪化により、社員12人のうち7人を整理解雇した。
あれから6年が経過し、中村さんは現在経営するのは最初に始めたステーキ丼の店のみ。夫を除く従業員は2人で夢に向けた歩みを進めていた。コロナ禍で一度挫折した中村さん。佰食屋は100食から50食にし、それでも利益を生むというビジネスモデルを諦めてきなかった。一方で、新たに取り入れたのは50食を超えた分の一部を従業員にボーナスとして支給する仕組み。お店のを営む一方で佰にぎりの開発も続けている。新たに取り組んでいたのちらし寿司。長期保存の効く商品としてはこれまでにない。しいたけや人参などの具材を酢飯をまぜた。30分後にちらし寿司ができ、その味に中村さんは改良が必要だという。仕事を終えて家族と過ごす時間には幼かった長女と長男は小学生で高学年に。7月下旬には中村さんが石井食品に。ちらし寿司の佰にぎりの改良版が完成していた。
「ガイアの夜明け」の次回予告。
「ワールドビジネスサテライト」の番組宣伝。新米が古米より安い!?
