- 出演者
- 桑子真帆
オープニング映像。美容・健康ビジネスの裏側に迫る。
公的な医療保険が適用されず費用は全額自己負担の自由診療の市場規模が拡大している。一方、トラブルも相次いでいる。美容クリニックでトラブルにあった方々を取材した。高濃度ビタミン点滴で激しい腹痛や吐き気に襲われ救急搬送された女性はその際にクリニックの医師が体調が悪化したあとに診療に来てくれず対応に疑問が残ったという。一方、通っていた脱毛クリニックが突然閉院したという男性は契約金20万円が返金されていないと話す。運営していたのは一般社団法人だったという。一般社団法人が運営するクリニックの多くがコロナ禍前後に設立され5年間で6倍に急増している。一般社団法人のクリニックは医療法人と違い誰でも経営に参入することができるため異業種のオーナーが参入し次々に設立されている。
異業種のオーナーが経営するクリニックの中には安全を軽視するような実態もある。飲食業オーナーのクリニックの元スタッフは診療体制に問題があったと明かす。約30人の医師が施術を行っていたが多くは小児科・放射線科などが専門のアルバイトで美容医療の現場での経験はほとんどなかったという。美容医療の専門家は薄利多売のクリニックが多いと指摘する。急増する一般社団法人のクリニックは美容医療だけでなくがん治療や再生医療の分野にも参入していることがわかった。がん治療専門家は美容クリニックががん治療の自由診療に安易に進出していることに危機感を持っているという。
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- がん日本医科大学武蔵小杉病院
急増する一般社団法人クリニックの7割が自由診療を行っている。吉村氏は「様々な主体が医療産業に入ってくることによって多様なサービスに応えるなど良い面もある一方で一般社団法人に目が届きにくいという制度上の特徴がある」などと指摘した。クリニック設立の際に一般社団法人も保健所の審査を受ける必要がある。ただ必要な書類さえ整っていれば許可せざるを得ないなどの実態がある。一般社団法人クリニックについて厚生労働省は今年1月実態調査を行い課題を整理している段階。
今医師の元には名義貸しの見返りに報酬を約束するという誘いが相次いでいる。クリニック開設には管理者となる医師が必要で原則常勤。しかし一般社団法人クリニックの管理医師を調べると他の医療機関に所属しクリニックの常勤が難しいと疑われるケースが見つかった。こうした医師10人以上に接触したところ、複数の医師が名義貸し状態であることを認めた。厳しい労働環境から自由診療で働くことを選ぶ医師が増えている実態も見えてきた。自由診療がほとんどの美容医療に進む若手医師は10年前の4倍に増えている。先月、大学病院などに勤める若手医師が待遇改善を考える団体を立ち上げた。国などに広く実情を訴えていきたいと考えている。
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- 厚生労働省大阪大学医学部附属病院
重症患者など高度な医療を提供する大学病院ほど給料が低いため自由診療を選ぶ医師も増えている。吉村氏は「名義貸しが許されることではない一方で医療現場を支える医師たちの勤務環境、収入をどのように社会全体で考えていくことも大事」などと指摘した。トラブルがあった際には医療安全支援センターや消費者ホットラインへの相談するよう呼び掛けた。