2024年5月27日放送 19:30 - 19:57 NHK総合

クローズアップ現代
家が高すぎて買えない バブル超え“住まい高騰”の舞台裏

出演者
桑子真帆 
(オープニング)
家が高すぎて買えない “異例の高騰”なぜ?

家が高すぎて買えないという悲鳴が相次いでいる。都内の新築マンションを探す家族、予算は約7000万円。東京23区の新築マンションの平均価格は去年1億円を突破した。値上がりはなぜ起きているのか?

オープニング

オープニング映像。

家が高すぎて買えない バブル超え“住まい高騰”の舞台裏
家が高すぎて買えない “異例の高騰”なぜ?

住宅価格の高騰は全国的に広がっている。東京23区の新築マンション平均価格は去年1億円を超えて1億1483万円。

2月に販売がはじまった東京・世田谷区の新築マンション。最寄り駅までは徒歩8分。68平米の部屋の価格は1億2000万円。マンションの価格は土地代と工事費に利益を加えた金額。工事費は資材価格の上昇や人手不足などの影響で3年前と比べて2割以上増加している。土地代も上がっているため、販売価格も上げざるを得ない。高い価格帯で勝負するためのカギが高付加価値。物件の魅力を高めれば1億円を超えてもすぐに買い手がつくという。購入者は世帯収入の多い共働きの夫婦や富裕層。株価の上昇などを背景にこの10年で急増している。デベロッパーの間では高所得世帯の心をつかむための競争が激化している。部屋から見える桜がウリのこの物件は最も高い部屋は2億円。工事費や土地代の上昇を背景にした高付加価値の販売戦略、それを飲み込む高所得世帯のニーズ、その相互作用が価格高騰のスパイラルを生んでいる。

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三菱地所レジデンス上野毛駅世田谷区(東京)東急大井町線

さらに、資産運用を目的としてた投資がマンション価格を押し上げている。会社経営の傍ら不動産投資を手掛けるKさんは10年ほど前からタワーマンションを中心に投資を始め、その額は30億円規模。日本の不動産の投資総額は日銀の大規模緩和以降、大幅に増えた。不動産評論家の牧野知弘さんはこうしたマネーの多くが東京の不動産に集中していると指摘する。工事費などの上昇が生み出すスパイラルは投資マネーが加わることにより、さらなる価格高騰を生み出している。

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オラガ総研日本銀行

きのう町開きをした晴海フラッグ。土地を所有する東京都は長期の居住をみすえた良質な住宅を提供するとし5600戸余りのマンションを計画した。購入希望が殺到し、抽選の最高倍率は266倍になったため、1人2戸までの申し込みに制限する事態となった。今年1月、いち早く完成した分譲マンションで入居がはじまった。しかし4ヵ月後、多くの部屋で明かりがついていない。登記簿を入手して分析すると、ある1棟は4割以上を法人が取得していることがわかった。4分の1以上を法人が保有、1社で38戸取得していた。投資家のKさんも法人名義で複数の部屋を購入した1人。申し込みの制限が入る前に3つの部屋を取得した。それらを賃貸で貸し出すことで、他の物件の2倍近い利益を得ている。晴海フラッグには海外からのマネーも流入していた。不動産仲介業者に持ち込まれた部屋は元々7000万円余りだったが、2倍以上の価格で売れた。この業者が売買を仲介した10軒のうち3軒は海外の富裕層が購入したという。現状について、土地の所有者である東京都に見解を聞いた。担当者は急激な変化を見通せなかった、状況を認識したところから改善させていただくとした。

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FLAG SHIPSHARUMI FLAG中央区(東京)東京都
家が高すぎて買えない “高騰スパイラル”の実態/家が高すぎて買えない 価格高騰の今後は?

一橋大学教授の清水千弘さんはマンション価格高騰のスパイラルは工事費・土地代の値上がり、パワーカップル・富裕層、投資マネーの存在に加えて、投機マネーが加速させているという。投機マネーはそのものの価値に関係なく転がすことにより利益を得ていく転売目的により価格高騰が起きていることは危惧した方がいいという。2年以内に転売された都心の物件数は近年急増してる、投機マネーが活発化している。金利が低いことで円安になり、海外からのお金が入りやすいなどの効果があり投機的な状況を生み出していると考えられる。投機マネーを規制する対策をとっている国もあるが、規制することで弊害の方が大きくなってしまう、どの国も打ち手がないのが現状だという。

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一橋大学
“価格高騰”郊外にも 激化する土地争奪戦

都内で手頃な価格の住宅を提供し急成長をしてきたデベロッパー。都心まで30分の大宮駅周辺は開発に力を入れている地域。担当者は毎日、地元の不動産会社を訪ねているが、郊外でも都心へのアクセスがよい場所は土地の価格が高騰している。この日、やっと土地の情報を得ることができたのは16件目の営業先だった。情報をすぐに設計部門と共有し、他社と競合すると価格が上昇してしまうためいち早く契約に向けて動き出す。情報を入手してからわずか1時半で価格が決まった。東京の外なら手頃な価格で家を提供できるという前提が変わりつつある。

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さいたま(埼玉)オープンハウスグループ大宮駅
住宅高騰で今なにが?若者を魅了“リノベ団地”

価格高騰の波が東京の郊外に広がる中、再び注目されているのが団地。高度経済成長期に住宅不足を解消するために数多く建設された。全国で約200万戸ちかくある団地を国は住宅確保の切り札のひとつとして活用している。56年前に作られた千葉市にある花見川団地。老朽化していた建物をリノベーションして若い世帯を呼び込んでいる。岩宗さん一家の部屋は68平米で家賃約8万円、通勤には1時間半かかるが安心して子育てができる環境に満足している。

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URまちとくらしのミュージアム北区(東京)千葉市(千葉)花見川団地
家が高すぎて買えない 住まいに何を求める?/家が高すぎて買えない 国・自治体の対策は?/家が高すぎて買えない あるべき“住まい”とは

住まいに何を求めるのか?清水千弘さんが重要だとするのはプライスよりもバリューの向上、価格よりも価値の上昇が重要だという。バリューは一人ひとりが自分で選択することができるもの、バリューをどういうふうに大きくできるか考えるべきだという。空き家は世代間の資産の移転がうまく行えないことで空き家となっていることが多いと指摘した。住宅の価値は自分たちの選択によってバリューを上げられると話した。

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