2024年6月19日放送 19:33 - 20:00 NHK総合

クローズアップ現代
“性犯罪”から子どもをどう守る?「日本版DBS」導入へ

出演者
桑子真帆 
(オープニング)
始まる“日本版DBS” 子どもを守れるか?

子どもを守る新しい制度が始まる。盗撮のカメラが仕掛けられていたのは塾のトイレ。今、暮らしのそばで次々に起きている子どもを狙った卑劣な事件。きょう新たな制度の導入が決定した。日本版DBSは子どもに接する仕事に就く人の性犯罪歴を確認するという仕組み。どこまで被害を防げるのか?

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日本版DBS
オープニング

オープニング映像。

“性犯罪”から子どもをどう守る?始まる「日本版DBS」とは?
子どもを守る新制度 “日本版DBS”とは?

教員が性暴力で処分されるケースは近年増え続け、年間242人にのぼっている。こうした中、子どもを守るために作られたのが日本版DBS。この制度では子ども接する仕事に就く人の性犯罪歴の有無を確認する仕組み。確認が義務づけられるのは学校や認可保育所など。事業者が確認し、前科が確認された場合、本人はその仕事に就くことができない。期待が寄せられる一方、課題も見えてきた。

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日本版DBS
始まる“日本版DBS” 子どもを守れるか?

中学生のときに教員から性被害を受けた女性。悩みを相談する中で徐々に体を触られるようになり、性行為を強要されたという。その後、加害者の教員は別の生徒に性加害をしたとして逮捕・略式起訴、懲戒免職処分となった。当時、女性を追いつめたのは周囲からの心無い声だった。約20年、日本版DBSをきっかけに性暴力を許さない社会になってほしいと話す。ただ、女性が懸念しているのが、加害者の元教員が処分後に学習塾を開業したこと。そこで複数の講師をやとい、自らも子どもに勉強を教えていた。日本版DBSでは学校などは性犯罪の前科の確認が義務とされているが、民間の学習塾などはこの制度に参加するかは任意で事業者に委ねられている。加害者の元教員hは日本版DBSをどう受け止めているのか?取材したところ、元教員は新たな制度に参加するか明言は避けた。日本版DBSの課題として指摘されているのが、前科の確認が対象外となる現場があること。1人で事業を営む個人塾など。塾の経営者から被害を受けたという訴えもある。

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日本版DBS

去年2月、中学3年生の娘が盗撮されたという母親。その日、塾にいる娘からメッセージが入った。母親が塾に向かうと、娘は塾のトイレにいた。娘がスマホで撮影した記録によると、機動中のカメラが置かれていた。両親は警察に相談し、塾の経営者は略式起訴された。性犯罪を犯したあとも塾では生徒を募集している。

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日本版DBS

弁護士の上谷さくらさんは日本版DBSができたことについて、大きな第一歩を踏み出した、子どもを性加害から守るための大きな枠組みであること、そのために加害者の人権をどの程度制限していいのか?前科を民間の人が扱うことになる面があり慎重な運用が求められる難しく法案だという。制度の課題は、学校などから学習塾などの確認義務がない職場に移っていく恐れがある。上谷さんは、学習塾などは義務化されたところと比べて範囲が明確ではないが、日本版DBSで公表するところとしないところで利用者が敬遠しはじめることが期待できるという。日本版DBSで確認する性犯罪は不同意わいせつ、児童ポルノ、撮影、痴漢などが対象で、窃盗や暴行など性的なことが目的であったとしても対象外となる。上谷さんは罪名だけでは区別できない、どこまで含めるのかが手間もかかるし基準も明確ではない、今後の課題ではあるが慎重さが求められるとした。

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日本版DBS
どうする?「前科なし」“日本版DBS”の課題

長年、学童保育の運営に携わってきた男性。8年前に採用した30代の男性職員が性犯罪で逮捕・起訴された。その職員に前科はなかった。採用時には想像できなかったという。慢性的な人手不足の学童保育の現場、採用の際に疑いを持ちずらい実情もあるという。前科のない人の犯罪をどう防ぐか?現場では自主的な取り組みもはじまっている。埼玉県にある認可保育所では日本版DBSの導入に先立って職員同士で議論を重ねた。子どもと密接に関わる保育の仕事で、周囲から疑いを持たれずにどう子どもに関わるか難しさが見えてきた。

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日本版DBS朝霞(埼玉)

前科がない人の犯罪を見抜くのは難しい。上谷さんは本人自信が性的嗜好に気づいていないこともある、子どもが被害を気づきにくい、周囲に言えないことなどがあるという。日頃からコミュニケーションができているかが大事だという。日本版DBSでは教員への研修、児童が相談しやすい体制 作りなども掲げている。福岡県では性加害に関する相談窓口を設置、静岡・長野の教員委員会では教員向けセルフチェックシートの取り組みを始めている。性犯罪の更生に向けた取り組みとして、日本では刑務所で更生プログラムを実施、自治体が再犯防止に特化した取り組みを行っているところは全国でわずか5%。

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“加害者の更生”をどう進めるのか?

性犯罪を繰り返すなど、性の問題行動を抱えた当事者たちの自助グループ。性依存症の治療法を参考に自分の心理状態を整理していくプログラムに取り組んでいる。20年以上通い続けている人もいるこのプログラム、加害行為の欲求を断ち切る難しさを誰もが抱えているという。

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“加害者の更生”をどう進めるのか?/始まる“日本版DBS” 子どもを守るためには

DBS制度を先行して行っているイギリスでは、出生した性犯罪者を対象に約1年間、専門的な研修を受けたボランティアが定期的にサポートする仕組みがある。上谷さんは刑務所内の更生プログラムをもっと充実させる必要がある、加害者自信が民間の施設に通い続けることになるが継続は難しいという問題があるという。長期的に通える制度を国として作る必要があるという。加害者の再犯が減るということは被害者が減るので両方に力を入れていくことが必要だとした。日本版DBSは法律の交布後、ガイドライン作りなどをへて2年半以内に制度が開始される。

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