2024年7月10日放送 19:30 - 19:57 NHK総合

クローズアップ現代
死後のこと誰に託しますか? “高齢おひとりさま”に安心を

出演者
桑子真帆 
(オープニング)
死後を誰に託す?急増 高齢おひとりさま

80歳で亡くなったのおひとりさまの男性のお葬式、遺族席に列席者はいない。生前に故人と契約を結んでいた民間業者が本人の希望に沿って葬儀を行った。葬儀や墓の手配などを行う民間サービス、高齢者等終身サポート事業が全国に広がっている。一方で全国の消費生活センターにはトラブルの相談が相次いでいる。希望していないサービスを追加され、高額になった、解約を申し出たが返金されないなど、この5年で3倍以上に増えている。

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土浦(茨城)
オープニング

オープニング映像。

死後を誰に託しますか?“高齢おひとりさま”に安心を
死後を誰に託す?急増 高齢おひとりさま

高齢になると1人では解決できない困り事に直面する。家事や買い物などの日常生活、病院や介護施設の保証人探し、死後も葬儀やお墓、電気ガスの解約など。これまでは家族が担い手になって、そこに介護保険や成年後見制度がサポートしてきたが、頼れる家族がいない高齢者が増えている。そこで、家族に代わって支援する民間サービスが高齢者終身サポート。生前に委任契約を結び、生活支援や身元保証、死後事務を行う。

死後を誰に託す?高齢者終身サポート

高齢者終身サービスの事業者が市役所の戸籍係を訪ねた。人が亡くなるとその後にも高齢者終身サービスの事業者が市役所の戸籍係を訪ねた。人が亡くなるとその後にも様々な事務手続きが必要。死亡届を提出し、戸籍に死亡が記載され住民票が抹消される。遺体を火葬するための許可証が発行された。亡くなった男性は80歳、大企業で定年まで働き生涯独身のまま、病院で亡くなった。生前の希望に沿う形で見送った。また、年金や電気ガス水道、携帯電クレジットカードの解約なども家族に代わって行う。これまでこの事業者が支援してきた高齢者は1000人。この日も新たな高齢者がやってきて、弁護士が立ち会い契約をした。預託金として預けて、余った場合は死後に精算する仕組み。金額は200万円。理事長の青木さんがこの会を立ち上げたのは16年前。保険の仕事をする中で家族の形が変わっていくのを見たのがきっかけだという。

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しんらいの会つくば市役所土浦(茨城)茨城県

この日、事業者が2週間前に亡くなった82歳の女性の部屋を訪ねた。女性には娘がいるが、離婚後は関係が途絶えていた。娘に代わって遺品の整理や家財道具の処分を託されていた。写真やアルバムは持ち帰り、相続人に手渡す。両親の位牌は先祖の墓があるお寺に持っていくことにした。世話をしていた猫は近所の人にお願いすることにした。

死後を誰に託す?生前の身元保証も

人生の最終段階で事業者と契約する高齢者、その事情は様々。69歳の石井優子さんは薬剤師の仕事をしながら独身のまま過ごしてきた。5年前に脳の手術を受けることになった石井さんは病院から手術の立会人を求められた。当時92歳の母に依頼しようとしたが高齢のため認められなかった。そこで、石井さんが利用したのが高齢者終身サポートの身元保証。無事に手術を受けることができた。去年、石井さんは母を亡くした。この日は月に1度のお墓参り。いつお迎えがきても心配することは無くなったという。

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取手(茨城)
死後を誰に託す?サービスの実態と課題

高齢者終身サポートは監督官庁・法律がない。去年の実態調査では、事業継続年数が10年以下で職員数が10人満たないという事業者が多いことがわかった。さらに、母体となっている業者はボランティア団体、弁護士、介護サービスなど様々。高齢者終身サポートに詳しい沢村香苗さんは今の状況に監督官庁や法律が追いついていないので、消費者が比べて事業者を選ぶというのが難しいという。事業者の中で重要事項説明書を作成していない業者が80%近く、死後事務の履行確認がないというところも多くある。そのため、トラブルも相次いでいる。預託金が個人口座で行われている、契約書に解約条項がないなど。沢村さんは1人で余裕がない状態で契約するので、トラブルを自分から気づいて相談できない人についてどうするか目配りが必要だと話す。

死後を誰に託す?トラブル防止の模索

静岡市にある地域包括支援センター。高齢者終身サポートの事業者を紹介してほしいという問い合わせが相次いでいる。しかし、どこをすすめていいのか戸惑いが広がっている。そこで静岡市がはじめたのが全国初となる優良事業者の認証事業。市内の社会福祉法人に第一号の認証を与えた。市は独自に30項目に及ぶ認証基準を作成した。サービスの内容や費用などをサイトに掲載することや、死後の事務が履行されているか第三者が確認する仕組みを整備することなどが盛り込まれている。基準をつくる際、最も議論となったのが遺贈。故人の財産を引き継ぐとき、相続人が継承する場合は相続、相続人以外は遺贈という。今回の基準ではトラブルにつながりやすい遺贈を事業者は受け取るべきではないとした。しかし、遺贈を禁止したことがが波紋を呼んだ。事前説明会には7事業者が集まっていたが、6事業者が申請を見送った。遺贈の禁止が申請のネックとなったとみられる。

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静岡市静岡市(静岡)

98歳の千葉さんは50代で離婚して一人暮らし。友人の借金を肩代わりしたことで蓄えが尽きた。家賃の安いアパートに移る際に保証人が必要となったのをきっかけに積み立てで高齢者終身サポートの契約をした。

死後を誰に託す?ガイドラインの実効性は/死後を誰に託す?家族の限界 社会の役割

国が出した事業者向けのガイドラインでは、契約内容の適正な説明、遺贈を契約条件にすることを避ける、死後事務の履行状況を第三者が点検、医療・介護と連携しきめ細かい対応をするとしている。沢村さんは介護保険制度で高齢者を支えてきたが、制度を使う手続きもあり、家族がいない人はすごく困ること、誰がサポートしていくのかは社会的な課題で考えていかなければならないとした。高齢者終身サポートは家族代わり効率よくやってくれる部分もあるが、勝手にやってしまってはトラブルも発生してくるという。

合同納骨式で最後のお見送り

茨城の高齢者終身サポート事業者、年に4回の合同納骨式を行っている。これまでに見送ってきた頼る人がいない高齢者は400人を超えた。

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行田(埼玉)

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