2025年1月7日放送 19:30 - 19:57 NHK総合

クローズアップ現代
助かった命がなぜ… 能登半島地震 災害関連死270人超

出演者
桑子真帆 
(オープニング)
助かった命がなぜ…能登半島地震 災害関連死

能登半島地震の半年前、親子水入らずで行った温泉旅行、これが最後の機会となった。母は地震の後、4度避難先を転々とした末に亡くなり災害関連死と認定された。今回、災害関連死で亡くなった200人を超える人たちについて独自に取材、専門家と分析すると命を守る対策にいくつものほころびがあることが見えてきた。

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令和6年 能登半島地震
オープニング

オープニング映像。

助かった命がなぜ… 能登半島地震 災害関連死270人超
助かった命がなぜ…能登半島地震 災害関連死

地震や津波から助かったものの、その後の避難生活などで体調を崩して亡くなる災害関連死。能登半島地震の災害関連死は276人、家屋の倒壊などで亡くなった直接死228人を上回った。取材できた216人の方々の亡くなった経緯を分析した。注目したのは体調悪化の場所、多かったのは介護施設・避難所でそれぞれ70人を超えた。

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令和6年 能登半島地震

母親を災害関連死で亡くした遺族が取材に応じてくれた。蔵純男さんの母・やよゐさんが亡くなったのは地震から10日あとだった。足腰は弱っていたが介助の必要はなかった。自宅が被災し、避難所である小学校の体育館に身を寄せたやよゐさん、雑魚寝で体を動かすことはほとんどなくなってきた。トイレは使えず紙おむつを使用、やよゐさんは精神的に消耗していった。避難して9日後のやよゐさんは自力で起き上がるのも難しくなっていた。1月11日、やよゐさんはおかゆを喉につまらせて亡くなった。多くのを災害関連死につながった避難所にはどんなリスクがあるのか?専門家と検証した。劣悪な避難所生活を余儀なくされる現実が再確認された。災害が起きるたびに繰り返し指摘された劣悪な避難所の環境。整備や運営を行うのは市町村。国は2016年、避難所運営ガイドラインを策定し、事前の備蓄や必要な対応をリストにまとめ市町村に取り組むように促してきた。しかし、現場ではガイドライン通りに対応するのが難しかった実態が明らかになってきた。そのひとつが段ボールベッドの設置。発災からまもない能登町役場、地震直後に集まれたのは職員の2割だった。道路の寸断で集落が孤立し、避難所は指定していた42か所から72か所に拡大。避難者の数も最大で5400人となった。業務に追われる中、段ボールベッドをすぐに用意する判断に至らなかった。

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令和6年 能登半島地震能登町能登町役場能登町(石川)金沢医科大学関西大学阪神・淡路大震災

この時期に亡くなった小浦清香さん。家族は災害関連死なのではないかと町に認定を求めている。要介護4で車いす生活だった。避難所の床で横になるのが辛く、車いすのリクライニングを倒していたという。清香さんの姿をみて命の危険があると感じた人がいた。ボランティアに来ていた松永鎌矢さん。1月9日、松永さんは仲間に依頼して段ボールベッドを手配。清香さんはようやく横になることができた。町が段ボールベッドを手配し、届きはじめたのは1月16日、避難所を巡回していた保健士から訴えがあったのがきっかけだった。19日、清香さんは亡くなった。エコノミークラス症候群だった。

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エコノミークラス症候群令和6年 能登半島地震小浦清香
なぜ繰り返されるのか 災害関連死/災害関連死 独自分析 防ぐためのカギは/大切な人を守る9つのポイント

秋冨慎司はこれまで数々の災害現場に入ってきた。災害関連死が過去の教訓が生かされないことについて、現行の法律では被災者支援は被災自治体が行うことになっているが、被災者でありながら支援者であり続けらなければならない、このこと事態に無理があると指摘。能登半島地震で死亡した日付をグラフにまとめたところ、地震から3ヵ月以上経過したあとも関連死は相次いでいて、うち3割が避難所で体調が悪化した亡くなっている。災害関連死を防ぐために周りの人たちができる9つのポイントを紹介した。

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令和6年 能登半島地震
命守るための“2次避難” 現場で何が?

2次避難先で80代の父親を亡くした佐藤さん。父親が地元の避難所で新型コロナに感染し、発熱。家族は2次避難を申し出た。指定されたのは病院まで1時間かかる山奥のペンションだった。父親のせきが悪化し、宿を移れないか相談した。2次避難の運営や調整を行っていたのは石川県。当時コールセンターには問い合わせが殺到し、対応が追いつかなかった。佐藤さんはその後、別の2次避難先に移動したが、一般客で満室の日は他の宿に移らなければならないこともあった。約1か月半後、父親は心筋梗塞で亡くなった。この間の移動は6回。取材をすると、2次避難先の医療体制が十分ではなかった実態もみえてきた。2次避難先で医療チームが訪問を断られたケースもあった。金沢市内のホテルは、個人情報を守る義務があるなかですぐに対応できなかった、行政から事前におしえていただけていれば被災者の方のために早く動きことができたと思うと回答した。

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SARSコロナウイルス2令和6年 能登半島地震石川県総合南東北病院
2次避難での死 繰り返さないために/“災害関連死をゼロに”いま求められていること

2次避難での課題が多くあった。秋冨慎司さんは2次避難は今後のことを考えるとしなければならない対策のひとつ、問題となるのは2次避難の仕方、移動すれば助かるものではない、2次避難先の充実度を上げるためにホテルの一棟借りなどのシステム作りが必要だとした。内閣府の防災担当は災害対応は自治体の基礎的な義務だとしている、理由は地域の事情に詳しい、事前準備からの断続性だとしている。

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令和6年 能登半島地震内閣府
能登半島地震 今も続く 命守るための支援

先月、避難所をまわる医師たちがいた。災害関連死につながるリスクはないか検診を続けている。母親を災害関連死で亡くした藤沢美春さんはケアマネジャーとして仮説住宅で暮らす高齢者を見守っている。

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令和6年 能登半島地震珠洲(石川)

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