2025年2月17日放送 19:30 - 19:57 NHK総合

クローズアップ現代
トランプとウクライナ〜侵攻3年‘停戦’めぐる葛藤

出演者
桑子真帆 
(オープニング)
“停戦”へのシナリオは?どう動く米ロ ウクライナ

先週、プーチン大統領と電話会談を行ったトランプ大統領。交渉がロシア寄りに進むのではないかと強い懸念の声があがっている。ウクライナは停戦によって故郷を失うのではと不安を訴える人たちもいる。

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オープニング

オープニング映像。

ウクライナ“停戦”をめぐる葛藤
“停戦”へのシナリオは?どう動く米ロ ウクライナ

ウクライナの停戦をめぐってはアメリカとロシ間で首脳会談が近い時期に開かれうるとたトランプ大統領が述べ、あすにも政府高官による会合が開かれることになっている。交渉の場に招かれないウクライナは今…。

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ドナルド・ジョン・トランプ

ウクライナ・キーウにある独立広場。訪れた人に停戦について聞いてみるが、そんな質問には答えないと言われた。停戦交渉についてウクライナ政府はどう考えているのか?大統領府顧問のミハイロ・ポドリャク氏が先月末、取材に応えた。ゼレンスキー大統領の側近として、政権運営を支えてきたひとり。トランプ大統領とプーチン大統領の会談については何も問題ないと思う、プーチン大統領と個人的に話せば彼が不合理で不適切な人物だと分かるからだと話した。ポドリャク氏はウクライナ東部などロシアに占領された領土を諦めることはないと改めて強調した。軍事侵攻から3年、国民の間では考え方に変化も生まれている。戦闘の長期化で物価が高騰、戦死者は4万6000人にのぼるなど国内で戦争疲れが急速に広がっている。世論調査では、いかなる状況でも領土を放棄すべきではないという声が年々減少し、和平達成のため領土の一部を放棄してもいいという声が過去最高を記録した。停戦の条件として、ウクライナが重きを置くのは安全をどう担保するか。きのうまで開かれていた国際会議でゼレンスキー大統領はヨーロッパ軍の創設を提言した。

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停戦交渉に向けた主張。領土については、ウクライナは奪還、ロシアは併合を主張。安全保障についてはウクライナはNATO加盟が必要、ロシアはNATO加盟は認めないとしている。トランプ大統領はウクライナは領土を一部放棄せざるを得ない、NATO加盟は現実的ではないなどとロシア寄りの認識を示している。兵頭慎治さんはトランプ大統領は来年秋の中間選挙を見据えて、ウクライナ和平を達成して成果をアピールしたい狙いがあるのではないかと指摘、停戦交渉がまとまるかどうかのカギを握るのはプーチン大統領ではないかと話した。トランプ政権が作成したとされる停戦計画。停戦実現に向けて3月までにトランプ大統領がゼレンスキー大統領、プーチン大統領それぞれと会談をし、4月20日の復活祭に休戦を宣言、5月9日のロシアの対独戦勝記念日に停戦宣言をするというもの。きのう明らかになったのは停戦宣言を4月20日までに実現させたいとしている。ウクライナが求める安全保障についてゼレンスキー大統領はヨーロッパ軍の創設を提言したが、ヨーロッパは交渉の蚊帳の外でとなっている。

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大国主導の“停戦”交渉 ウクライナの人々は

ウクライナ・キーウ郊外にある仮説住宅。大学の寮だった建物に東部から避難してきた人たち約100人が身を寄せている。炊事や掃除は共用、3年間不自由な生活に耐え忍んできた。停戦は家族の分断につながるのではないかとの不安の声もある。不安を抱く人は少なくない。ルハンシク州から避難してきたミロスラーヴァさんは祖父母とともに暮らしている。軍事侵攻から4か月後、故郷の街は陥落し、いまもロシア軍の支配下にある。各地を転々として2年前にここにたどり着いたミロスラーヴァさん。ロシアとのつながりが深かった東部出身者への風当たりは強かったという。軍事侵攻で家族は離散、ミロスラーヴァさんが特に気にかけるのは占領地に残る姉のこと。今も連絡がとれず状況は分かっていない。停戦と引き換えにロシアが故郷の占領を続けることになれば、姉と再会できないのではと恐れている。ロシアに勝利し、故郷を取り戻すことは今も多くの人のせつなる 願い。

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一方で現実を受け止めざるを得ないと考えはじめた人がいる。1年前から仮設住宅に暮らすイリーナさん。イリーナさんには息子が残した子どもたちがいる。息子のデニースさんは妻と2人の娘を残し、2年前に故郷の近くで戦死した。父親を失って以来、塞ぎがちだという2人の娘。イリーナさんは故郷をあきらめ、 この子たちのために生きていくと言い聞かせている。

変貌する世界 “停戦”の行方は?

停戦を願う一方で停戦すると自分の故郷を失うことになるかもしれないとウクライナの人々にとっては大きな葛藤がある。ウクライナの将来の国会主権や安全保障が停戦によって確保されるのかどうかも不安となっている。兵頭慎治さんは交渉において、原点を忘れてはいけないと話す。ロシアがウクライナに侵攻して力による現状変更が行われて国際秩序が崩れてしまった、その結果、西側諸国はロシアに制裁を課してウクライナを支援しているが、トランプ政権はロシアへの制裁を緩和させるような動きをみせている。今後展開されるアメリカとロシアの交渉の行方は、日本を含めた西側諸国の結束が維持されるかどうかの観点からも注目される。

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