- 出演者
- 桑子真帆
ラーメンは人気の一方で去年、ラーメン店の倒産は過去最多を更新した。お客さんがいっぱいなお店も先月閉店に。ラーメンに何が起きているのか?
- キーワード
- ラーメン
オープニング映像。
東京・大井町にある創業27年のラーメン店、先月閉店となった。店主の荒木昌宏さんは食材には徹底的にこだわってきた。麺は手作りで北海道産の小麦を使っている。長時間かけて煮込んだチャーシューは提供する直前に炙る。1杯800円、ここ数年は値上げをせずに続けてきた。閉店の背景はネギや豚骨などの食材費、光熱費の高騰がある。この1年で経費は3割以上も増加したが、ラーメンの価格に上乗せすることにためらいがあったという。閉店直前、最後に訪れた男性は涙を流していた。
物価高や光熱費の高騰などでラーメンの価格は上昇傾向にある。東京ではインバウンド需要もあり1000円を超えるラーメンも登場している。一方で1000円を超えるをラーメンを高い・やや高いと感じる人は9割以上になるというデータもある。1000円の壁を打破できなか、業界団体が考えたのは店にとって無理のない価格設定を呼びかけた。実際には地方のラーメン店は常連客が離れのを恐れるため難しいという。
豚骨ラーメンの激戦地・福岡。1杯の価格を維持しようと、懸命な模索が続いている。福岡で愛されてきた長浜ラーメン。こちらの店では700円、価格をおさえながら屋台の味を守り続けている。店では外国人留学生のアルバイトを多く雇っている。価格を抑えるために高い時給を設定しずらい中、一定の応募があり貴重な戦力になっているという。日本語を勉強中の外国人に味やサービスを守るための指導を徹底するのは簡単なことではない。
作業の効率化でコストを抑えようとする店もある。味噌ラーメンで有名な札幌。札幌を中心に10店舗を展開するラーメンチェーン。こだわりは甘エビを使ったスープを中華鍋で熱々にして提供すること。1杯950円、なんとか1000円以下を維持しようとする。店舗の業務改革に取り組んでいるのは、去年10月にこのラーメン店を運営する会社を買収した大手食品会社。食材の発注方法から見直している。これまで電話やFAXで行っていた発注を来月からはPCを使う。原価もデータ管理し食材の無駄を省こうとしている。この日、会社では料理の手順の効率化についてさらなる検討が行われていた。中華鍋でのスープ作りは誰でもできるように簡単な方法はないかなど作業を見直そうとしている。
林家木久扇さんはラーメン好きがこうじて全国各地にラーメン店を展開された。大変なの捨てるゴミの費用など、見えないところでお金がかかっていたという。ラーメン店の倒産・休廃業は昨年約88件、うち約9割が従業員5人未満の個人店。フードジャーナリストの山路力也さんは、ラーメン店の場合は職人=経営者なので数字にシビアでないと難しい、ラーメンはそもそも原価が高い、コロナ禍があってお客さんが減って回復したタイミングで原価高・人件費の高騰などの影響があるという。作り手は美味しいものは出したいが高い値段はつけられないとのせめぎあいで皆さん苦労されているという。日本のラーメンは1923年の 関東大震災でラーメン店が全国に広がった。林家木久扇さんは家が貧しくてラーメンを食べらなかったときの思い出を話した。全国のご当地ラーメンは各地で180種類を超えるまでになっている。しかし、高齢化などにより存続の危機を迎えている地域もある。
ラーメンが貴重な観光資源になっている福島県喜多方市。喜多方ラーメンは90年の歴史があり、朝ラー文化を巻き起こした。喜多方市を訪れる観光客の約7割はラーメンが目当てだという。ところが経営者の高齢化が進み深刻な担い手不足によって廃業に追い込まれるケースが相次いでいる。地域のラーメンを守ろうと去年4月、喜多方市役所が対策に乗り出し、喜多方ラーメン課を立ち上げた。ラーメン課が着手したのは後継者の育成。市街から喜多方市に移り住んだ地域おこし協力隊から発掘する。地域おこし協力隊としてやってきた星智也さん、元自動車メーカーのエンジニアとして活躍していたがラーメン作りは全くの初心者。星さんを受け入れたのは創業47年の老舗、店主の遠藤進さん87歳。夫婦2人で守ってきた店だが、去年夏、進さんは過労で入院してしまった。進さんは初心者の星さんに喜多方ラーメンの作り方を丁寧に教えていく。星さんがこれまでに研修に訪れたの6店舗。すでに4店舗のサポートをはじめている。
ラーメン界のタブーに切り込む改革で新規出店が相次いでいる地域がある。佐野ラーメンで有名な栃木県佐野市。去年11月に新たなにオープンしたこちらの店。店主の宮川岳大さんは初心者から開店にこぎつけた。その秘密は佐野市の呼びかけで開校した佐野らーめん予備校。講師は地元のラーメン店主たち。佐野ラーメンの肝となる秘伝の麺作りを1か月かけて伝授している。企業秘密となっている配合量などを短期間で効率的に技術を習得してもらう。これまで25人を送り出し、9店舗がオープンしている。
先週、ラーメンの年間消費量のランキングが発表され、1位は3年連続で山形市。山形が家族でラーメンに行く文化があるところ、行政が一体となって登りを作ったり、ポータルサイトを作成したりして盛り上げているという。スタジオに新しいご当地ラーメンが登場。
新たなご当地ラーメンを生み出そうとしているのは山梨県。うどん店に登場したやまなし減水ラーメン。特徴は透明なスープ。富士山の伏流水と地元の淡水魚の煮干しで作っている。このラーメンを扱う施設は9店舗まで増えた。