2024年5月12日放送 14:00 - 14:55 フジテレビ

ザ・ノンフィクション
芸に命をかけた人 〜南部虎弾と妻の約束〜 前編

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南部虎弾
芸に命をかけた人~南部虎弾と妻の約束~
芸に命をかけた人~南部虎弾と妻の約束~

南部虎弾さん夫妻の取材はコロナ禍を脱しつつあった2023年に始まった。南部さんは71歳、妻・由紀さんは53歳、結婚して35年だった。南部さんが率いるパフォーマンス集団「電撃ネットワーク」は熱烈なファンに支えられ健在。この日は新宿でディナーショーに出演。由紀さんが付き添うのは会場の入口まで。その後はメンバーが引き受ける。VIP席は食事代込みで2万円。「ショックが無ければ人生じゃない」が彼らのポリシー。体を張った危険なパフォーマンスで大切なのは段取り。入念にリハーサルを行った。会場は満席だった。おなじみのネタは盛り上がったが、新ネタが始まるとうまくいかず、自分たちの不甲斐なさに南部はステージで悔し涙を流した。

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新宿(東京)電撃ネットワーク

南部は1951(昭和26)年、山形・鶴岡市生まれ。1975年に24歳で「テアトル・エコー」入所。1985年に34歳で「ダチョウ倶楽部」を結成。リーダーを務めたが、メンバーと意見が合わず脱退。1990年に39歳で「電撃ネットワーク」を結成した。翌年には「オールナイトフジ」に出演して過激なパフォーマンスを披露した。国内よりも海外で大きな反響を呼び、「TOKYO SHOCK BOYS」と名乗ってヨーロッパツアーを敢行。ニューヨークでも喝采を浴びた。過酷な芸と不摂生のため、南部は体調を崩した。痛みを隠して放置していた左足が壊死を起こしかけていた。2011年に60歳で糖尿病と診断された。2017年には66歳で心不全を起こしバイパス手術。医師からは人工透析を勧められたが、人工透析をすると電撃ネットワークの芸ができなくなってしまうため、腎臓移植を選択。2019年に妻・由紀さんから腎臓を1つもらう移植手術を受けた。朝食は夫を気遣い、野菜を中心にした減塩メニューだった。南部は「他のところでは食べられないほど美味しいですよ」と語った。由紀さんは18歳の時にファンの1人として南部と出会った。由紀さんが19歳だった1989年に結婚。南部は38歳で年の差婚だったが、勧めたのは由紀さんの母だという。かつての南部は月収1000万円を超えることもあったが、現在は由紀さんがスーパーでアルバイトをして支えている。インスリンを打つ様子を見せてくれた。腎臓の移植手術を受けて以降、2ヵ月に1回の定期検診が欠かせない。病院は電車を乗り継いで1時間20分。結果は問題なかったが、担当医から週刊誌の連載について、面白おかしく誇張したことを注意された。今のまま続けていけば10年は絶対いけると言ってもらえた。

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コロナ禍が明け、インバウンド客が戻り始めた2023年8月、電撃ネットワークは歌舞伎町のイベントに出演することになった。ノーギャラのため、南部はお金がかかる演目に乗り気でなかった。それでもショーがスタートすると全力でパフォーマンスし、海外旅行者に大ウケだった。終電で自宅の最寄り駅に着くと、奥さんが待っていた。自転車に荷物を乗せて一緒に帰宅した。

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東急歌舞伎町タワー歌舞伎町(東京)

電撃ネットワークの若手メンバー・今日元気さん(35)は東京・野方で一人暮らし。部屋にはトレーニング用のロープがあった。寝床はハンモック。山口県で生まれ、高校卒業後の2006年に18歳で海上自衛隊に入隊。2011年に23歳で役者を目指して上京。電撃ネットワークをライブを手伝っていた時、南部から声をかけられ、2015年に27歳で電撃ネットワークに加入した。これで飯を食ってくんだという思いがあったと明かした。両親は現在も否定的だという。元気さんは芸人仲間を集めて小規模なライブを主催している。電撃の若手3人でパフォーマンスする時もある。新ネタをやると、昔ながらのネタをやってほしいとの要望が出てしまうため、おなじみのネタをやっているという。南部からはもっと新しい事をやれと言われる。YouTubeの生配信も3人の仕事。

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芸に命をかけた人 〜南部虎弾と妻の約束〜
芸に命をかけた人 〜南部虎弾と妻の約束〜

電撃ネットワークのランディー・ヲ様は歌舞伎町で小さなBARを経営している。3000円で時間無制限・飲み放題。かつては歌舞伎町で「四天王」と呼ばれた人気ホストだった。2007年に30歳で芸人に転身し、2016年に39歳で電撃ネットワークに加入した。「電撃ネットワークはヒーローだった。南部さんの発想がすごいと感じた」と語った。額のツノは南部が「ランディーはいつツノ生えるの?」と言ったのがきっかけだった。南部を喜ばせるために新ネタに挑戦している。2023年の暮れ、電撃ネットワークは1年を締めくくるショーを東京・武蔵村山市で行ったが、南部の最後の舞台となってしまった。

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2023年の電撃ネットワークは東京・武蔵村山市のパブで仕事納め。いつも通りの過激なネタを披露し、ご祝儀もまずまずだったが、南部は「今、自分が倒れたら、電撃ネットワークは1年持つか、持たないか」と危機感を募らせていた。12月27日は南部の定期検診の日。血糖値が上がっていた。南部は命を大事にしないといけないと語った。スタッフが南部と会ったのはこの日が最後となった。

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