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- ミッツ・マングローブ 新井麻希 石崎琴美 市川美余 両角友佑
来年2月、イタリアで開催される冬のオリンピック。その出場権をかけたラストチャンス。まもなく始まるカーリング世界最終予選を徹底特集。最後の関門に挑むのは女子日本代表、8大会連続出場なるか。男子は平昌五輪以来2大会ぶりの出場を狙う。そして日本初の五輪出場を目指す混合ダブルス。各国代表が全力を尽くす争い。カーリング元日本代表が日本勝利のポイントを語り尽くす。
来年2月のミラノ・コルティナ五輪へ向け各競技の代表争いが佳境を迎えている。今夜はカーリング特集。12月8日にカナダで開幕する世界最終予選について語る。石崎さんは4年前、世界最年長メダリストとなったカーリング選手。今回新たに目指す混合ダブルスについて市川さんは「4人制とはまた違った面白さがある競技ですし、日本も非常に楽しみな競技。日本は今まで出たことがない」などと話した。
まずは五輪8大会連続出場がかかる女子。今回最終予選に出場するのは、女子日本代表のフォルティウス。9月に行われた日本代表決定戦では「負けたら終わり」の試合を実に5試合。逆境を乗り越えてつかんだ日本代表の座だった。市川さんは「(日本代表決定戦は)僅差の戦いが続いていて、緊張感もずっと張り詰めた中だったけど、一投一投で人生を変えてしまう局面が何度もある大会だった。気持ちで戦いたいっていう言葉を選手も言っていたが、最後は気持ちで勝ち取ったと感じる」などとコメントした。
悲願の五輪出場に挑む女子日本代表・フォルティウス。鍵を握るのはチームの司令塔でスキップの吉村紗也香(33)。最終予選を勝ち抜く最大の武器は粘り強さ。その粘り強さを身につけるまでは16年もの歳月がかかった。初めての五輪挑戦は高校3年・17歳の時だった。2回目は大学2年の21歳の時。ジュニア日本代表の天才スキップとして注目されていた。五輪に最も近づいたのは4年前の日本代表決定戦。29歳の吉村選手はあと1勝と王手をかけたが、まさかの3連敗で逃す。勝負どころで力を発揮できないメンタルの弱さを痛感した。そして33歳となったいま、五輪出場の最大のチャンスを手にした吉村選手。原動力となったのが4年間磨き続けたメンタルの強さ。そこにはフォルティウスのメンタルコーチ・白井一幸さんの存在があった。あの大谷翔平を日本ハム時代に指導、世界一になったWBC侍ジャパンのヘッドコーチを務めた。白井さんがフォルティウスの選手らに常々言い続けたのが「前後際断。過ぎ去った過去はいくら考えようが何も変わらない。過去は切り捨てるということ」と話す。迎えた9月の日本代表決定戦、その教えは数々の場面で活かされていた。
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白井さんの教え1つ目は「感情を抑え込まない」。それを実際に行ったのが代表決定戦の初日。フォルティウスは2連敗スタート。あと1敗すれば再び五輪の道が絶たれることとなる。その夜、吉村選手は「自分が最後決めきれない悔しさで帰りの車で涙が止まらなくなった。その後チームミーティングで感情を出した。涙して悔しさをチームで共有した」と話す。気持ちを切り替えた吉村選手はチームを3連勝に導いた。そしてSC軽井沢クラブとの決定戦、2勝したほうが日本代表となる。先に王手をかけたのはスキップ・上野美優率いるSC軽井沢クラブ。またも崖っぷちに立たされたフォルティウスだったが、下を向く選手はいなかった。2つ目の教えは「優勝した瞬間をイメージ」。王手をかけられた夜、チームみんなで優勝の瞬間をイメージした。翌日、第2戦に勝利し、日本代表まであと1歩と迫った最終戦。同点で迎えた最終10エンド。先攻はSC軽井沢クラブ。スキップ・上野の2投目はハウス中心近くにストーンを置きラストショットを投げるヨシムラ選手にプレッシャーをかける。白井さんの教え3つ目は「緊張感をプラスに捉える」。最後のショットは前日の夜にイメージした通りとなった。見事決めきると、みんなでイメージした優勝の決めポーズをした。ようやく夢へのスタートラインにたった吉村選手はいよいよ五輪出場に挑む。
フォルティウスについて市川さんは「4年前の日本代表決定戦で敗れてしまい、その後は当時の契約先との契約が終了してしまって、そこからクラウドファンディングからスタートして、白井コーチを呼んだり海外のトップ選手をコーチに招へいしたり、そういうところからの地道な活動がしっかり身になっていったというチーム」と説明した。吉村選手のメンタルを支えたのが大谷翔平選手を育てた白井一幸さん。両角さんは白井コーチについて「吉村選手が強くなった部分をしっかり捉えていて、それが最後に決めきる力に繋がっていることの証明になっていると思う」などとコメントした。
ここからは世界最終予選の展望を占う。8チームが総当たり戦を行い、最終的に上位2チームが五輪出場権を獲得する。日本は世界ランキングで最上位だが油断は禁物。市川さんは「ランキング的にはノルウェーが2位だが、私はライバルはアメリカとトルコだと思う」とコメント。女子日本代表が出場した今年の世界選手権ではアメリカ・トルコに負けている。アメリカと対戦経験があるSC軽井沢クラブ・上野美優選手に話を聞いた。
SC軽井沢クラブのスキップ・上野美優選手は去年の世界選手権でアメリカと対戦。その攻略法を聞きに行った。アメリカの得意ショットは「ドロー」。スピードを抑え狙ったところに止めるショット。中でも上野選手が要注意という選手がサードのコリー・ティーシー選手。混合ダブルス世界選手権の金メダリスト。アメリカの複数得点パターンの1つがサードのコリー選手がドローショットでNo.1を作り、最後に投げるスキップのタビタ・ピーターソンにつなげる。アメリカに勝利するポイントは「ドローを打たせない」。そこで上野選手が鍵を握るというのが、同じサードの小野寺佳歩選手。今年の世界選手権のアメリカ戦、日本が1点を追う第7エンド、ナンバーワン・ツーが日本、不利な先攻でサード・小野寺選手の2投目。アメリカのサード・コリーに得意のドローショットではなく石を2つ弾くテイクショットを狙わせる。スキップの吉村選手も小野寺選手に続き、アメリカのダブルテイクアウトを狙わせる。1点を取りに来たアメリカのラストショットは1つしか動かせず日本の勝利。サード・小野寺選手のショットから日本が得点を奪った。世界最終予選の初戦はアメリカ。ここで勝利し、日本は勢いをつけたい。
ミッツさんは「アメリカってパワフルに行くイメージだけど、ドローショットってそっと投げるんですね」と言うと市川さんは「繊細なショットなんですが、アメリカはとにかくドローがうまい」と言った。両角さんは「小野寺選手がコリー選手の上手なドローを抑えるという意味で小野寺選手の活躍が必要だと思う」などとコメントした。さらに気になるチームがトルコ。世界選手権の過去3大会で日本勢は3連敗と苦手としている。石崎さんは「トルコは日本キラーというか、どうしても日本がトルコに合わせてしまうというか、なんとなくそんな感じ。リードからサードまで良い展開できているのに、とにかくトルコってスキップの選手が上手で何でも決めちゃう。どうしてもペースに乗ってしまう感じがある」などと話した。
アジアとヨーロッパの架け橋・トルコ。名物といえば取れそうで取れないアイス。そして勝てそうで勝てないトルコ。世界ランキングは日本が上なのに世界選手権では3連敗。そんなトルコの特徴は速いスピードで一気に弾き出すテイクショット。中でも危険な選手がスキップのユルドゥズ。精度の高いショットでダブルテイクアウトを連発する。では日本はどうすれば勝てるのか。ポイントは「テイクショットを投げさせない」。去年の世界選手権、トルコ戦の第8エンド。先攻のSC軽井沢クラブが石をハウス内にためていく。スキップ・上野選手の2投目。ナンバーワンはトルコ、2・3が日本という状況で上野選手が選択したのが味方の石に軽く当ててトルコの石をずらす繊細なドローショット。後攻のトルコがナンバーワンを奪い返すには上野選手と同じようにスピードを抑えたドローショットでナンバー2を押し込むしかない。得意のテイクショットではなくドローショットを打たせる展開に持ち込み、得点を奪った。
市川さんはキーマンとしてセカンド・小谷優奈選手を挙げ「対トルコ戦はアメリカと真逆というか、相手がテイク系が好きなので、もっとセカンドのところで攻めていく形を作れるかどうかがポイントだと思う」などと話した。アメリカ・トルコの他に強敵はどこか聞くと、石崎さん・市川さんともにノルウェーを挙げた。中でもスカスリエン選手は北京五輪の混合ダブルスで銀メダルを獲得しており、ツアーランキングも上位。選手たちには息抜きも必要。女子日本代表のメンバーにリラックス法を聞くと、リザー無の小林選手、リードの近江屋選手、セカンドの小谷選手は編み物を挙げた。サードの小野寺選手は水辺の景色を見ながらのランニング、スキップ・吉村選手はご主人から送られてくる息子の動画だそう。石崎さんは「同じチームの時も隣の部屋で(近江谷)杏菜はずっと編み物をしていて、作ってくれたものをもらったりしていました」などと話した。そんな石崎さんの息抜きは韓国ドラマ、市川さんは大泉洋さんのラジオ、両角さんは溜まりに溜まった週刊少年ジャンプだったそう。
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平昌五輪から正式種目となった混合ダブルスについて。この種目、日本勢初の五輪出場を目指すのが小穴桃里と青木豪のペア。混合ダブルスは1エンドあたり5投、試合は8エンド制と4人制(1エンド8投・10エンド)に比べてコンパクト。
混合ダブルス日本代表、小穴桃里(30)と青木豪(25)。一人娘をもつ小穴選手と5歳年下の青木選手は結成して6年目のペア。きっかけは7年前、混合ダブルスに挑戦しようとしていた小穴選手が同じ年の世界選手権に出場していた青木選手を誘った。ペア結成後、海外の大会に参戦。今年の冬季アジア大会では金メダルを獲得。現在の世界ランキングは4位と五輪でもメダルを狙える実力をつけた。強みの1つが遠慮のないコミュニケーション。おしゃべりコンビのもう1つの武器はパワフルショット。そして青木選手自ら「爆速テイク」と呼ぶショット。さらに小穴・青木ペアの特徴は投げる順番にある。1エンドにペアで5投投げる混合ダブルス。交互に投げるのではなく1投目・5投目が同じ人、2~4投目をもう1人が担当する。一般的に1・5は女子、2~4を男子が投げるのがセオリー。これはエンド中盤の石がたまった状態を打開したいときに男子の力強いショットが有効となるため。しかし小穴・青木ペアは結成当初から逆順。なぜなら小穴選手がパワフルショットを持っているため。小穴選手が男子に負けないショットで状況を一変させ、青木選手が決める。セオリーを無視したパワフルコンビが混合ダブルス初の五輪出場を目指す。
石崎さんは「カーリングの試合運びだけじゃなくて2人の会話を聞いているのも楽しい」とコメントした。市川さんは小穴選手について「しゃべっているのは確かにずっと喋っている。でも頭脳派で、本当にいろんなことを考えているのがそのまま言葉に出ちゃうっていうタイプ。とにかく笑っていて感情の波がないので、厳しく言っても嫌味がない」などと話した。小穴・青木ペアが出場する混合ダブルス世界最終予選は4人制の倍となる16チームが出場。こちらも五輪に出場できるのは2チームのみ。
男子日本代表はSC軽井沢クラブ。メンバーは10代~40代まで幅広い年齢層が特徴。リードは元中学教師で37歳の小泉聡、セカンドは今年の春まで高校生だった19歳の山本遵、サードは唯一の五輪経験者で最年長(41歳)の山口剛史、フォースは冷静沈着な男・24歳の柳澤李空。年の差があるこのメンバーで五輪を目指し、培ってきたのがコミュニケーション。一致団結するためチームは積極的にオフを共有。年は離れていてもなんでも言い合える関係性を築いてきた。練習では笑顔が絶えない。このコミュニケーションは代表決定戦で大きな鍵を握った。第4戦、同点で迎えた第9エンド。24歳の柳澤から思いもよらぬ意見が飛び出す。ラストショットを前にナンバー1・2・3は相手、ナンバー1を奪い1点リードで最終エンドを迎えたい局面だったが、柳澤選手の意見はナンバー2狙い。相手に1点をわざと与え最終エンドを有利な後攻で迎えることだった。ナンバー2狙いのラストショットを見事に成功させる。最終エンドは有利な後攻で狙い通り複数点を挙げ逆転勝利。互いに信頼しあい、日本代表の座を掴んだ。世界最終予選では女子同様に8チームで争い、上位2チームに入らなければならない。しかし日本はその中で世界ランキング3位。そこでチームは「ヒットロール」というショットを練習してきた。ハウスにあるストーンを外に弾き出し、その後ストーンを狙った位置に止める。つまりテイクショットとドローショットを一度に投げているようなもの。このヒットロールの鍵もチームで磨き上げてきたコミュニケーション。欠かせないのが指示を出す選手とブラシでストーンをコントロールするスイーパーとの連携。抜群のコミュニケーションがなければヒットロールは決まらない。
「ヒットロール」について両角さんは「山口選手が一石二鳥と言っていたが、確かにドローッて言うショットは止めるショットなので自分の置きたい位置に置くことしかできないが、ヒットロールは出しながらさらに自分の石をガードの後ろとかに転がして持って行くショットなので、相手のを出したうえでさらに自分の置きたい位置に置く一石二鳥ショット。4人の掛け声がピタッと合わないといけないのでかなり難しいショットだと思う」と説明した。石崎さんは「大きな大会ではチーム漁が本当に必要だと思っていて、チームを支えているのは山口選手。頑張ってほしいと思う。話がわからない時はそっと見守って特に会話には入らない。良かった点としては世代が違うからこそいろんな考え方が出てくる。それが融合することで結構いい感じでことが進んでいた」などと話した。最終予選に出場するチームで注目するのはアメリカ・中国。両角選手は「フィリピンは世界ランク38位だが、3人スイスの選手がいたりする。ただ、この前中国にも勝ったりしているので、いまは80%くらいオリンピック出場に向けた準備ができていて、オリンピックにまでたどり着いてくれるのではないかと思う」とコメントした。
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石崎さんは「3チームとも私は五輪を狙えると思っていて、実力もあるしチーム力もあるので、最後はやってきたことを信じてしっかり準備をして、本番に臨んでもらえれば大丈夫かなと信じています」、市川さんは「五輪カーリングは開会式前から始まって、最終日までやっている種目なんです。3種目全員でオリンピックをカーリングで埋め尽くしてほしいと思っている」、両角さんは「ぜひ全3種目で出てもらって、選手として活躍する姿をイタリアから日本に届けてもらい、日本中をカーリングジャックしてほしいと思う」などとコメントした。
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