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オープニング映像。
予期せぬ妊娠で誰にも相談できず孤立する妊婦たちを取材した。
関東出身で仙台市で暮らす20代のつむぎさん(仮名)は妊娠9か月。仙台の支援団体「キミノトナリ」の職員に付き添われて区役所を訪れた。金銭的支援を受けるためだという。家族・親戚とは疎遠で3年前に友人を頼って仙台に移住。男性と交際し、別れた直後に妊娠が発覚。面倒は見ないと言われたが、思い悩んだ末に出産を決意した。不安定な精神状態の時に出会ったのが「キミノトナリ」だった。代表理事の東田美香さんが2020年に友人の弁護士や助産師ら15人と設立。妊娠SOSを運営している。相談者の95パーセントは中絶希望。下は13歳~上は40代までいる。親や友達など頼る人がおらず、相手が分からない人もいるという。国の調査では2021年度までの18年間で176人の赤ちゃんが遺棄や暴力で出産当日に亡くなっている。キミノトナリではSNSで相談を受け付け、これまで述べ2300件あった。県内の相談者には病院や行政窓口への付き添いなど直接的なサポートもしている。
宮城出身のゆうこさん(仮名・当時25歳)は東田さんが3年前に初めて出産を支援した女性。関東で夫と暮らし、不妊治療を受けて妊娠したが、出産前に離婚した。実家の母親から「出て行ってほしい」と言われ、1人で育てるのは想定していなかったので毎日不安だったという。幼少期に育児放棄を受けた経験から実家の母親に頼ることはできなかった。相談を受けた東田さんが病院と住む場所を紹介した。出産後はシェアハウスで暮らし、同居人たちが支えてくれている。
厚生労働省によると、予期せぬ妊娠や経済的困窮など出産前から特に支援が必要な特定妊婦は2020年までの10年間で10倍に増加した。全国に57か所ある妊娠SOSの相談窓口が受け皿になっている。10代で妊娠したゆづきさん(仮名)はアプリで知り合った男性の子どもを妊娠したが、発覚前にけんか別れして連絡先を消してしまったという。キミノトナリに寄せられた相談者の相手はパートナーが64パーセントで最多。年代は10代または学生が49パーセント、20代が30パーセントを占める。ゆづきさんも頼る人がおらず、中絶も考えたが、キミノトナリの支援を受けて女の子を出産した。子どもは本当に宝で産む決断をしたのは間違ってなかったと語った。
キミノトナリの東田さんは望まぬ妊娠を防ぐために若い人への性教育が大事だと考えている。県内の中学校や高校で年に20回ほど出前授業を行っている。
東田さんたちが支援している20代のつむぎさん(妊娠9か月)と連絡が取れなくなった。精神的に安定せず、LINEの返事が2~3日後に返ってくることはあった。前日は病院の健診があったが、初めて無断で行かなかったという。買い物に行く約束をしていた日もLINEが既読にならなかった。1時間・2時間待ちは普通だという。
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つむぎさんから連絡があったのは3日後だった。出産が近づくにつれて不安が大きくなったという。東田さんたちは何も言わずにそっと寄り添い、出産に備えた買い物をした。つむぎさんは2800gの赤ちゃんを出産。名前は自分で考え、1週間後に出生届を提出した。出産前は養子に出すつもりで、養子先も決まっていたが、自分で育てる未来も考え始め、いったん断ることにした。自立した生活ができるまで、赤ちゃんは公的な施設で暮らす。つむぎさんは「1人で大変ではあるけど、楽しみ」と語っていたが、3か月後に連絡が途絶えてしまった。
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東田さんが初めて出産を支援したゆうこさん(仮名)は夫と復縁し、第2子を出産した。第1子は3歳になり、夫婦で支え合って子育てをしているという。東田さんは自分たちは何かあった時にすがる手すりのような存在、連絡してみてほしいと語った。
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