2025年6月14日放送 4:50 - 5:20 テレビ朝日

テレメンタリー2025
「『死の谷』に挑む〜かつての創薬大国で〜」

出演者
 - 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像。

テレメンタリー2025
『死の谷』に挑む〜かつての創薬大国で〜

熊本大学の工学部で教壇に立つのは勝田陽介教授。熊本県玉東町に住む3歳の平井謙くんはKCNTI遺伝子に変異してしまう病になり、血管が以上に伸びる症状をかかえる。そのために血を吐いたり、てんかんが起きたりしているが同じ症例は国内で6例。異常に伸びた血管をふさぎ、てんかんをおさえる装置を体に入れている。国内の患者の数が5万人に満たない病は希少疾患と呼ばれ世界に7000種、3億人の患者がいるという。半数が子どもで大人になる前に亡くなるケースもあり、ほとんど治療法がない。謙くんは血管がのびるたびに入院を繰り返す。多くの病には、遺伝子から作られるタンパク質が関係している。タンパク質には、免疫や代謝、神経伝達などの役割を持ち、このバランスが崩れると病気が引き起こされる。謙くんの病気も変異した遺伝子からつくられるタンパク質が関係していると考えられる。勝田准教授らが開発したStaple核酸は病の原因となっているタンパク質の量を調節。複数の希少疾患に薬となりうるデータが得られている。少しでも多くの人に関心を持ってほしいと薬の開発には、乗り越えなければいけない多くの壁が存在している。

キーワード
Staple核酸熊本大学熊本市(熊本)玉東町 (熊本)

新薬の開発には膨大なお金がかかるとともに、薬を一つ開発するために人や動物で安全性を確認する臨床試験などに10年以上の時間が必要に。日本にはこの過程で開発にまで至れない死の谷がある。官民の支援や連携が十分でなく、臨床試験などにかかる莫大な費用を調達できず、死の谷に陥る。勝田准教授のもとで薬の研究に取り組む長谷川さん。長崎県の南島原市に住む君子さんは多系統萎縮症という病を患った。脳に異常なタンパク質がたまり、体が動かなくなる進行性の病で、全国に1万人の患者がいる。一般的な余命は発症から9年だという。祖母に薬を届けたいと研究に励むが、病気の進行していく。長谷川さんの研究は実験段階で病の原因となっているタンパク質を減らすことには成功したが、祖母に薬を届けることは叶わない。

キーワード
Staple核酸南島原市(長崎)多系統萎縮症日本製薬工業協会

薬の開発には膨大な費用がかかる。勝田准教授が開発したいとした新薬は国の予算が限られているために思うように開発は進まない。死の谷をこえるためにStapleBioという会社を立ち上げた。谷川さんは共同創業者で製薬企業出身。研究がスタートして6年、薬の開発が大きく動き出した。一昨年10月に、Staple核酸の試験結果を医学系の大学関係者らに説明。日本がん学会の理事長を務めた佐谷秀行腫瘍医学研究センター長は様々な病の薬になりえる結果に驚きの声を上げた。勝田准教授の研究に注目が集まる。この日、研究成果を興味をもった投資家らが一同に介した。そこには実験結果を高く評価した佐谷医師はStaple核酸を全力でサポート・貢献したいという。銀行や製薬系の投資会社などから4.6億円の資金調達ができた。去年8月にコンテストの世界大会にも挑んだが 10異常の国や地域で開催されるスタートアップワールドカップは世界最大規模のビジネスコンテスト。製造現場の人手不足を解決するAI技術や、微細な手術を可能にするロボット開発など、それぞれが社会課題を解決する企業。勝田准教授も登壇し治療法のない様々な病の薬となりうる技術。世界中に薬を待つ人達がいる。コンテストで優勝し大きな手応えを感じた。しかし去年11月に長谷川さんの祖母が入院し、薬を持っていくと約束したものの、それが叶わずに祖母はその後亡くなった。薬を届けることの難しさを痛感した。

キーワード
StapleBioStaple核酸スタートアップワールドカップ佐谷秀行日本がん・生殖医療学会熊本市(熊本)

先月アメリカからニュースが届いた。生後間もない赤ちゃんの遺伝子変異を特定し、この赤ちゃんのためだけのオーダーメイドの薬がつくられた。開発から投与までにかかった時間はわずか半年。日本はそうやって創薬大国ともいわれていたが、医薬品の世界の売り上げ上位300品目でみた国内の製薬企業が作った医薬品の数は増え続けている。新型コロナウイルスのワクチンの開発でも海外に遅れを取り、貿易赤字は4.6兆円。去年政府はこの状況を打開しようと動いた。政府がコミットしていくことを宣言していくという。医薬品を今後の日本成長を担う産業とし、国内外からも投資や人材などを呼び込んで世界を巻き込んだ体制づくりをすると宣言。しかし政権が変わり、前向きだった政策は逆転したという。アメリカの業界団体は不信感を抱いたというが理由は国が決めた薬価中間年改定について、高齢化が進み、国民医療費が増加する中、国は毎年のように薬の価格を改定。国は医薬品産業を強化するとした一方で今年度新薬の43%の価格を引き下げた。新薬の価値が正しく評価されれば世界から投資は集まらない。この問題が解決するまでに政府の掲げる取り組みを留保するとした。

キーワード
ペンシルベニア州(アメリカ)岸田文雄熊本大学熊本市(熊本)
(エンディング)
エンディング

エンディング映像。

© 2009-2025 WireAction, Inc. All Rights Reserved.