- 出演者
- 田中瞳 後藤達也 長部稀
オープニング映像。
総裁選で野党との連立の拡大を訴えてきた自民党の高市総裁だが、きょう、与党の公明党から連立の離脱を伝えられ、26年間続いた自公の協力関係が幕を下ろした。これを受けて日経平均先物が大きく値下がりするなど、いわゆる高市トレードで活況が続いていたマーケットにも警戒感が広がっている。
午後1時半すぎ、高市総裁と公明党の斉藤代表が、連立の継続に向けた協議に臨んだ。笑顔を見せる高市総裁に対し斉藤代表は硬い表情。その1時間半後、協議を終えた斉藤代表は「私たちが最も重視した政治とカネに関する基本姿勢について意見の相違があった」などと会見。企業団体献金の規制強化や派閥の裏金問題の真相解明などについて自民党との溝が埋まらず、連立政権からの離脱を伝えたと明らかにした。会談後の高市総裁に笑顔はなく「一方的に連立政権からの離脱を伝えられた」などと会見。
午後3時半前、岩井コスモ証券では株取引担当者が「防衛関連とか原発関連の下げがきつめ」「半導体は期待の買いがありすぎ」などと話していた。高市トレードで上昇してきた株価が下落し、日経平均株価の終値はきのうより500円近く値下がり。取引終了後に公明党の連立離脱が報じられると、株取引担当者は先物急落を伝え「1200円安」などと発言。連休明けの株式相場は下落して取引が始まる可能性がありそう。
自民党と公明党が初めて連立を組んだのは1999年、自民党と自由党の連立政権に公明党が加わる「自自公政権」だった。公明党はバブル崩壊後の景気対策と位置づけられた地域限定の商品券「地域振興券」の実施を呼び水に連立入り。消費税の軽減税率や子育て支援など数多くの政策を実現。ただ、自民党派閥の裏金問題などで、去年の衆院選以降、国政選挙で大敗。「クリーンな政治」を掲げる公明党に対し「政治とカネ」問題の幕引きを図る高市総裁。公明党は支持母体の創価学会から上がる不満の声を抑えきれなくなった形。自民党は衆議院と参議院ともに少数与党。公明党の政権離脱で、政権運営はより不安定な形になる。衆議院で自民党と公明党の議席数は合わせて220議席だったが、公明党の離脱で196議席になり、過半数には37議席不足。
長年、苦楽をともにしてきた公明党に突き放された自民党では、今後の対応を決めようと急きょ党幹部を招集し、役員会を開いた。厳しい表情で党本部に出入り。党幹部によると、14日の午後に両院議員懇談会を開き、高市総裁が自ら説明し、今後についての話し合いの場を設ける方針を決めた。高市総裁は自民党のトップの座に上り詰めたものの、早くも就任1週間足らずで総理大臣への道が不透明となった。野党との協力が不可欠となるが、国民民主党の玉木代表は「内閣総理大臣を務める覚悟はある」などとコメント。同じく民主党を源流とする立憲民主党に政策などの調整を求めた。立憲民主党の野田代表は、自民党の公明党への姿勢を批判した上で「立ち位置については共通点がある」と、公明との連携を示唆。一方、教育無償化の政策などをめぐって自民、公明と連携してきた日本維新の会の藤田共同代表は「各党と真摯に協議をしていく」などとコメント。
国会記者会館から官邸キャップの横堀拓也が解説。公明党が連立政権を離脱することを受けて自民党は今後、どういった対応を迫られるのか。自民党にとって今後まず待ち受ける関門が近く招集される臨時国会での総理大臣指名選挙。高市総裁が次の総理大臣に選出されるかどうかは、より一層不透明な状況となり、ある自民党幹部は「茨の道だ」と漏らしている。ただ、野党側も一枚岩にはなれていない現状がある。立憲民主党は総理大臣指名選挙で野党候補の一本化に意欲を示しているものの、国民民主党や日本維新の会はあくまで基本政策の一致が条件だとして、野党で一本化できるかは不透明な状況。公明党も総理大臣指名選挙で野党側には協力しない姿勢。今の状況では高市総裁が総理大臣となる可能性が消えたとまではいえない。ただ、総理大臣に指名され、内閣を発足させたとしても、非常に難しい政権運営となりそう。すぐに連立の枠組を拡大することも難しく、しばらくは政策ごとに野党の協力を求めていくことになりそう。場合によっては複数の政党からの協力を取り付ける必要もあることから、石破政権のときよりも政策を実現するためのハードルは高まっている。野党側が公明党と結束して法案を出せば通すことも可能な状況。高市総裁は物価高対策を盛り込んだ今年度の補正予算案の早期成立に意欲を示しているが、野党各党との交渉は難航も予想され、高市総裁の独自カラーはますます出しづらくなっているといえそう。
経済ジャーナリストの後藤達也が解説。「自公連立は基本中の基本」としてきた高市総裁だが、公明党側から離脱を伝えられた。選挙の協力もしないとも明言。今後、選挙区で自民と公明が票を奪い合う構図にもなる。今後、自民と公明の議席が減り、野党からすると自民党と連立を組むことの意義も薄れてくる可能性もある。情勢は非常に流動的だが、消去法で考えると自民党が単独で少数与党となって政策ごとに野党に歩み寄る構図が可能性としては高い。自民党と維新、自民党と国民民主党という組み合わせでも衆議院で過半数を取れないため、連立協議が弱まるかもしれない。一方、立憲民主党は野党が一枚岩になろうとしているが、政策でも差があるので現状ではまとまりづらい。公明党は連立を解消しても政策ごとに判断すると言っているので、自民、公明、国民民主党で合意した年収の壁の引き上げやガソリンの暫定税率の廃止については進みやすい。それ以外に高市総裁のあげている物価高政策は、個々で野党との連絡を取っていくことになるので非常に不透明。野党各党が主張していた消費減税は野党の意見が通りやすくなる可能性が考えられる。野党からの要求を自民党がのまない状況が続くと内閣不信任案が出て、場合によっては公明党も賛成し解散する流れも、可能性がゼロではない。
今後の主な政治・外交日程を紹介。20日か21日、臨時国会召集で総理が指名される見通し。26日からASEAN関連会議、31日からAPEC首脳会議。27日、トランプ大統領来日、28日、日米首脳会談か。トランプ大統領来日に向けて準備する暇もなさそうで、良好な関係を築けるか不透明。現状のスケジュールだと年内の経済対策成立は厳しいという見方も増えている。参議院選から3か月近くたっているが、まとまらないようだと、自民党だけではなく政治全体に対し世論からの反発が広がる可能性もある。マーケットもきょうは株安で反応。これまでの高市トレードの反動というところはあるが、政局がどうなるか不透明という感じが強いので下がった。日経平均先物は現在47510円で、きょうの終値を下回っている。夕方以降は下げ止まっている感じはある。野党の勢力が拡大した場合は財政拡張的な政策が打ち出される可能性もある。政治の方向性が見えてきた場合は株を買う動きも出てくるかもしれない。
アメリカのウィットコフ中東担当特使とトランプ大統領の娘婿・クシュナー氏も参加し行われた、イスラエル政府の閣議。イスラエル政府は、パレスチナ自治区ガザでの戦闘をめぐるイスラム組織ハマスとの和平案について、「第1段階」の合意を正式に承認した。これを受けてイスラエル軍は、ガザでの停戦が現地時間10日正午に発効したと発表。イスラエル軍は一部撤収をはじめ、72時間以内にハマスが拘束する人質が解放される見通し。こうした中、今回の和平案を提案したアメリカのトランプ大統領はインドとパキスタン、タイとカンボジアの停戦など自身の成果を強調。さらに和平案の合意を受けてイスラエル首相府がSNSに投稿した画像には、ノーベル平和賞のメダルを首にかけたトランプ氏とネタニヤフ首相の姿が。実はトランプ氏は以前からノーベル平和賞の受賞に意欲を示してきた。しかし日本時間の午後6時、ノーベル賞委員会は今年のノーベル平和賞をベネズエラの民主化運動を率いてきた野党指導者マリア・コリナ・マチャド氏に授与すると発表。ベネズエラ国民の民主的権利を促進する活動などを評価した。これに対しアメリカ・ホワイトハウスの広報部長は、SNSで「ノーベル賞委員会が平和より政治を優先していることを証明した」と批判。ただノーベル賞委員会のフリードネス委員長は「長い歴史の中で、委員会はあらゆる種類のキャンペーン活動を見てきた。毎年何千通もの手紙を受け取るが、決定はノーべルの遺志と業績にのみ基づく」と述べ、あくまで人類に最大の貢献をした人物が受賞するというスタンスに変わりはないと強調した。
退任を前に、石破総理が戦後80年の節目の所感を発表した。石破総理は「いかなる経緯で日本はあの戦争に突入していったのか、当時の大日本帝国憲法・政府・議会・メディアそれぞれに問題があったと考えている」などと述べ、所感では「戦争をなぜ避けることができなかったのか」について石破総理個人としての検証内容などが盛り込まれた。政治が軍よりも優位とする文民統制の重要性を訴え、「無責任なポピュリズムに屈しない政治家としての矜持と責任感を持たなければならない」と強調した。また当時のメディアが「世論をあおり国民を無謀な戦争に誘導する結果となった」としたうえで、メディアが「過度な商業主義に陥ってはならない」と指摘している。一方で歴史認識については「歴代内閣の立場を引き継ぐ」とし、植民地支配や侵略に関する言及は避けた。
韓国軍関係者は、北朝鮮の朝鮮労働党がきょうで創建80年を迎えるのに合わせて今夜軍事パレードを行う可能性が高いとの考えを示した。北朝鮮には記念行事に出席するため、中国の李強首相やロシアのメドベージェフ前大統領が訪問している。朝鮮中央通信によると、金正恩総書記はきのう中国の李首相と会談し「朝中関係は壊れない。両国の関係強化は互いの利益にかない、地域の平和と安定に貢献する」と指摘したうえで、協力の拡大についても議論したという。
台湾の頼清徳総統は建国記念日に相当する双十節の式典で演説し、防衛費を増額し新たな防空システムを早急に開発する方針を示した。強大な軍事力を持つ中国に対し効率よく抑止力を構築するために、AIなどの先端技術も導入する。また演説では、中国に武力や威圧による台湾海峡の現状変更を断念するよう呼びかけた。
政府はきょう、外国人経営社向けの在留資格=「経営・管理」の認可基準を厳格化する改正法務省令を交付した。不正な取得の防止が目的で、16日から資本金要件の下限を現在の500万円から3000万円に引き上げる。出入国在留管理局によると2024年末時点で「経営・管理」による在留者は過去最多の4万1615人だが、実態の伴わない経営を理由に認可を取り消す事例も発生しているという。
日銀がきょう発表した企業の間で取り引きされるモノの価格を表す9月の国内企業物価指数は、1年前と比べて2.7%プラスの126.9だった。55カ月連続のプラス。高止まりが続くコメや卵など農林水産物の価格が指数を押し上げたほか、銅や金など非鉄金属の価格高騰が影響した。
4日、自民党の総裁選が投開票された。高市早苗氏が選出され、自民党初の女性総裁に就任した。6日は高市新総裁の誕生を受け、積極財政への期待から週明けの東京市場が大きく動いた。日経平均株価は取引開始直後から買い注文が広がり、上げ幅は2300円を超えて初めて48000円を突破。終値も初めて47000円に乗り、最高値を更新した。一方外国為替市場では1ドル=150円台まで円安が進んだ。8日、システム障害が続くアサヒグループHDは「サイバー攻撃によって流出した疑いのある情報をインターネット上で確認した」と発表した。ロシアに関連するとみられるハッカー集団「Qilin(キリン)」が犯行声明を公開していた。
ノーベル賞、日本人2人の快挙に沸いた1週間。日本で研究者が置かれる現状を追跡した。大阪・吹田市にある大阪大学へ。ノーベル生理学・医学賞に選ばれた坂口特任教授を訪ねた。研究室を案内してもらう。制御性T細胞はアレルギーや自己免疫疾患を抑えられる可能性があると期待されている。坂口特任教授は「研究費は苦労したこともある」などと述べた。国別大学の研究開発費の推移(科学技術指標 2025)を紹介。日本は2兆円、アメリカは10兆円、中国は7兆円。政府負担の割合も日本は半分ほどと、アメリカや中国に比べ低くなっている。基礎研究は成果を出すのに時間がかかり、多くの費用がかかる。自前で培養することでコストを抑えている。研究室の実験器具なども年季が入ったものばかり。大阪大学は2017年から中外製薬と連携し、毎年10億円の資金提供を受けている。そのかわり、研究の成果を優先的に商品かなどができる権利を持つ。中外製薬と大阪大学は「アクテムラ」を開発するなど関係性が深く、今後の新たな薬にも期待を寄せている。中外製薬・木林研究員は「支援」をしつつ創薬につなげていく」などと述べた。
きのう、京都大学では、ノーベル化学賞を受賞した、京都大学理事・副学長でもある北川進特別教授が拍手で迎えられた。評価されたのは金属有機構造体の開発。無数の穴に気体を閉じ込めたり分離したりできる新たな材料で、果物の鮮度の維持や二酸化炭素の回収など環境やエネルギー問題の解決につながる可能性を秘めている。北川特別教授はテレビ東京のインタビューに応じ、「基礎的な研究費が少ない」などとコメント。
ノーベル賞受賞者を最も多く輩出している京都大学内に去年、「京都大学 大学院医学研究科附属 がん免疫総合研究センター」が誕生。総工費は約90億円。7年前の本庶佑特別教授のノーベル生理学・医学賞受賞によりアメリカの製薬大手から55億円にものぼる寄付金が集まり建設。これまで分散していた研究室が最新設備が整う拠点に集約。同センターの茶本健司特定教授は「本庶先生は次世代の日本を支えるいい研究ができる環境をつくりたい」などとコメント。ファーストリテイリングなどの日本企業からも研究費用として多額の寄付が集まるなど、支援も広がっている。早速成果もあがっていて、同センターの松岡悠太特定助教たちの研究チームが吐く息を分析することで肝臓の病気を調べることができる技術を開発。脂肪肝など肝臓に異常がある人の呼気から鉄のようなにおい分子がガスとして放出されることを発見。田中キャスターが装置を試したところ、肝臓に疾患がある可能性を示す数値は低かった。この技術により体への負担も少なくなる。松岡は将来的に、がんなどの重篤な疾患も見つけられるように研究を進める。「研究基盤をつくってもらえることは本当にありがたい」などとコメント。
ノーベル賞受賞が後進に与える影響について経済ジャーナリスト・後藤は「基礎研究の重要性について世の中が関心を持つきっかけにもなったっていう意味でも意義が大きい」、「民間の投資マネーも向かってはいるがなかなか費用対効果って図りづらいところもある」などとコメントした。