- 出演者
- 田中瞳 後藤達也 長部稀
オープニング映像。
憲政史上初めての女性総理による所信表明演説で高市総理は「日本列島を強く豊かにしていく」などと述べた。およそ30分、政権運営への意気込みを語った。そこで繰り返したキーワードは、6回強調した強い経済。責任ある積極財政という基本方針のもと、戦略的な財政出動で経済の好循環を実現すると訴えた。また、成長戦略について議論する日本成長戦略会議の立ち上げも表明。演説の中で最も時間を割いたのが長引く物価高への対策だった。高市総理はガソリン税の暫定税率を廃止する法案を今の臨時国会中に成立させると強調。電気・ガス料金への支援や、いわゆる年収の壁の引き上げにも言及し、物価高対策に政策を総動員する姿勢をにじませた。ただ少数与党での国会運営は変わらないため、政策を実現するために協力を求めざるをえない野党への配慮も見せた。
野党側から演説に対し厳しい評価。自民党と連立を解消したばかりの公明党。斉藤代表は「独裁ではないか」などと批判。「政権の基本方針と矛盾しない限り」という文言が、譲る気がないと捉えたよう。立憲民主党の野田代表は「物価高対策、今年中にやることがまだ決まっていない」、参政党の神谷代表は「自民党の枠を超えていない」などとコメント。きょう東証グロース市場に上場したインフキュリオンは、法人向けの決済システムなどを手掛ける金融スタートアップ。高市総理の演説では、スタートアップ振興などで官民の積極投資を引き出すという文言があり、高市政権の中での新規上場で多くの投資を呼び込めると期待。インフキュリオンの野上健一CFOは「グロース銘柄に対する投資センチメントの改善につながればありがたい」などと会見。高市総理が攻めの農業にしていくと言ったことについて、オイシイファームの古賀大貴CEOは「非常に期待を寄せている」などとコメント。オイシイファームはアメリカに完全室内型の植物工場をつくり、イチゴを生産している日本のスタートアップ。LEDで光を与える形で、収穫などに日本の産業用ロボットも活用。気候変動などの自然環境に左右される農作物を場所を選ばず栽培できるため、食料安全保障にも資するとされている。植物工場について、きょうの演説では日本の技術を世界トップレベルと評価。農業分野の予算を拡充し後押しする考えを示した。
高市総理の所信表明演説についてWBSのコメンテーターに注目点を聞いた。早稲田大学の入山章栄が注目したのは、内閣における成長戦略の肝は危機管理投資と表明した部分。エネルギー安全保障、食料安全保障など日本の危機対応は守りと捉えられるが、これをあえて成長戦略として攻めとみなすことは評価できるとみている。今後、民間企業のイノベーション創出をどう促すかが課題になると分析。ピクテ・ジャパンの市川眞一が注目したのは「いわゆる103万円の壁については基礎控除を物価に連動した形でさらに引き上げる税制措置について真摯に議論を進める」との発言。基礎控除や給与所得控除を引き上げても年収が130万円を超えれば社会保険料の負担が発生し、低所得者の手取りは増えないと指摘。今後について、日本維新の会が掲げる社会保険料の引き下げについて高市政権がどう取り組むのかが注目だとしている。
双日総合研究所の吉崎達彦が注目したのが、防衛費に関して国家安全保障戦略に定める対GDP比2パーセント水準を今年度中に前倒しで達成すると表明した部分。国家安全保障戦略の見直しをせずに目標だけ前倒しするのはおかしいと、厳しい分析をしている。来週の、アメリカのトランプ大統領の来日に合わせて表明したいという思いがあったのではないかと、その背景を読み解いていた。実際、今夜防衛省では高市総理が来年中の改定を目指すと表明した安保関連3文書について小泉防衛大臣のもとで初会合を開催。トランプ大統領の来日を前に安全保障分野においてはスピード感を重視していることがうかがえる。後藤達也が注目したのは、内閣が最優先で取り組む物価高への対応。ガソリン減税、電気とガス料金の補助を強調していたが、一時的な応急処置の面が強い。より本質的で持続的な物価高対策という観点では、賃金や生産性を高めていくことが重要。高市総理もこの点は強調していたが、成長率や予算規模について具体的な数字の目安を出していないので、イメージを持ちづらいのが正直な印象。所信表明の気合を、どうやって実行に移していけるかが重要。年内の補正予算、年明けの通常国会でどう実行力を見せていけるかを、市場も国民も厳しく見ている。この結果次第で政権の安定性も変わってくる。
先ほどニューヨーク株式市場でダウ平均株価が取引時間中の史上最高値を更新。
先ほどニューヨーク株式市場でダウ平均株価が取引時間中の史上最高値を更新。このきっかけとなったのがアメリカの9月の消費者物価指数。1年前を比べ3.0%の上昇となり、市場予想をわずかに下回った。
ニューヨークからの中継でニューヨーク支局の松山成昭が伝えた。アメリカの消費者物価指数の伸びは前の月から拡大し、トランプ関税のもとで物価上昇はじわじわと続いている。新車が0.8%、家具と家電は3.0%、エネルギーは2.8%、家賃を含む住居費は3.6%のプラス。物価の瞬間風速を示す前月比の消費者物価指数はプラス0.3%だった。今回、消費者物価指数が注目された背景にはアメリカの政府閉鎖をめぐる影響がある。与野党の対立で予算成立が遅れているため政府機能が一部閉鎖された状態は続いていて、ほとんどの経済指標の公表がストップ。消費者物価指数は公的年金の支給額算定に不可欠なため、1週間以上遅れながらも例外として発表。経済政策を決めるFOMCを来週に控え、他の公的指標がない中で消費者物価指数がさらに重要になっている。今回、予想を下回ったことで年内2回と見込まれている利下げは、より確信が強まったといえる。ただ、インフレへの懸念はくすぶり続けている。街にはハロウィーンの横断幕が掲げられ、商品の販売が本格化。ハロウィーン商戦について業界団体の調査では今年の総支出額が131億ドル、約2兆円に達し、過去最高額を突破すると見込まれている。堅調な個人消費を映し出しているようにも見えるが、この数字の背景にもインフレ懸念が隠れている。ハロウィーングッズの9割には中国からの輸入品が含まれているとされ、関税による価格の影響が大きいとみられている。実際に消費額の増加については消費の底堅さというよりも、インフレで製品価格が上がるという要因が大きいとのカード会社の分析もある。
アメリカ為替・金利・商品・株式を伝えた。ダウは取引時間中の史上最高値を更新。
政府閉鎖の影響で延期されていたアメリカの9月の消費者物価指数が発表された。予想を下回る結果について後藤は「収集がつかなくなるような状況ではない」、「雇用とか景気のために利下げしていくとの見方が強まっている」などと指摘した。アメリカの今後のインフレ率(セントルイス連銀)を紹介した。
今週、これまで最高値を更新し続けていた金価格が急落。CMEグループの当局者が番組の取材に応じた。上昇の要因は新興国などの中央銀行による金を買う動きだが、当局者は「現在は実験的な段階」「人々はわかりやすい対象として金を見ている」と指摘。金先物も急落しているが、要因は近く開かれる米中首脳会談で貿易摩擦が緩和するとの観測。金は国際情勢で緊張感が高まると買われる傾向にある。世界中の金の送料は28万トンで、天然は2050年までに枯渇する見通し。英王立造幣局では都市鉱山を活用する取り組みを進めている。
金の価格は高い水準。経済ジャーナリスト・後藤達也による解説。要因の1つはドルから金へのシフト。トランプ政権になり関税、FRBへの介入、政府債務の増加で「基軸通貨」の地位が揺らいでいる。要因の2つめはドルの膨張。ドルのマネーストック(FRB)は4倍になっている。長期的に金の価格は上がりやすい。
政府は情報収集や分析の機能を強化するため「国家情報局」を創設する方向で検討に入った。木原官房長官が記者会見で高市総理大臣から検討を指示されたと明らかにした。組織の在り方や必要な権限などについての論点を整理し、具体化を急ぐ方針。
総務省が発表した9月の全国消費者物価指数は生鮮食品を除く指数が前年比2.9%上昇。伸び率は8月の2.7%から0.2ポイント増加し4か月ぶりに拡大。米などの食料品の値上がりが続いていることが主な要因。また政府による電気ガス代補助の規模が縮小したことで電気代は3.2%、都市ガス代が2.2%上昇。
全国のスーパー約1000店舗で19日までの1週間に販売された米5kgあたりの平均価格は前の週より109円高い4251円。値上がりは5週ぶりで4000円台の高値水準は7週連続。農林水産省は、価格が高い新米の販売が本格化していることや備蓄米の流通量が減少したことなどが値上がりの要因としている。
自民党の税制調査会が高市政権発足後初めて非公式の会合を開き、新たな幹部人事を決定。幹部4人が交代、山際元経済再生担当大臣らが選出。自民党・小野寺税調会長は「暮らしに直結する各分野の専門家に入ってもらった」などとコメント。
「20日 アマゾンのクラウドサービスで大規模なシステム障害が発生」「21日 高市内閣発足」「21日 日経平均株価 5万円に迫る」「22日 トランプ大統領 プーチン大統領との会談中止」について報道。そして今週追跡したのは「19日 アスクルがサイバー攻撃で影響拡大」について。
通販大手「アスクル」がサイバー攻撃を受けシステム障害に陥っている。商品の出荷を現在も停止していて、復旧のめどは立っていない。東京・北区にある「いとう王子神谷内科外科クリニック」では毎日のようにアスクルを利用しているという。備品の8割以上をアスクルで購入、手術道具セットなどもアスクルで調達している。伊藤院長は「かなりアスクルに依存していたのが現状」などと述べた。システム障害に陥りサービスを停止したアスクル。原因となったのがランサムウエアと呼ばれるコンピューターウイルスの感染。アスクルの物流部門でシステム障害が発生。配送業務を委託する「無印良品」「ロフト」「ネスレ日本」などのネットストアもサービス停止に追い込まれている。UBS証券・風見氏はシステム障害がアスクルの営業利益に与える影響は1日あたり1億4000万円程度と試算している。先月下旬にはアサヒグループHDが被害にあい、ビールの製造を一時停止、受注や出荷の業務は現在も一部停止している。
いま、その対策が注目されているサイバー攻撃。東京・港区のデジタルデータソリューション社では社内にセキュリティオペレーションセンターを設置。各企業のパソコンやサーバーを24時間監視し、不正通信が荒れば客に通知するサービスを提供。夜間や休みの期間にアタックされることが増えているという。こうしたサービスの普及は限定的で、ランサムウエアの被害報告は去年を上回るペースで発生。社長はサイバー攻撃を受けたあとの計画を策定することが重要と指摘する。
サイバー攻撃が相次ぐ中、東京海上日動やあいおいニッセイ同和など損害保険大手はサイバー攻撃に備える保険に力を入れている。損保保険ジャパンは今月、サイバー保険に特化したチームを設置した。契約件数は増加しているという。
