- 出演者
- -
シーギリヤは古くから仏教の僧たちが修行した聖地だった。そこに5世紀後半、1人の王が都を置いた。岩山の周りを堀で囲み、その内側が王族などが暮らす王宮だった。堀の外側に民が住んでいたと考えられている。王宮の中心にある岩山のてっぺんに王が暮らす宮殿があった。
断崖絶壁の岩山は天然の要塞。巨石の回廊を通り抜けると中腹にある宮殿の入口に着く。入口の左右にはライオンの足をかたどっているとされる巨大な彫刻がある。かつては頭もあったという。シーギリヤは「ライオンの岩」という意味で、ライオンは王権の象徴だった。1500年前の人達は岩を彫って石やレンガを差し込み階段にしていた。頂上にはかつて宮殿が建っていた。地上からの高さは180m,頂はひな壇状になっている。住んでいたのは王の家族などごく僅かだった。
宮殿を作ったのはカッサパ1世。スリランカにかつて存在したシンハラ王朝の王ダートゥセーナの側室の息子だった。彼が恐れていたのは正妻の子である弟が王位を継ぐこと。カッサパは父を殺害し王の座を奪い取った。父を殺した罪悪感と弟の復讐に怯え続けたカッサパは当時の王都を離れシーギリヤに都を移した。宮殿が完成したのは484年ごろ。攻めにくい岩山の上なら身を守れると考えた。さらにカッサパは岩山のあちこちに様々な防御施設を作った。シーギリヤはスリランカの古代史を物語る重要な遺跡の一つとして世界遺産になった。
岩山の麓に大きな人工の溜め池がある。雨がほとんど降らない乾季に備え古くから水を貯える技術が発達していた。溜め池は堀とつながっていた。堀の内側にはカッサパが作った水の庭園がある。水を巧みに循環させ、噴水などもあったという。庭園のちかでは古代の水道管が見つかった。南アジアで最も古い庭園の一つとも言われる。
父殺しという大罪に苦悩し続けたカッサパは贖罪のために善政を行ったことでも知られている。堀の外側は田畑が広がっている。カッサパは水路を整備し周辺の民を助けていた。この一帯では今でも古代の水利システムを使い農業が行われている。スリランカでは昔から仏教が広く信仰されてきた。カッサパもその1人。仏教徒にとって親を殺すのは最大の罪だ。天空の宮殿はわずか11年で主を失い、忘れられた都となった。
「世界遺産」の次回予告。
カッサパが作った天空の宮殿は約1400年後、1人のイギリス人によって再発見された。中でも世界が驚いたのは美しい天女の壁画が見つかったことだった。カッサパは自らをヒマラヤの高みに住む神になぞらえ、かしずく天女を描かせた。現存するのは岩陰で雨や風などから守られた15体のみだが、かつては500体もの天女が岩山を埋め尽くしていたと言われる。495年、弟が岩山に攻め込みカッサパは自害した。宮殿の完成から11年後のことだった。
「ベスコングルメ」の番組宣伝。
