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今回の世界遺産は「コインブラ大学 アルタとソフィア」。13世紀に創設されたポルトガル最古の大学。
大学のキャンパスがあるアルタと学生寮など関連施設があるソフィアの2つの地区で形成された大学都市が世界遺産に登録されている。かつてここは王宮だったが、首都がリスボンに移されると役目を終えた。そこに16世紀、教育を重視した国王ジョアン3世が大学を移転した。その後、歴代の王が増改築を繰り返し学びの場を充実させた。眼下に広がる街は大学都市として発展した。学生は街の伝統を今に伝える存在だ。
コインブラ大学を学生に案内してもらった。大学のシンボルは高さ34mの時計台。すでに公用語はポルトガル語だったが、18世紀頃まで学問の言語はラテン語。ラテン回廊ではラテン語の仕様が義務付けられていた。国王が司式を行った大広間は学位の授与式などを行う式典の場へと変わった。
王宮の西側には18世紀の国王ジョアン5世が建てたバロック様式のジョアニナ図書館がある。蔵書は16世紀から18世紀にかけて出版された約6万冊。国に必要な知がヨーロッパ中から集められた。15世紀に始まった大航海時代、アフリカ、アジア、南アメリカへと進出したポルトガル。その広大な領土で裁判官など重要なポストを担ったのはコインブラ大学で学んだ人たちだった。やがて、海外からの優秀な留学生も数多く集まった。コインブラ大学はポルトガル語圏の学問や文化に大きな影響を与えたことから世界遺産に登録された。
1553年、コインブラで学んだ日本人がいた。フランシスコ・ザビエルに同行しコインブラを訪れた日本人は「薩摩のベルナルド」と呼ばれている。ベルナルドはコインブラ大学でイエズス会の教育を学んだ。ロマー教皇との謁見を許されるほどに優秀だっという。日本での布教を目指していたようだが、長旅の疲れからか帰国できずに死去。今も大聖堂で静かに眠っている。
コインブラ大学の学生は伝統をとりわけ大切にしている。
16世紀、大学とともに街も整備され通りに沿って教育機関が立ち並んだ。コインブラの街は大学と街が一体となって発展した歴史を伝える場所として世界遺産に登録されている。街には学生寮が数多くあり、共和国を意味する「レプブリカ」と呼ばれている。運営のすべてを学生が行うというのが伝統。レプブリカは学生たちが自治を学ぶ場でもある。時には寮生以外も集い交流の場となる。
「世界遺産」の次回予告。
5月は卒業シーズン。学生たちは思い出作りに励んでいた。「セレナータ」と呼ばれる大学伝統の儀式で学生生活を締めくくる。
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