2025年9月23日放送 4:15 - 5:00 NHK総合

国際報道
2025 パレスチナ 「国家承認」の波

出演者
辻浩平 藤重博貴 酒井美帆 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像が流れ、出演者が挨拶をした。

ニュースラインナップ

「北朝鮮キム総書記“核を手放さない”」などのニュースラインナップを伝えた。

(ニュース)
”核は手放さない” 一方で対話の可能性も示す

北朝鮮国営の朝鮮中央テレビは、「首都・平壌で開かれた最高人民会議でキム・ジョンウン総書記が重要な演説を行った」と伝えた。キム総書記は「核を放棄させ武装解除させたあと米国が何をするかよく知っている。われわれは決して核を手放さない」と述べ、非核化をめぐる交渉には応じないと強調した。また「秘密兵器を新たに保有した」と述べ、軍事増強を進めてきたことを誇示した。一方で「米国が非核化の執念をすて、真の平和共存を望むなら向き合えない理由はない」と述べ、米国が非核化を要求しなければ対話に応じる可能性があるとの考えを示した。さらに1期目のトランプ大統領との首脳会談を踏まえ「いまも個人的にはよい思い出を持っている」と述べた。また韓国については「一切相手にしないことを明確にする」としたほか、「われわれと韓国は決して1つになれない2つの国家であることを、国の法律で定めるだろう」などとして対話を拒否する考えをあらためて示した。

イギリスなど4か国 パレスチナを国家承認

イスラエルのネタニヤフ首相は「ハマスの完全降伏と全ての人質の奪還に向けた作戦を引き続き強く進めていく」と述べ、ガザへの攻撃を続ける考えを強調した。イスラエル軍はガザ市制圧のため攻勢を強めていて、地上作戦を展開する新たな部隊を投入したと発表した。中東の衛星テレビ局アルジャジーラによると、イスラエル軍の攻撃でガザ地区では22日の早朝から15人が死亡したという。ガザ地区の当局は「これまでにおよそ27万人がガザ市から退避した」としているが、国連は「たどり着いた先でも水や避難場所が不足しているほか、現地に届けられたテントは必要量の1%に満たない」としている。ニューヨーク国連本部ではフランスとサウジアラビアが主導して、イスラエルとパレスチナの「2国家共存による和平」推進会議が開催される。それを前にイギリスやカナダ、オーストラリア、ポルトガルなど各国でパレスチナを国家として承認する動きが相次いでいる。パレスチナ暫定政府のアッパス議長は声明で「パレスチナ人の自決権・自由・独立を認めることは、『2国家解決』実現に向けた道を切り開く」として、国家承認の動きを歓迎した。一方アメリカのトランプ政権は「いまパレスチナを国家承認しても、ガザ地区での戦闘の終結につながらない」などとして否定的な立場を取っている。イスラエルのネタニヤフ首相は、イギリスなどがパレスチナを国家として承認したことに強く反発している。

SPOT LIGHT INTERNATIONAL
国家承認に反発 入植地の拡大進む現場は

「2国家共存」とはイスラエルと将来的なパレスチナ国家の平和的な共存を目指す解決策で、「2国家解決」ともいう。1993年の「オスロ合意」でパレスチナの暫定自治政府がガザ地区とヨルダン川西岸で一定の自治を始めることで双方が合意し、国際社会や国連も後押ししてきた。しかしその後2000年に聖地エルサレムの扱いなどをめぐり交渉が決裂し、2014年を最後に交渉は途絶えている。一方国際社会では2国家共存を後押ししようと、すでに約150か国ほどがパレスチナを国家として承認している。さらに22日の会議を前に、G7(主要7か国)から初めてイギリスとカナダが承認。フランスなども加わると見られ、新たに承認する国は約10か国にのぼる見通し。こうした動きにイスラエルは強く反発し、対抗するかのようにパレスチナのヨルダン川西岸でユダヤ人入植地の拡大を加速させている。イスラエルは先月に長年論争の的になってきた大規模な入植地計画の推進を決定した。その場所に入植地が建設されればパレスチナ人が暮らす東エルサレムやヨルダン川西岸の都市圏が分断され、将来のパレスチナ国家樹立の大きな妨げになると指摘されている。

パレスチナ国家承認 反発するイスラエル

ニューヨーク国連本部から、エルサレム支局の田村佑輔記者がレポート。国家承認を受けて現地の状況がすぐに改善するわけではないが、国際社会は2国家共存を諦めていないという強いメッセージになる。承認に踏み切った国々としては、イスラエルが入植地の拡大を続ける中何もしなければ状況が悪化するだけだという危機感もあった。しかしそうした思惑とは逆に、イスラエルは反発を強めている。地元メディアは「対抗措置としてヨルダン川西岸の一部を併合する可能性について政権が議論している」などと報じていて、状況が悪化することも考えられる。またトランプ政権は一方的なパレスチナ国家の承認に反対していて、まもなく始まる国連総会でアメリカはアッバス議長を含むパレスチナの当局者にビザを出さないことを決め、パレスチナ側の発信を妨げる狙いがあるともされている。トランプ政権元高官のエリオット・エイブラムス氏は「パレスチナ暫定自治政府にはガザ地区を統治する能力はない。(欧州諸国などの国家承認は)戦争終結や人質解放、停戦合意にもつながらない。本気ではない政治的かけひきだとトランプ政権はみている」などと語った。国際社会の働きかけにも関わらずイスラエルは強硬さを増していて、双方の間の溝も深まっている。それでもパレスチナの人々からは、より強い圧力を求める切実な声が上がっている。今回の国家承認をただのメッセージで終わらせず、イスラエルとパレスチナ双方に具体的な働きかけをできるかが問われている。

”日本も国家承認を” パレスチナ駐日代表 訴え

日本政府はパレスチナの国家承認について「『するか否か』ではなく『いつするか』の問題だ」とする一方、今回の国連総会のタイミングでは見送る方針を示している。これについてパレスチナ暫定政府のシアム駐日代表はきょう都内で会見を開き、「日本も国家承認を」と訴えた。また「国家承認はハマスを利する」とのイスラエルの主張には「くだらない言い訳だ。国家承認はすべてのパレスチナ人が得るべき権利だ」などと述べた。そして「日本が広島と長崎への原爆投下でどのような被害を受けたかを知っている。日本はお手本。さまざまな苦難を乗り越え、経済・政治で世界的に協力な国へと発展した。日本が正義をもってパレスチナ人と共に立ち上がってくれることを期待する」などと語った。日本政府が承認を見送る姿勢を示したことに対し、アメリカ国務省のヒューストン副報道官は「日本の判断こそ私たちが望むもの。現時点で2国家解決を検討しない判断を支持する」などと評価している。

辻’s Angle
どうなるIT人材”就労ビザに1,500万”

アメリカのトランプ大統領は専門的な技能を持つ外国人の就労ビザの申請費用を10万ドル、日本円で1500万円近くに引き上げると発表した。これまで1500ドル程度だったことを報じられていると考えると60倍以上という異例の規模の引き上げになる。「H-1B」と呼ばれるこのビザは主にIT分野で取得する人が多い。今年の最新の企業別の取得者数をみると、Amazon、マイクロソフトなどIT企業がずらりと並んでいる。トランプ政権がこのビザの申請費用をここまで引き上げる理由について、ラトニック商務長官は「アメリカ人の雇用を守るため」と説明している。

「H1-B」ビザの取得者を出身国別で見るとインドがおよそ70%でダントツに多く、次いで中国となっている。インドの主要メディアは、今朝の朝刊で、技術者や留学生の間などで不安が広がっていることを一面で伝えている。H-1Bビザの保有者や更新を控えている人は「アメリカに急いで帰国する必要はない」と書かれている。新たな規則で不安が広がる中、アメリカへの帰国を急ぐ人の姿も見られ、空港での混乱ぶりを伝えている。また市民からは新たな規則への反発や懸念を示す声が多く聞かれた。さらにインドのIT業界の団体は即座に否定的な声明を発表「インド企業による事業継続に支障をきたす恐れがある」と警告している。インド外務省も声明で「今回の措置は家族を含めて人道的な影響を及ぼす可能性がある」と指摘して懸念を示す一方、今後のアメリカ側の対応を注視することにしている。今回の発表をきっかけに両国関係が悪化してしまわないか気になるが、逆に言えばインドの優秀な技術者が本国に残るということもあるので別の見方もできるかもしれない。

優秀な人材を呼び込むことを成長のエンジンとしてきたアメリカだが、今回の政策変更で懸念の声が早速上がっている。スタートアップ企業の育成支援をするアメリカ有数のベンチャーキャピタル「Yコンビネーター」のトップ、ギャリー・タン氏はXで「この政策は海外のテック企業の拠点への巨大な贈り物に等しい。バンクーバーやトロントのような都市がアメリカの都市に代わって繁栄するだろう。そしてAIの軍拡競争の真っ只中でその開発者によそへ行けと言っているようなものだ」と投稿した。この政策が発表されたのは現地時間の先週金曜日。その後週末ソーシャルメディア上で日系アメリカ人の著名な理論物理学者ミチオ・カク氏が高度技能を持つ外国からの技術者がいかに重要かについて力説する2011年のYouTubeの動画が拡散した。当時も「H-1Bビザがアメリカ人の雇用を奪っている」という議論が巻き起こっていたが、この時は政策的に抜本的な変更とはならなかった。世界の頭脳を引きつけることで成長に結びつけてきたアメリカだが、今回のH-1Bビザだけでなく、ハーバード大学をめぐる留学生ビザの規制など、その流れを逆回転させることになるのか、アメリカへの頭脳集中にブレーキがかかれば各国による頭脳獲得戦につながるかもしれない。

WOW!The World
ヒマラヤ山脈で花火イベント問題に

中国で行われた大規模な花火イベント。行われたのはなんと標高5500メートルのヒマラヤ山脈。生態系に悪影響を及ぼす可能性があるとして非難の声が上がった。主催した企業は「環境に優しい材料で作られた花火だ」としているが、結局企業と芸術家は謝罪し、地元当局もこの問題を調査するという。

飛行機守るエアバッグ?

墜落しそうになった飛行機を守るための斬新なアイデアとして「機体用のエアバッグ」が報じられた。AIが危険を察知した時に機体全体を巨大なエアバッグで覆うというものだが、このアイデアが実現するかどうかは分からないという。

メキシコ 陥没穴に配送トラックが…

首都メキシコシティでも最も人口が多い地区で清涼飲料水を配送するトラックが道路にできた陥没穴に落ち込んでしまった。運転手は勘一発で脱出して無事だった。地元当局によると老朽化した古い排水管の破損が原因だとみられている。

「Windows95」発売30年

Windows95がリリースされて今年で30年。当時マイクロソフトは大々的にキャンペーンを実施し世界各地で深夜に行列ができた。パソコンブームを巻き起こし、人々をインターネット利用へと導いたがしばしば問題も起きた。そこで提示された答えが「Ctrl+Alt+Del」という3つのキーを同時に押すことで再起動する機能。発売から30年、基本ソフトは進化してもこの機能はいまだ健在だ。

オランダ ”赤毛”たたえ 数千人集合

オランダで「赤毛祭り」が開催された。世界各地から何千人もの赤い髪の人が集まり自分たちの個性を称えた。フランスから来た姉妹はまず自分の髪の色を確認したという。赤い髪の人は世界人口の2%しかいない。20年前に始まったこの祭り、規模は年々大きくなっている。

Monday Biz
中国 中東との関係強化へ

中国は新興国との経済関係の強化に動いており、一帯一路のハブとなる中東との関係が重要性を増している。中国内陸部にある寧夏回族自治区の銀川の街中の飲食店にはハラル認証の取得を示す清真食品の文字。回族はイスラム教を信仰する少数民族で自治区の人口の約3割を占めている。イスラム教とゆかりのある銀川で先月下旬、中国アラブ諸国博覧会が開かれた。アメリカとの対立が続く中、中国は中東との貿易を拡大してきた。アメリカへの依存を減らす国家的な戦略として今後さらに加速しそう。

フランス 国債利回り 高止まり

去年1月以降、首相が4回替わるという政治の混乱が続くフランスでは国債利回りの高止まりが続いている。10年債利回りは3.5%前後で推移と高い水準。背景にあるのが政治の不安定さ。大手格付け会社のフィッチレーティングスはフランス国債の格付けを1段階引き下げると発表。来月にムーディーズ・レーティングス、再来月にS&Pグローバル・レーティングも格付け評価を予定しており市場が注目している。

アメリカ ”四半期決算の見直し”要請

アメリカに上場している企業は四半期ごとに決算の報告を行う必要があるがトランプ大統領は先週SNSに「半年ごとにすべきだ」と投稿。意識しているのは国を挙げて産業の育成に取り組む中国の存在。この制度があるためにアメリカの企業が短期的な視点にとらわれていると指摘。投資家からはリスクが増える、アメリカの株式市場の魅力が低下するという指摘が出ている。トランプ大統領は1期目にも同じ主張を展開している実現には至らず。アメリカの証券取引委員会の今後の対応が焦点。

(ニュース)
国防総省 ”当局承認の情報 報道を”

アメリカ国防総省はメディアに対し、当局があらかじめ承認した情報を報道するよう求め、守らなければ省内への立ち入りを認めないなどとする新たなルールを示した。これに対し主要メディアの記者らで作るナショナルプレス・クラブは声明を出し「独立した報道への攻撃だ。市民は政府が望む情報しか得られなくなる」などとして即時撤回を求めている。

”暴力の大部分は左派” カーク氏追悼式典で

今月、殺害された活動家のチャーリーカーク氏を追悼する式典が行われ、演説したトランプ大統領は暴力の大部分は左派によるものだなどと批判を繰り返し保守派の結束を訴えた。事件後SNS上で政治的な対立をあおるような投稿が相次ぎ国内の分断が深まることが懸念されているが、トランプ大統領は改めて左派だとする勢力への批判を強めた形。

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