2025年9月19日放送 4:15 - 5:00 NHK総合

国際報道
2025 FRB6会合ぶりの利下げか アメリカ経済のいま

出演者
辻浩平 藤重博貴 酒井美帆 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像の後、オープニングの挨拶。

ニュースラインナップ

「米FRB、0.25%利下げ決定」などのラインナップを伝えた。

(ニュース)
米FRB 0.25%利下げ決定

アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)は金融政策を決める会合を開き、政策金利を0.25%引き下げることを決めた。政策金利は4%~4.25%の幅となる。利下げは去年12月以来6会合ぶりで、今のトランプ政権下では初めて。パウエル議長は会合後の記者会見で「雇用の下振れリスクが高まっている。労働市場へのリスクが決定の焦点だった」などと述べた。労働省が発表する雇用統計では今年3月までの1年間の農業分野以外の就業者数は91万人余下方修正されるなど、雇用の減速が鮮明となっていた。さらに政策金利の見通しでは「年内にあと2回の利下げが行われる」という想定が示された。一方パウエル議長は「今回の利下げは予防的なもの」と強調し、トランプ大統領から繰り返し利下げを求められる中でも移民政策が企業の雇用面に及ぼす影響や関税措置によるインフレへの影響など、経済データなどに基づき金融政策を決定していく姿勢を示した。

FRB 利下げ アメリカ経済のいま

トランプ大統領が繰り返し利下げを求める中でも、FRBはこれまで慎重な姿勢を堅持してきた。今回利下げに踏み切った背景には、強さと危うさが共存するアメリカ経済の現状がある。西部ユタ州・ソルトレークシティーの高級車の販売店では、今年6月までの売り上げは前年を5%上回った。背景にあるのはFRBによる利下げへの期待感で、株価は今月に入って何度も最高値を更新し個人消費を支えている。中西部オハイオ州に本社を置くプライベートジェット機の運行会社は、好調な業績を背景に約1200億円の新規投資を発表した。一方トランプ関税の影響などで物価は高止まりし、人々の暮らしを直撃している。企業などから寄付された食料を無償で提供するフードバンクでは、1日に平均で700~800台が列を作る。理由の1つが雇用の減速で、今後FRBの利下げが続けばさらなる物価高を招くおそれもあると懸念されている。

LIVE>>ワシントン 米FRB 利下げの背景は…/米利下げ 世界経済への影響は

アメリカ・ワシントンから、ワシントン支局の小田島拓也記者が中継でレポート。FRBはこれまで雇用の減速とインフレの再加速という2つのリスクを天秤にかけながら、利下げのタイミングを見極めてきた。このまま放っておくと企業の間で解雇の動きが広がるなど雇用が悪化するリスクがあり、利下げによって景気を下支えする狙いがあるとみられる。一方でトランプ大統領への風当たりは少しずつ強くなっており、インフレを抑え込むという大統領選での公約が実現されるどころか、むしろ物価高によって庶民の生活が苦しくなっている。利下げはインフレを再び加速させる懸念があり、来年の中間選挙に向けてトランプ政権がどのような手を打ってくるかも今後の焦点になる。きょうの東京株式市場では日経平均株価が史上最高値を更新した。利下げによってアメリカの経済が支えられ、アメリカに輸出する産業を中心に日本にとってもプラスになるという期待感が背景にある。ただ輸出産業はトランプ政権の関税措置によって既に打撃を受けている。この後FRBが一段と利下げを進めていけば円高ドル安となり、業績の悪化を招く可能性もある。

トランプ大統領 米英首脳会談 もてなしの成果は

イギリスへの異例の2度目の国賓訪問を行っている、アメリカのトランプ大統領。17日には国王主催の晩さん会に出席し、手厚いもてなしを受けた。日本時間の今夜始まったスターマー首相との会談では、経済やウクライナ情勢などをめぐり議論を交わしたとみられる。イギリス側は会談を通じて投資などの経済関係の強化を図るとともに、関税をめぐり自国に有利な措置を引き出したい考えとみられる。先程行われた共同会見でスターマー首相は「大統領と画期的んばパートナーシップのための技術協定に署名する」などと述べ、トランプ大統領は「世界でこれ以上自然な関係はない」など語った。

ウクライナ ポーランド 無人機対応へ 枠組み創設合意

米英首脳会談でも主な議題とされているウクライナ情勢について。ウクライナ政府は、アメリカがNATO(北大西洋条約機構)の加盟国を通じてウクライナに兵器を供与する新たな枠組みが動き始めたことを明らかにした。ウクライナに供与されるのは、地対空ミサイルシステム「パトリオット」をはじめとする兵器。ウクライナでは今月7日にかけてロシア軍のミサイルや無人機による過去最大規模の攻撃で首都キーウにある政府庁舎が被害を受けていて、防空体制の強化を図りたい考え。一方ポーランドはロシア軍の無人機19機による領空侵犯を受けていて、撃墜された無人機が東部の住宅に落下し被害が出た。ポーランドのコシニャクカミシュ国防相はキーウを訪問しシュミハリ国防相と会談し、無人機をめぐって協力を進めることで合意した。具体的には両国で無人機について合同演習を行う枠組みを創設し、ウクライナ軍が無人機に対応する技術をポーランド軍兵士らに訓練するとしている。ポーランドのコシニャクカミシュ国防相は「ウクライナの知識と技術を活用したいと考えている」と述べた。

LIVE>>ポーランド ジェシュフ ロシア軍 無人機領空侵犯/ポーランドの受け止めは/各国の動きは

ポーランド・ジェシュフから、取材班の芋野達郎記者が中継でレポート。ポーランドではロシアの無人機による領空侵犯について、「想像していなかった出来事だ」と驚きをもって受け止められている。NATO加盟国の上空でロシアの無人機が撃墜されたのは初めてのこと。近隣諸国を中心に、ロシアの無人機などに対応しようという動きが広まっている。NATOはロシアに近いヨーロッパ東部の加盟国の防空体制を強化するため、ドイツやフランスなど計8か国が航空機の配備などを行うと明らかにしている。ウクライナ以外の周辺諸国では緊張が高まる状況が続いている。

米トランプ大統領 “アンティファをテロ組織に指定”

トランプ大統領は18日、SNSに反ファシズムを掲げるアンティファについて「主要なテロ組織に指定する」と投稿。そのうえでアンティファへの資金提供者は徹底的に調査されるべきだとの考えを示した。CNNテレビは具体的に誰が対象になるかなどは不明だと伝えている。トランプ大統領は今月10日、保守系の若手政治活動家のチャーリー・ カーク氏が銃撃され死亡した事件をめぐり逮捕された容疑者について「彼は左派。左派には多くの問題がある」と主張し対応に乗り出す必要があると強調していた。

辻’s Angle
問われるアメリカの言論の自由

アメリカのABCテレビはトランプ大統領に批判的だったトーク番組の人気司会者ジーキンメル氏の番組を無期限の放送休止にすると発表。理由とみられるのが保守系の若手政治活動家チャーリー・カーク氏が銃撃された事件についてキンメル氏の「この事件を自分たちの政治的利益につなげようとしている」という発言。通信行政をつかさどるFCCのトップが保守派の番組に出演した際「企業はキンメル氏への対策を講じるべき。さもなければFCCが対応を取ることになる」などとコメント。ABCテレビが番組の無期限休止を発表したのはこの発言のわずか数時間後。トランプ大統領に批判的な司会者による番組がなくなるのはこれが初めてではない。ニューヨークタイムズは「異例の政治的圧力の行使に等しい」と報じた。

WOW!The World
博物館から金塊盗難

パリの自然史博物館で展示されていた歴史的にも価値の高い金の塊が盗まれた。犯人は少なくとも3人。当局は計画的なプロの犯行だとみて捜査している。

野生動物写真のコンテスト 注目作品

イギリスのロンドン自然史博物館が主催する野生生物写真のコンテスト。発情期に鳴くオスのシカをとらえた作品は9歳が撮影。応募作は6万点以上。10月に受賞作品が発表されその後100点が博物館で展示される。

(ニュース)
LIVE>>カトマンズ ネパール抗議活動 現地は今

カトマンズより中継。政府がSNSを使えなくする措置をとったことをきっかけに先週激しい抗議活動が起きたネパール。抗議活動では72人の犠牲者を出し政権は崩壊し今週に入り暫定政権が発足。暫定政権は昨日を犠牲者追悼のための祝日と定め、街ではろうそくに火をともす人々の姿も見られた。今回、抗議活動に参加した多くは若者。

ネパール抗議活動 若者の怒りの背景に何が

抗議活動に参加した大学院生のプラディープ・ギャワリさんはとても怖かった。警察は放水や直接発泡もしてきた。議会の前では友人も失ったと述べる。背景には何があるのか?若者の一人が取材に応じた。抗議活動の中心になったタヌージャ・パンデエさんが立ち上がるきっかけとなったのはある動画だった。ネパールでは政治家の大半がぜいたくな生活を送っていると述べる。ネパールでは長年、主要な3政党が権力を争い続け、首相含め同じ顔ぶれの政治家が入れ替わるだけ。タヌージャさんは、嫉妬ではなくお金がどこから出ているのか問いたいと述べる。さらに若者の不満を増幅させたのが、今月4日、政府がSNSを使えなくなる措置。これには政治家への批判を封じ込める狙いもあったと指摘されている。政治家の汚職に抗議しようと呼びかけを始める。海外で暮らすネパール人からも反響があったという。今月8日に抗議活動。きのうは犠牲者追悼の日を政府が定める。タヌージャさんはやるべきことは多い、私たちはまだ始まったばかりと述べる。

LIVE>>カトマンズ 暫定政権 国民の怒りにどう向き合う

カトマンズより中継。暫定政権が真っ先に取り組むとしているのが汚職の問題。汚職を断ち切ったうえで高い失業率を改善して安定した雇用を生み出し経済成長にもつなげることが国民から求められている。政治情勢に詳しい現地の専門家は国民の声に応えることができなければ若者たちは再び抗議活動を行うことになるだろうと指摘。

視聴者の声

視聴者より「格差は拡大しても縮小は無くデジタル化が進むごとに利便性と弊害も進む。社会や環境の不確定さは人々の精神に負荷をもたらす」。

SPOT LIGHT INTERNATIONAL
東ティモールからの技能実習生 背景は?

東ティモールは2002年にインドネシアから独立したアジアで最も新しい国。人口は約140万人。歳入の約80%は石油、天然ガスの輸出。平均年齢は20歳前後と非常に若い。出生率が上昇したのが理由。広島県福山市にある造船所では東ティモールから技能実習生11人がやってきた。日本での生活やルールについて学ぶ。溶接や足場などの設置作業などを学ぶ。3年間で日本人技術者と同レベルの技能取得を目指す。実習生の男性は足場の設置の基礎を学ぶ。9人兄弟の長男として生まれる。雇用機会のない人は約22%と東南アジアで最も高い水準。去年、技能実習に応募したという。製造業や農業など幅広い分野で高度な技能を学べると日本に大きな期待を寄せている。政府機関も面接前の実習生の絞り込み、内定者への日本語指導など力を入れてきた。造船所にも狙いあある。来年現地に工場建設を開始予定。完成後、実習生にそこで働いてくれることを期待している。造船所は東ティモール工場が重要な製造拠点になると考えている。最大の魅力は若い労働力。社長の奥村さんは働ける人がたくさんいると述べる。低い為替リスクも理由。米ドルが使われているため為替の変動リスクの抑制が可能。さらに地理的な利点もある。資材の輸送が用意。来月ASEANに正式加盟される。

一方で東ティモールは電気や通信などのインフラ整備が不十分などの課題もある。それでも造船所は大きな可能性があるとしている。奥村社長は、5年10年先を見据えて展開していくのが大事。これからどんどん伸びていくということが1つと述べる。東ティモールのラモス・ホルタ大統領が造船所を訪問。大阪・関西万博のため来日中、視察のため足を伸ばす。大統領は造船所は東ティモールと日本をつなぐ大きな橋のようなもの。この会社にとても感謝していると述べる。さらに現場も視察。ウィンウィンの関係を築けると話す。石油や天然ガス、マンガンなどの鉱物もあるかもしれない。漁業がある。漁業は日本にとって非常に重要な分野。双方にとって非常に前向きなものとなるだろうと述べる。

東ティモールからの技能実習生

東ティモールからの技能実習生について、取材した加藤裕斗さんに話を聞く。日本での実習を通じて技能を身につけ祖国の発展に貢献したいという強い思いを感じた。東ティモール側の政府も実習生を支えようと力を入れている。造船所にとっても東ティモールの進出計画は数年来多くの要素を検討して進めていく大きなプロジェクトで成功させるという強い意気込みを感じた。現在、技能実習生は51人。この3年で3社が新事業を開始。7月からは日本の総合商社などが参加する太陽光発電事業がスタート。ASEAN加盟も追い風となり今後関係が深まっていくのではないかと感じた。

INTERNATIONAL NEWS REPORT
ガザ市 増え続ける民間人の犠牲者

ガザ市にある病院の近くが爆撃され退避をしていた13人が死亡したとパレスチナメディアが伝える。ハマスは声明を発表。退避を強いられている民間人が攻撃された。戦争犯罪にあたるなどとイスラエルを非難。ガザ地区の保健当局によると、戦闘開始からの死者は6万5000人超と犠牲者が増え続けている。イスラエルの一部メディアは軍情報部門が議員に説明した内容としてガザ市に約7500人のハマスの戦闘員などが残り、メンバー勧誘、トンネル再建、爆発物準備などを進めていると伝えた。

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