2025年12月2日放送 4:15 - 5:00 NHK総合

国際報道
2025 インド・パキスタン 大気汚染対策

出演者
辻浩平 藤重博貴 酒井美帆 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像。

ニュースラインナップ

「”扇動の疑い”香港当局、市民を逮捕」「あの手この手、大気汚染対策」「恩赦を要請、ネタニヤフ首相」「台湾でアピール、なまはげと舞妓さん」

(ニュース)
インドネシア大雨 日本人7人を救助

先週、大雨が続いたインドネシア西部のスマトラ島。インドネシアの気象当局によると西部のスマトラ島では先週、大雨が続き多いところでは1日に300ミリを超える雨量を観測した。国家防災庁は昨夜これまでに442人が死亡し400人以上の行方が分からなくなっていると発表。インドネシア政府はヘリコプターを現地に派遣するなどして被災者の救助や救援物資の輸送に当たっている。イギリスBBCは、アジア各地に被害が広がっている現状を伝えている。インドネシアでの死者数が最多だが、タイやマレーシアにも水害による死者が多く出ている。タイで救助ボートが川の増水によって沈没した様子やスリランカでは別のサイクロンで被害が発生したことを伝えている。死者行方不明者は100人単位で出ていて数万人が家を失い大規模停電が発生した。一方、インドネシアでは日本人8人が孤立状態になっていたが日本の外務省によるとこのうち7人は小型の航空機で救助されたという。残る1人は、本人の意向で現地のホテルにとどまっているが健康状態に問題はなく、引き続き定期的に連絡を取るとしている。

アメリカ・ウクライナ 和平案めぐり高官協議 “有意義だった”

先日、トルコ沖の黒海でタンカーが爆発する瞬間を捉えた映像。タンカーはロシア産の原油を運ぶいわゆる影の船団とみられ、ウクライナの保安当局などが無人艇を使って攻撃したと伝えられている。こうした中、和平案を巡る協議は続けられている。30日にアメリカのルビオ国務長官やウィトコフ特使ウクライナのウメロフ国家安全保障国防会議書記などが出席した和平案を巡る協議。冒頭、ルビオ氏は停戦だけでなくウクライナの主権などを守ることを目指す考えを強調した。協議のあとルビオ氏とウメロフ氏は協議は有意義なものだったと述べましたが和平案を巡ってはロシアとウクライナとの間で大きな立場の隔たりがあるとみられている。高官協議のあとウクライナのゼレンスキー大統領はウクライナの主権と国益を確保するという明確な焦点に向けて率直に議論されたことが重要だとSNSに投稿。停戦や和平に向けて引き続き、アメリカと協議を続けていくとしている。こうした中アメリカのウィトコフ特使は今週、ロシアを訪問しプーチン大統領と会談するとみられていて和平案を巡る外交の動きが活発化する中、具体的な進展がみられるかが焦点だ。トランプ大統領は、かねてからアメリカファースト(自国最優先)という考えを示していた。ウクライナへの支援にも消極的な発言を繰り返ししてきた。そういうことが背景にあるのかもしれませんけど。とにかくディールすることが最優先になっていると指摘した。

香港 高層住宅火災 当局 政府への批判に警戒強める

先週、香港北部の大埔の高層住宅で起きた大規模火災では、これまでに151人の死亡が確認された。香港の警察から提供された高層住宅の内部の写真では床には、消火の際に使用されたとみられる水がたまりシャベルなどを使って捜索している様子がうかがえる。今日も現場近くの公園には花を手向けたり被災者へのメッセージを書いたりする長蛇の列ができていた。。その中には火災の原因の究明を求めるものもあった。一方、香港メディアは独立調査委員会の設置などの要求を掲げて署名活動をした男性など火災に乗じて扇動を企てた疑いでこれまでに3人が逮捕されたと伝えている。香港にある中国政府の治安機関はおととい「災害を利用して香港を混乱させようとたくらむものは香港国家安全維持法によって必ず厳罰を受ける」と警告、政府への批判が高まらないよう警戒を強めている。

“国益のため”自身の恩赦 求める

イスラエルのネタニヤフ首相は地元の通信業者に便宜を図る見返りに傘下のネットメディアに自身に好意的な報道をするよう要求したなどとして収賄や背任などの罪に問われていて5年前から裁判が続いている。こうした中、ネタニヤフ首相は30日、ビデオメッセージでヘルツォグ大統領に対して自身の恩赦を求めたと発表した。理由について、ネタニヤフ首相はガザ情勢などを念頭に国民の団結が求められる中裁判は社会の亀裂を深めるとして直ちに終わらせるべきだと訴えた他みずからについて何度も選挙で当選し首相を続ける信任を得ていると強調した。

辻’s Angle
“汚職疑惑”恩赦の行方は

イスラエルのネタニヤフ首相はみずからの汚職疑惑を巡って自身の恩赦をヘルツォグ大統領に求めた。 ネタニヤフ首相を巡っては5年前から裁判が続いている。1つ目は高級ギフト。これは葉巻やシャンパンを引き換えに実業家に優遇措置をしたというもの。もう一つはメディアに対して好意的な報道を要求してその代わりにそのメディアに優遇措置を検討した。そして、もう一つ別のケースですけど通信会社の傘下にあるメディアに好意的な報道をするように求めて、その代わりに便宜を図ったというもの。イスラエルの現職の首相が起訴されたのはネタニヤフ首相が初めて。ネタニヤフ首相はいずれのケースでも無罪を主張している。ネタニヤフ首相による恩赦の要請はさまざまな意味で異例。1つ目は裁判の判決が出る前に恩赦を要請しているということだ。つまり有罪が決まる前にすでに恩赦を求めているということだ。

今年10月、アメリカのトランプ大統領はイスラエルの議会で恩赦を求めている。他国の司法制度への内政干渉ともとられない動きだがトランプ大統領は先月になってイスラエルのヘルツォグ大統領に宛てて恩赦を求める正式な書簡を送った。恩赦を求めた演説ですねあれはガザが停戦した時の報酬なんじゃないかという見方も出ている。トランプ大統領の要請に対し当初、イスラエル大統領府は「原則として、すべての法務的手続きが終了するまで恩赦は検討できず本人が申請する必要がある」としていた。そこにきて昨日、ネタニヤフ首相自身が本人が申請する恩赦を直接、求めてきたという。最大の支援国アメリカのトップから直接、恩赦を要請されその手続きを踏んだと。ヘルツォグ大統領も「重大な影響をもたらす異例の要請であり真摯に対応する」と述べ、対応が注目される。気になる点がある。トランプ大統領が恩赦を求めた際の発言なのだ。これはネタニヤフ首相が裁判で問われている実業家から葉巻やシャンパンなど高価な贈り物をもらっていたことを指した発言なのだ。総額は20万ドル葉巻やシャンパンなどの高価な贈り物の総額は20万ドルとされている。イスラエルの野党やネタニヤフ首相に批判的な市民などからは罪を認めて政治活動から退かないかぎり恩赦を認めるべきではないという反発の声も上がっている。イスラエル社会は、今ネタニヤフ首相を支持する層と批判する層と真っ二つに割れている。もし、恩赦されれば社会の分断がさらに深まることだけは間違いなさそうだ。

SPOT LIGHT INTERNATIONAL
事態改善へ 両国の取り組みは

南アジアで深刻化し人々を苦しませるのが大気汚染。世界各地の大気汚染を観測する企業の調査で今日午後時点のPM2.5などの汚染物質の濃度が高い都市を順に並べたリスト。最も深刻なのはパキスタン第2の都市ラホール。次がインドの首都ニューデリー。この調査によるとニューデリーは「健康に非常に有害」。ラホールは、さらに上位の「危険な状態」とされている。朝7時のニューデリーはスモッグで空気がかすみマスクをしていても焦げ付いたようなにおいを感じる。原因とされるのは車の排気ガスや冬にかけて増加する農地の野焼き。ニューデリーとその周辺ではこの時期、気温が低下して汚染物質を含んだ大気がとどまるため大気汚染が深刻化している。大気汚染から子どもたちをどう守るか、教育現場の模索が始まっている。当局は先月、地元の学校に対し屋外活動を行わないよう指示。ニューデリー近郊にあるこの学校では運動場を使わず体育の授業は室内で行う形に切り替えた。さらに希望する児童は自宅からオンラインで授業を受けられるようにするなど工夫を重ねている。安全な空気を吸いたいという思いに応えようと新たな商品開発も進んでいる。首から提げて使用する小型の空気清浄機。呼吸器疾患を抱える人などが購入しこれまで2万個以上が売れたという。

インドを上回るような深刻な大気汚染が問題視され始めたのがパキスタン第2の都市ラホール。走り去る車やバイクがあっという間に見えなくなる程深刻だ。大気汚染の影響でこの時期、出歩く人が減り露店の店主は売り上げが減少していると訴える。地元の病院には呼吸器の異常を訴える大勢の患者が訪れている。地元の環境当局は対策を急いでいる。スモッグウォールームと名付けられた対策本部では工業地帯などに設置されたカメラや熱センサーで大気汚染の状況を監視。さらに衛星からのデータを使い野焼きの状況にもリアルタイムで目を光らせている。汚染を確認するとウォールームからの指示を受けた環境保護部隊が現場に急行。排出源となっている工場の稼働や野焼きをやめさせる権限が与えられている他、悪質な業者には罰金を科すこともできる。対策をさらに強化するため今年新たに導入したのがAI。各地で収集されたデータを分析しその日大気汚染が悪化する場所を予測。その場所にあらかじめ散水車を派遣し、放水することで空気中の汚染物質の濃度を下げる。当局はこうした対策の積み重ねで過去最悪とされた去年と比べPM2.5などの汚染物質の濃度が60%減少したと強調している。ただ、パキスタン国内での対策だけでは限界もある。この時期ラホールの大気汚染物質のうちおよそ3割が、インド側から風に乗って運ばれていると環境当局は分析しているからだ。

パキスタン 汚染対策の効果は

イスラマバードの太田支局長はパキスタンの大気汚染対策について「決して楽観はできない。イスラマバードでもラホール程ではないものの外に出ると目が痛くなるなど影響を感じる。今年の状況は去年に比べれば確かに改善されたがあくまで一時的という見方もある。野焼きとともに主要な汚染源である自動車の排気ガスの対策も始まったばかりで状況を抜本的に改善するにはまだまだ時間がかかる」とコメント。またラホールの市民の間からは「「インドがもっと対策をとるべきだ」という声が以前から上がっているが、今年5月の軍事行動の応酬以降両国は緊張状態が続いていて今では連携に向けた機運すら生まれていないという。

インド 政府への抗議活動も

インド・ニューデリーの松本支局長は現在の市内の大気の状態について「マスクをつけて呼吸していてものどに違和感を感じる」と表現。政府は汚染物質の発生源とされる野焼きを禁止し、排気ガスも減らすため地元の企業には従業員の半数を在宅勤務にするよう指示しているが野焼きは農家にとっては収穫量を上げるための習慣でもあるので規制で行動を変えるのは簡単ではないのが現状。汚染の度合いは、日を追うごとにひどくなっており環境を改善するのは喫緊の課題だ。とはいえ、危機感は年々と高まっており、家の中に何台も空気清浄機を用意したり通勤や通学でマスクの着用を徹底したりする人も以前より増えている。中には大気汚染の程度が比較的、軽い南部の方に移り住むという人までいるという。ニューデリーでは先月、一部の市民による抗議活動が起きて参加者は「呼吸することもできない」とか「汚染を止めろ」などとシュプレヒコールを上げてその不満の矛先は政府に向いていた。多くの人々が我慢の限界を迎える前に、インド政府には有効な対策を打つことが求められている。

WOW!The World
転覆したボートの上で20時間

アメリカ・フロリダ州のウッズさんは歳の誕生日のお祝いに4人で「有意義なむだづかい号」の名の付いたボートで釣りに行った所、沖合48kmの地点でボートが浸水。5分後には転覆してしまった。親族が通報して救助されたのはおよそ20時間後、中には90歳の男性もいて体を支えながら夜通し助けを待っていた。4人は低体温症になっていたが現在は元気だという。

消防士カレンダーを配布

フランス北部の消防士たちが配っているのは恒例の、消防士がモデルになったカレンダー。今年は街の文化財を背景に映画のポスターのポーズを再現した。自分たちの作品も見てもらい希望者には無料で配布。同時に寄付も受け付けている。寄付の一部は亡くなった消防士の子どもを支援する団体に送られるという。

コメディー野生動物写真賞 注目作品

ゾウやゴリラなど、世界中から寄せられた野生動物の楽しい姿を収めたコメディー野生動物写真賞の最終候補作品の数々を紹介した。

Monday Biz
タイ “う回貿易”対策強化

タイではアメリカのトランプ政権が問題視するう回貿易を巡る対策を強化している。トランプ政権は、中国企業が高い関税や規制を逃れるためにいったん、東南アジアを経由してアメリカに輸出するう回貿易を行っているケースがあるとしている。この中には、第三国で製品に僅かな加工を施しただけなのに原産国とすることで関税を回避する手口もある。アメリカは、こうした製品には40%の関税を課すとしている。中国の行動を念頭に置き、タイやカンボジア、ベトナムといった東南アジア諸国を中心に対策を求めている。これを受けて、タイ政府は輸出品の審査体制を強化。従来は民間にも許されていた原産地証明書の発行を今年4月以降、政府に一本化するなど厳しくしている。新たに審査システムにAIも導入。製造工程や原材料など企業からの情報をより早く、より正確にチェックする体制作りを進めている。

イギリス 「量子コンピューター」技術 展示会

次世代のコンピューターとして注目される量子コンピューターの技術を集めた展示会がロンドンで開かれ、100以上の企業が出展し超高速の計算が可能になる量子コンピューターの技術などが披露された。イギリス企業の強みは自社開発の高性能の量子コンピューター。おととしには、東京都内のデータセンターにも設置され金融などさまざまな分野での活用が期待されているという。中でも、今特に注目されているのが「量子暗号通信」。ネット上の取り引きなどで使われる暗号をより安全にする技術で、これまでは、暗号を複雑化し解読に時間がかかることで安全性を高めていた。一方、量子暗号通信は光の粒子、光子に載せて暗号を解くための鍵の情報を送るという。光子は、誰かが盗み見るなどして観察されると状態が変わる特性があって不正を検知できる。今回の展示会にはこの量子暗号通信の研究開発を進める日本企業も出展。ロンドンでは3年前からイギリスの金融機関などとも連携して試験運用を行っていて、パリでは今年から商用利用されているという。東芝の岡田俊輔上席常務執行役員は「国際的な拠点としてイギリスと関わりを持ち続けたい」と述べた。

台湾 秋田観光PRイベント

日本の観光庁によると去年、海外から秋田県を訪れた宿泊客のうち台湾からが40%以上と最多となった。その旺盛な観光需要を取り込もうと冬の観光シーズンを前に秋田県が台湾でPRイベントを開いた。なまはげに台湾でも忠犬として知られる秋田犬。台北で開かれた秋田県の観光地や特産品をPRするイベントには地元のブランド牛や白神ねぎなどが無料でふるまわれ2日間の来場者数は2万5000人余りに上った。特産品の販売促進に一役買ったのはあきた舞妓の、まめ佳さん。得意の英語に加えて中国語も勉強中でSNSでも発信するなど、今後もより多くの人に秋田の魅力を伝えていきたいと考えている。会える秋田美人として活動するあきた舞妓。イベントの開催前には古い建物が残る台北の街角でも写真を撮影した。イベントに訪れた人たちが心配していたのは相次ぐクマの被害。観光地を紹介するコーナーでは不安の声が聞かれた。台湾でPR活動を行う谷剛史副知事も熊への安全対策を強調し安心して訪れてほしいと呼びかけた。秋田と台湾の間ではチャーター便が週2往復運航され、9割近い搭乗率を維持している。秋田県としては、台湾からの観光客を呼び込むとともに特産品の輸出にも力を入れていく方針だ。

(ニュース)
中国 競争激化する「運転支援システム」

中国南部、広州で大規模なモーターショーが開かれた。日中の自動車メーカーの間で今、競争が激化しているのが車の運転を補助する運転支援システム。運転支援システムは完全自動運転の一歩前の段階ともいわれ、すでに中国ではNOA(ナビゲートオンオートパイロット)という機能の普及が進んでいる。一般道をこのシステムを搭載した車で走ると交通量やルートを分析し自動で車線変更や転回を行う。ハンドルには手を添えているがシステムが自動でハンドルを切っている。目の前でバスが車線変更をすると自動でブレーキをかけ衝突を回避した。完全自動運転の前段階ともいわれ中国市場では運転支援システムを搭載した車はすでに新車の5割以上を占めている。 運転支援システムの開発が過熱する中業界を驚かせる発表をしたのは中国のEV最大手、BYD。100万円台という低価格の車を含め今後、発売されるすべてのシリーズに運転支援システムを搭載すると打ち出した。低価格帯の車もカバーすることで顧客の拡大を目指している。一方、EV大手の小鵬自動車は高度な技術で勝負に出る。独自に開発したAIを導入した運転支援システムは道幅が極端に狭い道路、バイクや対向車などが多い複雑な道路でもスムーズな走行が可能になったとしている。何小鵬CEOは「AIと物理世界が融合し、以前は対応できなかった場面もすべて対応できるようになる」と述べた。自律的に行動できるAIの開発に力を入れ、より高度な運転支援を目指す中国の自動車メーカー、完全自動運転の実現に向けて着々と前進している。

INTERNATIONAL NEWS REPORT
米トランプ氏 ベネズエラ大統領と電話会談

アメリカのトランプ大統領は対立する南米ベネズエラのマドゥーロ大統領と電話会談を行ったと認める一方、会談の内容は明らかにしなかった。トランプ政権は周辺海域に空母や強襲揚陸艦を展開するなどベネズエラに対する陸上への攻撃を含めた軍事作戦を辞さない構えも示し圧力を強めていて、マドゥーロ大統領に対し揺さぶりをかけるねらいがあるとみられる。

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