2025年12月5日放送 4:15 - 5:00 NHK総合

国際報道
2025 徴兵に有事想定訓練 欧州諸国がロシアへの備え

出演者
辻浩平 藤重博貴 酒井美帆 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像が流れ、出演者が挨拶をした。

ニュースラインナップ

「女性も徴兵、欧州諸国ロシアに危機感」などのラインナップを伝えた。

(ニュース)
“ロシアへ連れ去られた子ども” 即時帰還求める決議採択

国連総会ではウクライナ政府がロシアへ連れ去られたとしている子どもたちについて、即時かつ安全・無条件の帰還をロシアに求める決議案が提出された。ウクライナのベツァ外務次官は、連れ去られた子どもたちが祖国を憎むように洗脳されていることや、養子縁組みなどによって名前を変えられ追跡が困難になっていることを訴え、決議案への賛成を各国に呼びかけた。これに対しロシアの代表は「養子縁組みは保護者のいない子どもに対する一時的な保護措置だ」などと主張し、反発した。決議は日本を含む91か国の賛成多数で採択されたがロシアなど12か国が反対し、中国をはじめ57か国が棄権した。同じ日にアメリカの連邦議会上院では、子どもたちについて新たな報告が。ウクライナの人権団体の専門家は、ウクライナから北朝鮮のキャンプに連れ去られたとする子どもの写真を掲げ「収容所で子どもたちは日本の軍国主義を倒すように教育されている」と訴えた。一刻も早い停戦が望まれる中で進められている、アメリカとロシアの協議。トランプ大統領は「会談の結果、どうなるかは言えない。なぜならタンゴは2人で踊るものだからだ」などと述べ、「ロシアとウクライナ双方が納得する合意が必要だ」という考えを強調した。こうした中、EUはロシアからの天然ガスの輸入を2027年秋までにすべて停止することで大筋合意。さらにNATO外相会合で、ルッテ事務総長はウクライナへの軍事支援強化の方針を改めて強調。またヨーロッパなどの加盟国がアメリカの兵器を購入してウクライナに供与する取り組みを加速させ、加盟国ではないオーストラリア、ニュージーランドもこの枠組みに新たに参加を表明したと明らかにした。一方複数の欧米メディアなどは、ウクライナとアメリカの協議が4日に行われる見通しだと伝えている。プーチン大統領との会談の内容について伝えるとみられ、今後ウクライナ側がどう対応するかが焦点。

習主席“「核心的利益」相互に支持すべき”

きょう北京で会談した中国の習近平国家主席と、フランスのマクロン大統領。会談のあと習主席は報道陣を前に、「核心的利益」と位置づける台湾をめぐる問題を念頭に「双方は互いの核心的利益と重大な関心のある問題において、相互に理解し支持すべきだ」などと述べた。中国はきのう、王毅外相がフランスのバロ外相と会談した際「日本の現職の指導者による台湾に関する誤った発言を紹介した」などとしていて、自国の立場を繰り返し主張している。こうした中、トランプ大統領は台湾との交流のあり方などを盛り込んだ法律の改正案に署名し、「台湾保証実行法」として成立した。アメリカと台湾の公的な交流に関する国務省の指針を、少なくとも5年ごとに見直すことを求めている。現在アメリカと台湾の当局者が接触する際、首都ワシントンを避けるなどの対応を取っている。台湾側はアメリカとの公的な交流が活発化することに期待を寄せる一方、中国側は反発している。

プーチン大統領 4年ぶりインド訪問

ロシアのプーチン大統領はあすインドの首都ニューデリーでモディ首相と会談を行い、経済や安全保障、エネルギー分野などでの連携強化について話し合われる見通し。ロシアにとってインドは兵器の主要な輸出先で、ロシア大統領府によると最新の地対空ミサイル「S400」や最新鋭の戦闘機「スホイ57」のインドへの供与についても議論されるとしている。

あす ロシア・インド首脳会談へ

インドを訪問するプーチン大統領の思惑について、モスクワ支局長の野田順子が中継でリポート。プーチン大統領はインドとの伝統的な友好関係を演出し、国際社会の中で孤立していないとアピールする狙いがある。最大の注目点は、ロシア産原油の輸入をインドが継続するかどうか。去年1年間で輸出されたロシア産原油のうち、インドが購入した割合は全体の35%と3割以上を占めている。しかしアメリカが10月にロシアの2大石油会社に制裁を課し、インド企業の中には輸入を停止した社もある。プーチン大統領は原油の輸入を継続するよう働きかけ、アメリカの仲介で進むウクライナとの和平協議に関してもあらためてロシアの立場を説明し、理解を求めるとみられる。

プーチン大統領の訪問を受けるインド側の思惑について、ニューデリー支局長の山香道隆が中継でリポート。インドは今トランプ政権との関税協議が大きな課題となっており、トランプ大統領が「インドがロシアから原油を安く購入している」として50%の追加関税を課したことに反発を強め、いまのところ妥協の兆しは見えない。専門家は「ロシアとの結束の強化は、インドが今後貿易や投資をめぐってアメリカと交渉する上で強力なカードになり得る」と指摘している。アメリカ以外にも、インドは国境を接する中国やパキスタンとも紛争の火種を抱えている。インド政府関係者は「ロシアとの安全保障面での関係強化は不可欠だ」と話していて、ロシア産原油に加え軍事力を背景としたロシアの国際的な影響力も、インドを強くひきつけている。

急増するインド人労働者の実態は

ロシアとインドが関係を強化する中、ロシアではウクライナ侵攻などによる人手不足を補うためインドからの労働者の受け入れを急速に拡大させている。モスクワ郊外にある縫製工場では、約500人のインド人労働者が働いている。5年前に初めて20人余を雇用し、今では縫製職人のほとんどをインド人が占めている。1か月の給与は約12万円で、インドで得られる額の約5~6倍に相当するという。ロシア国内の工場や建設現場は、旧ソ連の中央アジア出身の労働者が支えてきた。しかし去年3月にモスクワ郊外で起こった140人以上が犠牲となったテロ事件で、実行犯として中央アジアの出身者が起訴されたことで、市民から厳しい目が向けられるようになったという。代わりにインド出身者が急増し、ロシア内務省によれば今年前半に労働許可を得たインド人は2万3,000人余と去年の同時期の1.8倍となっている。旧ソビエトの中央アジア出身者はビザなしで就労可能で職場を自由に移動できるが、インド出身者はビザを得るために企業から仕事や住居の提供を受ける必要があり、長期間職場に留まることが期待されている。仕事を求めてロシアに渡るインド人労働者の一部が、ロシア軍の一員として戦闘に参加させられる実態も明らかになっている。ビニル・バブさんはロシアで電気工の仕事があると聞きモスクワに向かったが、到着後ブローカーを通じ軍と契約書を結ばされたという。入隊してから9か月後の今年1月、バブさんの家族の元にロシアに共に渡った同僚から死亡の知らせが入った。

戦地に送られるインド人労働者

ロシアに渡ったインド人労働者がロシア軍の一員として戦闘に参加させられている実態について、ニューデリー支局長の山香道隆が中継でリポート。インドメディアによると、今年春頃の時点で戦地に送られたインド人は100人以上にのぼるとみられている。このうち12人が死亡、または行方不明だという。軍事侵攻が長期化する中、ロシア軍の関係者が戦力になる人材を国籍に関係なく勧誘していることが背景にある。取材した家族や関係者は、「ロシア軍と深いつながりがあるブローカーがインドで暗躍している」などと話していた。インド政府はこうした勧誘を外交問題として扱い、今回の首脳会談でインド人の兵士を速やかに除隊させ帰国させるようロシア側に要請する方針。

WOW!The World
ガザ地区 ハンユニスで集団結婚式

イスラエル軍の攻撃で荒廃したガザ地区南部ハンユニスで集団結婚式が行われた。アラブ首長国連邦の寄付によって実現したもので、50組余りが式を挙げその様子を見守ろうと数千人が集まった。がれきの中新たな人生を誓った新郎新婦、この結婚式は地域社会の団結の象徴でもあるという。

火災報知器の代わりにブブゼラ?

パリ郊外にある学校の教師に配られたのはサッカーW杯南アフリカ大会で広まった「ブブゼラ」。故障した火災報知器の代わりに使えというのだった。保護者は困惑、配布した市役所は安全に問題はないとしている。

400年ぶりの“大発見” ルーベンス高額落札

フランスでオークションにかけられたのはバロック絵画の巨匠ルーベンスが描いた「十字架のキリスト」。400年もの間行方が分からなかった作品が去年パリの個人宅を売却する際偶然発見された。美術史上の大発見、その落札額は約4億2000万円だった。

辻’s Angle
“EU加盟中断” いま ジョージアは

ウクライナ侵攻以降後揺れるロシアの周辺国について。旧ソビエトのジョージアで先月抗議デモ、EU加盟に向けた取り組みを中断した政府の対応についてだった。デモは去年始まり規模は小さくなりながらも続いている。去年10月の議会選挙を受け政情が大混乱に陥ったジョージア、元国防相のティナティン・ヒダシェリ氏によると議会選挙によって国際社会からの支援を失い、EUやアメリカの支援で行われていたプロジェクトはなくなったという。ジョージア国民はEU仮名に約89%が賛成、ヒダシェリ氏はウクライナ侵攻が暗い影を落としていると話す。ウクライナ侵攻は各国の結びつきに様々な影響を与え、国際社会のダイナミズムですら変えようとしている。

SPOT LIGHT INTERNATIONAL
今日の内容の説明

ロシアに対する危機感がヨーロッパで高まっている。ポーランドでは今年9月ロシア軍の無人機19基による領空侵犯が確認され、撃墜した際の残骸が住宅に落下。10月にはドイツ・ミュンヘンの空港周辺で所属不明の無人機が飛来、空港が2日連続で一時閉鎖となった。こうした直接的な軍事攻撃ではない破壊行為やサイバー攻撃などを組み合わせ地域に混乱などを引き起こそうとするものはハイブリッド攻撃と呼ばれ、ヨーロッパで新たな脅威となっている。それに対しヨーロッパでは徴兵制の再開や拡大に踏み切る動きが広がっている。

強まるロシアの脅威 ヨーロッパで防衛強化

デンマークでは今年7月男性対象の徴兵制度を女性にも拡大した。これまで志願兵については女性からも募っていて全体の約2割ほどを占めていたが、兵力の増強につなげようと徴兵制を変更。これにより7月以降に18歳になった女性は徴兵の適用検査が義務付けられ、徴兵対象になるかどうか検査を受けることになる。さらにデンマークでは毎年新たに兵役に就く人を約5000人から7500人に引き上げる目標。戦闘能力を高めるため兵役期間も4か月から11か月に大幅に延長した。あらたに徴兵の対象となった女性たちからは戸惑いの声も上がっている。一方新たに市民に強力を呼びかけ国防力の底上げを図ろうとしているのがポーランド。攻撃があった場合どう備えるのか、この日兵士が直接指導する訓練が行われた。心肺蘇生の他止血・骨折した手足の固定方法を学んだ。さらに政府は武器使用の軍事訓練を来年市民40万人を対象に行う計画。こちらの男性は学んだことを家族と共有しており軍事訓練への参加も考えている。

欧州 ロシアの脅威に備える動き

ロシアによるハイブリット攻撃を受けヨーロッパでは急速に危機意識が高まっている。ロシアに地理的に近い東ヨーロッパや北欧だけでなく、ドイツ・ベルギーなども無人機が確認されたことは一層大きな衝撃をもって受け止められた。政治専門サイト「ポリティコ」は“NATO加盟各国が共同でサイバー攻撃作戦などを検討している”とも伝えた。ヨーロッパが有事に備えるだけでなく脅威に積極的に対抗しようという動きは今後加速していく可能性もある。

(ニュース)
ラファ検問所 近く再開も“一方向のみ”

イスラエル当局は停戦合意などに基づいてガザ地区南部のラファ検問所を近く再開すると発表。エジプトに退去する住民のみが通過可能。これに対しハマスや人道支援団体などはガザ地区に支援物資を運びこめるよう双方向での再開を求めている。スラエルの首相府は4日、ハマスから新たに1人の人質の遺体が返還されたことを明かし、ガザ地区に残る人質の遺体はあと1人となった。

INTERNATIONAL NEWS REPORT
軍が空から支援物資届ける

インドネシア西部のスマトラ島では先週から続いた大雨の影響による死者が800人を超えている。軍が空から支援物資を届ける活動を進めている。ただ空軍の担当者は、不安定な天候が輸送の妨げになっているという認識を示している。

香港政府トップ“早期に原因究明”

香港で先月起きた大規模な火災ではこれまでに159人が死亡、今も31人と連絡が取れず捜索が続いている。香港政府トップの李家超行政長官は今日、今回の火災に関する独立委員会で原因の究明や監督体制の検証を進め早期に報告をまとめる考えを示した。一方、香港にある中国政府の出先機関の幹部は政府への批判の高まりに警戒を強めている。

ベネズエラの麻薬拠点に近く軍事作戦示唆

アメリカのトランプ大統領は3日、対立する南米ベネズエラの麻薬の製造拠点などを標的に近く軍事作戦に踏み切る可能性を改めて示唆した。またアメリカ財務省が麻薬密売に関わる組織を支援する個人や団体を新たに制裁対象に加えるなど政権を挙げてベネズエラへの圧力を強めている。

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