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- 島本真衣 大下容子 佐々木亮太 斎藤康貴 林美沙希 林美桜 水越祐一 増田ユリヤ 田中道昭
今年7月、NATOの首脳会議でアメリカのバイデン大統領は、ウクライナへの復興のための資金提供などをすすめる岸田総理を称賛した。その一方で、安全保障に詳しい明海大学の小谷教授は、“武器輸出”をめぐる対応について、現行のルールでは殺傷能力を有する防衛装備品の輸出は原則禁止であり、日本はアメリカの期待に応えられていない現状があるという。そんな中、自民・公明両党による実務者協議で方向性が一致したのがライセンス生産品の輸出緩和。ライセンス生産品とは、武器開発を行う外国企業から日本企業が使用許諾などを得て製造する武器のこと。これまではアメリカライセンスの部品に限り輸出を認めていたが、日本がライセンスを供与されているその他の国への完成品の輸出を容認する方向で一致したという。今F-15戦闘機などをアメリカやヨーロッパなどライセンス先に輸出できる環境づくりが進められている。また、ライセンス生産品の輸出緩和では、ライセンス元の国の同意があれば第三国への輸出も認める方針だという。小谷教授は同盟国との関係強化も狙いにあると指摘し、さらにこうした関係は有事の際にも他国から供与を受けることができるなど、大きく影響してくるという。変化をみせる日本の安全保障の形は国内の防衛産業にどう関係するのか?
焦点となっているのがライセンス生産品と共同開発品の輸出ルール。自民党・公明党は1日に防衛装備品の輸出ルール緩和に向けた実務者協議を行い、ライセンス生産品の輸出ルール緩和で一致した。ライセンス生産品とは外国企業に特許料を支払い日本で製造する武器などのこと。日本にライセンスを供与している国はアメリカ・イギリス・イタリアなど。ライセンス生産品は79品目あり、そのなかにはF15戦闘機や地対空誘導弾「PAC3」など殺傷能力がある武器も含まれている。そもそもライセンス生産品は現に戦闘が行われている国・地域への輸出は出来ない。現行ルールはアメリカがライセンスを持つ武器の「部品」のみアメリカやその他の国にも輸出可能。ただ輸出先から第三国への輸出は禁止。自公が検討している緩和ルールではライセンスを持つ武器の「部品」「完成品」をライセンス元の国やその他の国にも輸出可能になる。さらに日本の同意があれば輸出先から第三国への輸出も可能になる。つまり殺傷能力がある武器の完成品も輸出することが可能となる。そもそも装備品移転が認められるのは使用目的が救難・輸送・警戒・監視・掃海の類型に当てはまるもののみ。東京新聞は「日本が殺傷能力のある武器を輸出した場合、日本の軍事支援と受け止められ日本が紛争に巻き込まれる懸念もある」と指摘している。「防衛装備移転三原則」とその運用指針は法律ではないため、国会審議を経ずに政府・与党内の手続きのみで見直しが可能。与党だけで結論を出していくやり方について立憲民主党の泉代表は「国民の議論なしに結論だけを国民に強いるのは民主的ではない」と指摘していた。その一方で「共同開発する次期戦闘機」の輸出をめぐり自公が対立している。次期戦闘機とは高度なネットワーク戦闘を実現するために最先端技術を使用した戦闘機のこと。これが日本・イギリス・イタリアで去年12月から共同開発を進めている。今月中にも日英伊防衛相会談が行われる予定。防衛省関係者は「この会談までに政府・与党内で共同開発製品の輸出に関する方針を決定したい」と話している。現行ルールでは共同開発品の輸出先は共同開発をしている国のみ。第三国へ輸出することはできない。久江さんによると「次期戦闘機は国の防衛能力の要。防衛産業を維持するためにも共同開発は不可避」とのこと。7月の中間報告では自公の実務者間で共同開発品の第三国への輸出を可能とする方向で一致していたが、1日に公明党の石井幹事長は「第三国への輸出はこれまでのあり方を大きくはみ出す。慎重であるべき。これは党の正式見解だ」として共同開発品の第三国への輸出については慎重な姿勢を示していた、などと伝えた。
久江さんは「このタイミングについて一番大きい理由はウクライナ支援。アメリカがPAC3などをウクライナにかなり出していて足りなくなっている。春先から日本に対し日本からもアメリカにくれと打診してきた。次期戦闘機は使い始めてから約30~40年使う。企業の利益にもなるし外交の手段、絆が強まる。期間・経費からみても次期戦闘機は兵器装備を売る・あげるという意味ではなく日本の国際安全保障に大きく影響してくる。先週金曜日にイギリスのスナク首相の特使が自民党のメンバーと会い、日本はどうなっているんだと強い懸念を伝えている。振り返るとアメリカから何兆円もの爆買いをしていると批判があった。その中で外交の幅を広げイギリスとイタリアと組んだ。しかし日本は日本から一緒に作ったものをイギリス・イタリアに売ることは出来ないのが今の制度。するとある意味日本はお金と技術だけを出す完全な下請け。7月5日に自民党と公明党が論点整理という名の中間報告をまとめた。そのときに次期戦闘機の第三国移転については認めることは体勢だったと認めた。ところが11月20日くらいから公明党が急に慎重姿勢に転じ、ついには1日に石井啓一幹事長が慎重であるべきだ、これは党の正式見解だと言った。政府は一連の閣議決定などを12月22日に予定している。ここにきて自公に大きな溝ができている現状。」などと述べた。
防衛産業から日本企業の撤退が相次ぐ。政府は防衛関連企業の支援を強化する。その衰退の背景は成長が期待できない。輸出が5類に限定。価格が高くなりがちだ。欧米は防衛事業が主体だが、日本は10月から防衛生産基盤強化法で防衛産業に取り組む企業を強化し、今年度は363億円を計上。従来は防衛関連企業の利益率は8%に設定していたが実際は部費高騰で2%ほどが多かったため利益率を最大15%に引き上げる支援をする。また2027年までにこれまでの1.5倍43兆円に増額する方針を決定。三菱重工業の上半期の航空などの受注高は前年比5倍の過去最高。川崎重工業も防衛事業の今年度受注高見通しは前年比2000億円増加した。韓国のように利益をあげることがないよう抑止、みることが必要などとスタジオでトークした。戦争のためでなく抑止のためだと強調した。
先月27日の参議院予算委員会で野党が追及したのは今後5年間の防衛費が約43兆円に増やす方針について。計画策定時、政府は2年前の1ドル108円というレートで算出していたが、現在では1ドル=150円台にせまり43兆円で収まらない可能性が指摘されている。これについて岸田総理は、円安でも43兆円で維持する意向を示した。しかし防衛費をめぐっては防衛装備品の価格高騰も懸念されている。明海大学の小谷教授は防衛費の43兆円について、これ以上の増額をする可能性は低いと指摘。一方で当初の想定通りに進めることが難しいことも現実だと話している。
去年12月、岸田総理は2023年度~2027年度の5年間で、総額43兆円の防衛費を投じることを示した。従来水準よりも約17兆円増額するという。しかし、円安や物価高で装備品等の価格は高騰し、今後さらに増大するともみられている。スタジオで久江さんは「付け焼き刃でやっているからこんな風にバタバタと増税になっているんですよね」、増田さんは「どういう防衛ビジョンが見えないので納得いかず不信感を持ってしまいます」などと話した。
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- イージス・システム搭載艦チヌーク岸田文雄
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