2025年12月13日放送 20:00 - 20:50 NHK総合

新プロジェクトX〜挑戦者たち〜
肌着革命〜発熱で常識を変えろ〜

出演者
有馬嘉男 森花子 荻野毅 住谷龍明 服部且幸 
(オープニング)
肌着革命 発熱で常識を変えろ

体の芯から冷えてくる冬。平成の大ヒット商品が皆を温めている。吸湿発熱繊維でできた肌着は体から出る水蒸気を発熱し3℃も暖かくなる。バブル以降、革命的な商品がでない日本で大ヒットとなった。この繊維を服に使おうと発案したのはスポーツメーカー。呼吸するように温かくなると「ブレスサーモ」と名付けた。これは開発者たちの知られざる物語。

キーワード
ブレスサーモ
オープニング

オープニング映像。

肌着革命〜発熱で常識を変えろ〜
スタジオトーク

有馬嘉男らの挨拶。今回は暖かくなる肌着の開発物語。衣料品メーカーや下着メーカーなどアパレル各社がこぞって販売している。その発端となったのが「N-38」。N-38に水をかけると発熱する。水蒸気を吸って発熱するため吸湿発熱繊維と呼ばれている。これに興味を示したのはスポーツメーカーの開発者だった。

キーワード
N-38ポリエステル
肌着革命 発熱で常識を変えろ

1980年代、日本はスキーブームに湧いていた。スキー場を舞台にした映画はヒットし社会現象にまで発展。スキー用品は飛ぶように売れていった。ブームの中で燃え上がる1人の成年がいたそれがミズノに入社したばかりの荻野毅だった。会社の主力は野球。スキー用品は他社に遅れをとっていた。スキーの競技用ウエアの担当となった荻野は常識はずれの開発者だった。荻野がのめり込んでいったのは製品開発の世界。担当したスキージャンプのウエアでも突飛なアイデアを次々と出した。クジラはなぜあの体で高く飛べるのか、流線型の体が水の抵抗を小さくしていると考え、ウエアの背面に導入した。「革命的な商品を自分も作りたい」それが夢となった。しかし競技用のウエアには細かいルールーがたくさんあった。枠にとらわれたくないと一般向けの商品に没頭していった。誰もみたことのない作るには、新たな素材が必要と考えこれまでにない素材を探し求めていた。1992年8月、変わった商品があると商社マンからピンク色の綿を受け取った。それが「N-38」だった。商社マンから「湿気は吸うんやけどな」と聞き、荻野は突然冷えた麦茶を綿にかけた。すると繊維は熱くなった。荻野はすぐに繊維メーカーに声をかけた。やって来たのは東洋紡の住谷龍明だった。住谷龍明はこれまでにない繊維で不況を打ち破れと命じられていたができずにいた。住谷は荻野から「この繊維は羽毛やウールにとってかわれる一緒に世界を変えよう」と言われた。荻野は厳しい寒さでも体毛の働きで熱を保ち続ける動物たちからアイデアを叩き出した。N-38の特性を使えば薄くて軽く暖かい肌着が出来るはずだと考えた。会社でプレゼンするも厳しい声が上がった。会社のポリシーはスポーツ用品の品質を上げることだった。その中で1人の営業担当は「100万枚売ったろうやないか」と声をあげた。それが萬谷好正だった。こうして革命的な肌着開発が動き出した。

キーワード
ACC・CM情報センターN-38ミズノ私をスキーに連れてって
スタジオトーク

N-38について荻野毅は「入社してからこんだけ、凄いと思った素材は初めてだった。未だにそれを超える素材に出会ってない」などと話した。荻野について住谷は「自分の中でこれだって思ったら社内、社外、上下関係に関係なく自分の思いを伝えてくる。30年以上の付き合いだけど、上司以上に怒られた」などと話した。

キーワード
N-38ポリエステル
肌着革命 発熱で常識を変えろ

スポーツメーカーの荻野と原料メーカーの住谷。二人三脚の開発が始まった。しかし繊維が弱すぎてすぐに切れるという大きな課題があった。これを糸に出来る技術者はいるのか。荻野は長谷虎紡績の服部且幸に糸にするよう頼んだ。1994年、荻野たちは糸の開発に向けて話し合いを始めた。まず取り掛かったのは繊維の強度を上げることだった。服部はポリエステルとN-38を混ぜて紡いでみたが結果は良くなかった。どうやっても繊維が空気中の湿気を吸ってしまった。服部は性質の詳細なデータが欲しいと求めた。しかし住谷はそれは無理だと思った。データを渡せばどこに漏れるかわからない。繊維業界ではデータを渡すのはタブーだった。「制約をぶち破るんや」という荻野がくり返していた言葉が住谷の頭をよぎり、詳細なデータを服部に送った。服部は湿度50%、室温23%が最適だと導いた。しかしこの環境で作っても真っ直ぐな糸はできなかった。服部は先輩の坂井勝治に無理かもしれないと弱音をこぼすと。坂井は「どんなに難し繊維でも出会ったんや。その出会いに感謝して挑戦しようや」と服部を励ました。服部は膨大な時間をかけながら機械を設定していった。何度も調整を続け1年。ついに糸が完成し試作品の肌着が出来上がった。しかしもう1つの問題が立ち上がった。N-38の色であるピンク。他の色に染めようとしても色が入らなかった。

キーワード
N-38ポリエステル一宮(愛知)坂井勝治羽島(岐阜)長谷虎紡績
スタジオトーク

開発について服部且幸は「55年の中でダントツで難しかった。本当に大変だった。なにか自分の本質的なようなものを試されてるような気がした」などと話した。

キーワード
N-38
肌着革命 発熱で常識を変えろ

肌着の開発を始めて2年。ピンク色が他の色に染まらない。家でも妻からダサいと酷評されてしまった。なんとかする方法はないのか萩野がたどり着いたのは滋賀の染色会社、サカレンだった。荻野はベテラン職人の皆本修助に「N-38はどうやっても色が入らない。組み合わせているポリエステルだけを染めることでピンク色を隠せませんか?」と注文した。皆本はこの難しい注文を引き受けた。発注されたのは黒。皆本は試しに染めてみるとおかしな色になった。何度やってもN-38は変な色になってしまった。皆本は染めるスピードが遅く大量生産の時代には合わないと弾かれていた機械を使い、ゆっくり丁寧に染めていった。試行錯誤を繰り返し1年、皆本は生地を染め上げた。1997年11月、肌着がついに発売された。1ヶ月が経ったころ、営業担当に「もう店には在庫がないらしいな」と声をかけられた。3年後には80万枚。4年後には100万を達成した。そして後を追うように名だたる大手衣料品メーカーが参入した。

キーワード
N-38サカレン
スタジオトーク

荻野毅は「購入者から本当に温かい、こんな商品をまってたとかFAXが届いた。こんなこと今まで経験したことがなかった。その時にはガッツポーズが出た」などと話した。服部且幸は「しばらく24時間フル操業になった。色んな方が工場を訪れるようになった。それは私どもの励みになった」などと話した。暖かくなる肌着という一大ジャンルを作り上げ100点満点じゃないですか?と聞かれ荻野毅は「もっと工夫を凝らすことが今後必要。我々の後輩がやってくれる。そういうのを見たい」などと話した。

肌着革命 発熱で常識を変えろ

肌着に使われた繊維は今では様々な衣類へと展開されている。氷点下20℃に達するコンビニの倉庫。搬送担当者が身につけている上着には、あの繊維が使われている。荻野毅は今大学の講師として教団に立っている。服部且幸はこの秋、55年務めた会社を退社。自身のノウハウをまとめた資料を残した。

(エンディング)
次回予告

新プロジェクトX〜挑戦者たち〜の番組宣伝。

(番組宣伝)
火星の女王

火星の女王の番組宣伝。

大河ドラマ べらぼう

大河ドラマ べらぼうの番組宣伝。

アニマルドック

アニマルドックの番組宣伝。

あしたが変わるトリセツショー

あしたが変わるトリセツショーの番組宣伝。

衛生契約のお手続きについて

衛生契約のお手続きについてのお知らせ。

キーワード
NHK BSNHK BSプレミアム4K

© 2009-2025 WireAction, Inc. All Rights Reserved.